よし、行くぞ

う、うん

ワクワクして来た

それで立入禁止エリアは何処にあるんだ？

調べてこなかったのか松永、聞いた話だと真っすぐ行って四十分らしい

ふーん、まあまあ歩くな

ねぇ、大地くん

なんだ。洋一

何か聞こえない？　引きずっているような……枝が折れる音がしない？

おい、驚かせるなよ。ここは森だぜ。歩いていればそのぐらいの音はするぜ

ハハッ、大地、洋一びびってる

そんなんじゃねーよ。遠くから聞こえない？

……？

気のせいだろ。怖いからそう聞こえるんだ

気のせいではありません。遠くから聞こえませんか？

うわ、何だ。お前！？

ゆ、幽霊？

ちげーよ。羽が生えてる。天使だ

始めまして私は救済天使ノエルです。この先は危険です引き返しましょう

……嫌だ

俺は――禁止エリアに行く

おい。大地

待ってよ

いけません。その先には危険な存在が居ます。行ってはいけません！

行ってしまいました……

天使のお姉さん。危険な存在って？

良く分かりませんが近づいてはいけない。そんな存在が居ると思います

やべーじゃん。大地行っちゃったぜ

ど、どうしよう

あなた達は引き返してください

大地さんは私が連れて帰ります

お姉ちゃん一人で大丈夫なのか。なんなら俺も行くぞ

うん、僕も行くよ

心配いりません。私に任せてください。この先は常識が通じない場所になりますから

――わかった。お姉ちゃんに任せるぜ

……うん

任せて下さい。そのために来ました

柵だ。ここが立入禁止エリアなのか

何だが怖い。いや、父さんを見返すには

柵があるって聞いたからな。ニッパーを持ってきて正解だったぜ

……ニッパーでも駄目なんか

――鈴の音！

何だ。何なんだ。これ

おさまった。たく、意味が分かんねーよ。救済天使と言い鈴の音と言い

こうなったら、よじのぼってやる

何だ。急に寒くなった

……くっそ、寒さが何だ！

俺は行くんだ

待って下さい。それ以上、行ってはいけません。危険です

またお前か俺は奥に行く、邪魔するんじゃねぇ！

どうして行くんですか。危ないのは肌で感じているでしょう

知るか。俺を止めようとするんじゃねぇ

大地さん

――っ、あれは

賽銭箱？　それに何んだ。この柱は？

六本の柱をしめなわで囲んで六角形になっている……そうか、ここが父さんの言っていた禁止エリアか

これは、いけません。今すぐに引き返しましょう

今更引き返せるかよ

大地さん。その中に入ってはいけません

恐らく、何か良くない物を封印しているはず

何が原因で封印が解かれるか分かりません

もう、うるさいな

俺に構わないでくれ

俺は証明するんだ。俺が臆病者じゃないって事を

賽銭箱かと思ったらどうやら違うようだな。変な模様があるけど、あれは家紋か？

どうやら開けれそうだな

えいい。開けるぞ

壺、壺が四個、隅に置いている。それに細い棒？

変な形に置かれているな

大地さん

――はっ

俺は一体何を……

棒が動いてている。俺が動かしたっけ……

違います。大地さんが動かしたんです。覚えてないんですか

何だ。何だ。この鈴の音は！！

大地さん。逃げて下さい

天使、あれは一体、なんだって言うんだ！！

あれは――良くないものです