エルカは屋上へと繋がる扉を開いた。
開いた瞬間、肌寒い空気が押し寄せたので反射的に身を縮める。
見上げると空は薄らとオレンジ色に色付き始めていた。
三日間も眠り続けていた。
つい先ほど起きたばかりで、カーテンの閉め切った室内にいたエルカには時間の感覚が全くなかった。
空の色から、今が夕暮れ時なのだと判断する。
視線を泳がせると、求めていた人物はすぐに見つかった。
冷たい空気にも身体が慣れたので、エルカは慎重に足を踏み出す。
一歩、また一歩進むごとに足取りが重くなるのを感じていた。
その背中に静かに歩み寄る。
ずっと自分を守ってくれた背中は相変わらず大きい。
だから、すぐに見つけられるのだ。
数歩手前まで近付くと、ナイトはゆっくりと振り返った。