4.SNSの殺意(前編)
4.SNSの殺意(前編)
俺の名前はカイト、死神だ。
今日もさまよう魂を回収する日々、いつもながらの日々に飽き飽きとしていた。
今日も何か無いかと空を見上げていた。
ん? あれは……
…………
こいつ……飛び降りる気か
しかし幼いな。小学生、いや中学生だな
若いのに……何があったか知らんが生きる事を諦めたのか
せっかく生きているのに
そうですよ。生きているんですよ
――っわ
あんた天使か、何でこんなところにいるんだ
始めまして私、救済天使ノエルって申します
救済天使?
はい。人々から理不尽な死から助ける為に来ました
おいおい。ちょっと待て
助けるって天使が人間に手を貸すのか。それは禁止だろ?
神様のお墨付きなので大丈夫です
……マジか
はい。本当です
ちょっと!!
後ろでごちゃごちゃとうるさいわよ。人が覚悟を決めているのに気が散るじゃない
あっ、ごめんなさい
え。すまん
あなた達何者なの?
私は救済天使ノエルです
カイト、死神だ
そう、天使に死神ね……やっぱり私は死ぬべきなのね
それは違います
あなたは騙されているんです。死ぬなんてバカバカしいです
でも、死神が見えているわ
つまり、迎えに来たんでしょ
違います。死神は直接、命を取るような事はありません。ですよね。カイトさん
こいつの言う通りだ。俺は未練のある魂を回収するのが仕事だ。例えばお前みたいな未練を残して死のうとしている魂とかな
カイトさん。そんな言い方よして下さい
彼女の心は傷ついているんです
そう怒るなよ。悪かった
わたしじゃありません。彼女にです
――あんた意外と頑固だな
そうですか?
……そうだよ
すまなかったな
いいんです。どうせ死なないといけないんで
――と、言っていますが
どうして死なないといけないか教えてもらえますか?
まぁ……あなた達なら良いか
これを見て
彼女のSNS?
なになにブルー・ウェール・チャレンジ五十日の課題に挑みます?
ブルー・ウェール・チャレンジ? これは?
やっぱり、このブルー・ウェール・チャレンジのせいで彼女は死に追い込まれているんですよ
――どういう事だ?
そうですね。簡単に説明するとゲームです
ゲーム?
SNSを通じて一日に一度、課題が送られてくるんです
例えば朝早く起きるとか。一人でホラー映画を観るとか
ゲーム感覚で課題が送られて来るのか
最初はそのような簡単な課題が送られていました
いました?
まるで最初は普通のゲームみたいだな
はい
そうよ。最初は楽しかったの
けど、途中から恐ろしくなったわ
実は……
途中からの課題は自分の腕にクジラを刻むとか高い位置から飛び降りるなどと言った自傷行為を強制させる内容に変わっていきました
他にもクレーンに登る。自分は鯨ですと誓う。誰とも会話しないとか
…………
その様子だとお前もやったそうだな
無視すればいいだろうに
出来たらこんな事になってないわよ
辞めようとした。でも、親にばらすって……
親にばれたくない子供の隙間を狙ったか
彼女と同じように途中で止めようとした人に脅迫まがいのメッセージを送ってゲームから抜けれないようにしているんです
つまり課題をエスカレートさせて自殺に追い込んでいく
そういう事か
はい
五十日になって目課題で飛び降りろとでも来たのか
……あってるわ
ビルの上から飛び降りろ。そう課題が来たの
それでここに居るって訳か
うん、だから私は……
飛び降りらないと
バカだなお前は
そんな事言わないで下さい
彼女だって悩んで苦しんでいるんです
それに彼女達は被害者なんです
被害者?
ブルー・ウェール・チャレンジは世界中を巻き込む自殺コミュニティだったんです