『デリシャスな雑炊』

 ――ある日の食卓。

はぁ~
美味しかったなぁ。

ナンチャイ

はふぅ~
満腹満腹♪

え!?
今からこの美味しい鍋の
出汁を存分に使って
雑炊するつもりやけど
いらんの?

ナンチャイ

頂きます!
(キッパリ)

はいよ。
ほな任しとき。
美味しいのん作ったろ。

 ワイフは意気揚々と鍋を持ち上げ、キッチンに移動した。

ナンチャイ

はひょ~
ちょっと横になろっと。

 ナンチャイはデブ活まっしぐらで、満腹の身体をクッションに預けた。

ここに豆乳入れたら
もしかして嫌?

ナンチャイ

う~ん、
今は豆乳って
感じじゃないなぁ~。
正直言うと
ちょっと嫌かな。

はいよぉ~♪

ナンチャイ

豆乳を投入って、
うぷぷ。

ほんなら何入れようかな~♪

 ワイフはなんだか楽しそうに雑炊を作っている。鍋も美味しかったし、きっと雑炊も美味しいに違いない……。私はそう思い、満腹の腹を一撫でしていた。



 そして雑炊は完成したらしく、テーブルに運ばれてきた。

 イイ感じだ。香りも良い。上のイラストを調度テーブルの位置に止めたらもっと良い感じに見える。

 十分目だった腹も、不思議と十二分目まで入りそうな予感がしてきた。心の赴くまま、さぁ食べよう。

 これを読んでいる人は、今、何を期待しているだろう。

 まさかワイフの作った雑炊が美味しくないと思った人がいるだろうか。断じて言っておこう。この雑炊は美味かった。満腹の人間を満足させれる料理だ。多くを語らずとも「美味い」で伝わるものだ。

ナンチャイ

だが、
ただ美味いと伝えるのも
芸がないし、
せっかく作ってくれたワイフに
喜んで貰える言葉を贈ろう。

どうやった?

ナンチャイ

どうやったらこんな
美味しいもん作れんの?

 私の言葉にワイフは嬉々として目を輝かせた。

 私がただ「美味しい」と言うだけなら味気ないが、美味しさの理由を聞く事によって、『美味しい』と『頑張って作ってくれたんだね』を伝える事に成功したのだ。



 ワイフはニコニコしながら私の言葉に返事をした。

そら
豆乳入れた
からやん。

第十七話 『デリシャスな雑炊』

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