4.SNSの殺意(前編)

 俺の名前はカイト、死神だ。

 今日もさまよう魂を回収する日々、いつもながらの日々に飽き飽きとしていた。

 今日も何か無いかと空を見上げていた。

カイト

ん? あれは……

少女

…………

カイト

こいつ……飛び降りる気か

カイト

しかし幼いな。小学生、いや中学生だな

カイト

若いのに……何があったか知らんが生きる事を諦めたのか

カイト

せっかく生きているのに

ノエル

そうですよ。生きているんですよ

カイト

――っわ

カイト

あんた天使か、何でこんなところにいるんだ

ノエル

始めまして私、救済天使ノエルって申します

カイト

救済天使?

ノエル

はい。人々から理不尽な死から助ける為に来ました

カイト

おいおい。ちょっと待て

カイト

助けるって天使が人間に手を貸すのか。それは禁止だろ?

ノエル

神様のお墨付きなので大丈夫です

カイト

……マジか

ノエル

はい。本当です

少女

ちょっと!!

少女

後ろでごちゃごちゃとうるさいわよ。人が覚悟を決めているのに気が散るじゃない

ノエル

あっ、ごめんなさい

カイト

え。すまん

少女

あなた達何者なの?

ノエル

私は救済天使ノエルです

カイト

カイト、死神だ

少女

そう、天使に死神ね……やっぱり私は死ぬべきなのね

ノエル

それは違います

ノエル

あなたは騙されているんです。死ぬなんてバカバカしいです

少女

でも、死神が見えているわ

少女

つまり、迎えに来たんでしょ

ノエル

違います。死神は直接、命を取るような事はありません。ですよね。カイトさん

カイト

こいつの言う通りだ。俺は未練のある魂を回収するのが仕事だ。例えばお前みたいな未練を残して死のうとしている魂とかな

ノエル

カイトさん。そんな言い方よして下さい

ノエル

彼女の心は傷ついているんです

カイト

そう怒るなよ。悪かった

ノエル

わたしじゃありません。彼女にです

カイト

――あんた意外と頑固だな

ノエル

そうですか?

カイト

……そうだよ

カイト

すまなかったな

少女

いいんです。どうせ死なないといけないんで

カイト

――と、言っていますが

ノエル

どうして死なないといけないか教えてもらえますか?

少女

まぁ……あなた達なら良いか

少女

これを見て

カイト

彼女のSNS?

カイト

なになにブルー・ウェール・チャレンジ五十日の課題に挑みます?

カイト

ブルー・ウェール・チャレンジ? これは?

ノエル

やっぱり、このブルー・ウェール・チャレンジのせいで彼女は死に追い込まれているんですよ

カイト

――どういう事だ?

ノエル

そうですね。簡単に説明するとゲームです

カイト

ゲーム?

ノエル

SNSを通じて一日に一度、課題が送られてくるんです

ノエル

例えば朝早く起きるとか。一人でホラー映画を観るとか

カイト

ゲーム感覚で課題が送られて来るのか

ノエル

最初はそのような簡単な課題が送られていました

カイト

いました?

カイト

まるで最初は普通のゲームみたいだな

ノエル

はい

少女

そうよ。最初は楽しかったの

少女

けど、途中から恐ろしくなったわ

ノエル

実は……

ノエル

途中からの課題は自分の腕にクジラを刻むとか高い位置から飛び降りるなどと言った自傷行為を強制させる内容に変わっていきました

ノエル

他にもクレーンに登る。自分は鯨ですと誓う。誰とも会話しないとか

少女

…………

カイト

その様子だとお前もやったそうだな

カイト

無視すればいいだろうに

少女

出来たらこんな事になってないわよ

少女

辞めようとした。でも、親にばらすって……

カイト

親にばれたくない子供の隙間を狙ったか

ノエル

彼女と同じように途中で止めようとした人に脅迫まがいのメッセージを送ってゲームから抜けれないようにしているんです

カイト

つまり課題をエスカレートさせて自殺に追い込んでいく

カイト

そういう事か

ノエル

はい

カイト

五十日になって目課題で飛び降りろとでも来たのか

少女

……あってるわ

少女

ビルの上から飛び降りろ。そう課題が来たの

カイト

それでここに居るって訳か

少女

うん、だから私は……

少女

飛び降りらないと

カイト

バカだなお前は

ノエル

そんな事言わないで下さい

ノエル

彼女だって悩んで苦しんでいるんです

ノエル

それに彼女達は被害者なんです

カイト

被害者?

ノエル

ブルー・ウェール・チャレンジは世界中を巻き込む自殺コミュニティだったんです

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