そんなこんなで始発の電車で担当が家にやってきました。
いわゆるこれが、その、初回アフター枕ってやつですか!?と心の中はタコ踊りしつつも、星野はニヤケが止まりません。
なんせ人生でトップを争ういい顔です。
ニヤニヤ。
ニヤニヤニヤニヤ。
ちょっとお腹がゆるくてトイレに行きがちなところなぞ気にもなりません。

そして、

みぃ

へ、部屋汚いけど…

定番のセリフを吐きつつ、お部屋へ担当を入れます。
実際まじで汚くて、当時ペットボトルのお茶を買っていて、ペットボトルゴミ袋2つ分はゴミに出したと思います。
基本的に部屋が綺麗だと人は死にたいなんて思わんのです。

ちなみに、新宿から自宅まで本気で1時間かかります、タクシーで7000円くらいです。
そんな長距離ついてきた担当は本当にしごできです。
そこであーんんなことや、こーんなことをした後に、なんと担当から衝撃の一言が飛び出ます。

担当

とりあえずはみぃちゃんさ、お正月俺ここにいていい?

お正月ここに居ていい?

その一言はホストに通う女の子なら夢の一言。
お正月休みの一週間一緒にいれるというなんともありがたいお申し出。
ついでにいうと正月休み一緒にいれるっていう被りに対して優越感も味わえて最高の一言。

みぃ

いいいいいいんだけど、みぃ3日のお昼から避けられない枕あるから本当に機嫌悪いよ?

担当

じゃあ尚更一緒にいるよ、心配だもん

みぃ

初枕だからまじでしんんどい

担当

支えてあげるよ

という本当にホストとキャバ嬢のお手本みたいな会話を繰り広げる二人でしたが、結局この日から担当兼彼ぴになったのです。
冷静に考えれば枕止めるとでも行ってこいってしてる時点ががっつりお客様扱いをされているのですが、まぁ、お花畑星野にはそんなこと気にしている暇などありませんでした。
そして、まさかこの後二人ともこんなに長い付き合いになるとは思いも寄らなかったので、なんの気負いもなくズルズルと同棲が始まっていくのでした。
これが俗にいう、ホストに寄生された姫ってやつです。

担当

みぃちゃんのためにご飯作るね!

みぃ

え!めっちゃ楽しみ!

担当

俺お雑煮とか作っちゃうよ!

みぃ

(最近のホストは料理もするのかぁ…)

担当

あと俺、ちらし寿司食べたいからご飯炊いていい?

みぃ

(最近のホストは世話好きなのかぁ…)

担当

めっちゃペットボトルあるじゃん!捨ててくるね!

みぃ

最近のホストってそういう営業なの?

担当

…、みぃちゃん

みぃ

はい

担当

みぃちゃんは結構レベルの高い、何もできない子

みぃ

へ?!

担当

使われたことのないシンク

みぃ

担当

捨てられていないゴミ

みぃ

担当

ここ数日洗われていないであろうお風呂

みぃ

担当

見えない床

みぃ

担当

俺、一週間ここにいるなら快適な環境が欲しい

みぃ

えへへ

担当

笑い事じゃないよ!汚いよ!

みぃ

みぃお客さんだよ!

担当

だから俺が綺麗にしてんじゃん!

そんな話をしながら担当は瞬く間に掃除をしていきます。
時期的にみんなが年末年始でゴミを出しまくる時期だったので、星野の家から毎日ゴミ袋が3つくらい出て行っても誰も気にしません。
ピカピカになっていくお部屋を眺めながらこの人と結婚したいなぁとうっすら思った記憶があります。


お正月中は特に何をすることもなく、ダラダラお正月番組を見たり、掘り出されたコタツで寝たり、お雑煮食べたり、そうそう、お餅を焼いて食べたりもしました。
そんなゆっくりなお正月を過ごしていた2人ですが、お正月が開けると毎日ダラダラ過ごすことはできず、お互い忙しく仕事を始めます。

するとやってくるのは元担当のbirthday。
1月20日だったことを覚えています。

担当

明日、元担の誕生日いくの?

みぃ

どしたの急に。てか、まだ向こうが担当だし

担当

みぃ

えー、だって、向こうのが先だったしなぁ

担当

そっかぁ

必死に止めてくる担当。
のちに担当は語ります。

担当

俺、この時期本当にしんどくて

みぃ

何が?

担当

俺は完全にこの時はみぃはお客さんだと思って接してて、いつ来てくれるのかなぁって

みぃ

そっか

担当

こんだけ時間使って、この子来なかったら俺、まじで仕事できないやつじゃんって

みぃ

結局出会ってから、他店で指名作れなかったしねぇ

担当

僕はもう、ドキドキでしたよ

担当

確実にお金を使いそうな空気あるのに、全然店に来そうになくて。。。

みぃ

えへへ

そうなのです。
完全に最初は私たちお客様とホストの関係から始まり、担当は1月19日の初来店日まで死ぬほど神経すり減らしながら生活していたそうなのです。
担当いわく、私タイプの人間は初来店さえしてしまえば勝手にハマるそうなのです。
おそるべし、水商売6年目の慧眼です。
そして、運命のバースデー当日。

担当

一日だけどうしても来て欲しい!

みぃ

大丈夫だよ!行かないよ!担当の誕生日!

担当

うぅ、心配…

みぃ

うーん

担当

予算以上には絶対しないから!

みぃ

じゃ、5万だけね

担当

わーい

わかりやすく彼ぴの罠に引っかかっていたのですが、当時の私は気がついてなかったし、頭の中お花畑でした。
こうして私たちの借金生活の序章が開かれたのです。

初来店日以降も、毎日家には帰ってきてくれていた彼ぴでしたが、この甘い関係性が変わってしまう事件が起きます。
そう、世間を揺るがした…

コロナ【緊急事態宣言】

2話 あーし、ホストを家に迎える

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