ランディ

当然ぶっ倒すよな。

 突然現れた魔物に対して、ランディが剣を構えユフィの判断を確認する。

 判断は最速を信条とするユフィは、気にならぬほどの一瞬の間を開け返答する。その言葉に迷いは見受けられなかったが、少し目元に不安の影が差すのをアデルは感じた。

ユフィ

4人で一気に行くわ!

ジュピター

あの武器には特に気を付けろよ。
恐ろしく速い振りだった。

ハル

了解っす!

ランディ

くたばりやがれっ!

ハル

きまったっすね……

ジュピター

一瞬だったな。

ロココ

す、凄い……

アデル

…………

ランディ

一丁前なのは――

ユフィ

まだよっ!
油断しないで!

 連撃で倒した魔物の鎧部分から、迷宮の闇を払うほどの光が放たれた。そして現れたのは、同じく黄金の外皮と翼を持つ宙に浮かぶ魔物だった。

ジュピター

こっちが本体ってわけか!

ハル

先手必勝っすよ!

ランディ

しつけぇーんだよ!

ハル

か、硬いっす……

ジュピター

!?
剣が……効かない……

ランディ

硬い……のか?

ランディ

っく!?

アデル

キャッ!?

ロココ

うわぁぁぁぁぁ!

 宙に浮く金色の魔物がギュルリッとその場で旋回すると、四方に風が巻き起こった。その旋風は魔物を中心として全域に拡がり、ハル達を襲う。

 軽量のロココとアデル、それにジュピターは踏み止まれず、後方に尻もちをついてしまう。ユフィも床に、伏せて踏ん張っている。




 しばらく続いた旋風が勢いを弱めると、視野がクリアになっていく。

 宙に浮く魔物は、悠然と金色の翼を風に乗せるよう揺らしている。そして最初に現れた金色の魔物と同じく鼻を利かしているようだ。

ハル

ウヴェ~
口にいっぱい砂が
入ったっす。

ユフィ

何かを探している……

ランディ

さっきからずっと、
鼻を利かせてやがる……

アデル

き、きっと……
チーギックに付けられた
臭いです。

ロココ

きっとチーギックは
アイツの存在を知った上で
僕達に……

ジュピター

その臭いを消そうと
襲って来るってのか。

 アデルの推測から、自分達に付いてしまった臭いが原因という答えに行き着く。宙を舞う魔物は漂うように未だに鼻を利かしていた。

ハル

でも刃が……
剣が全く効かなかったっすよ。

ランディ

効かなかったのは確かだが
そもそも奴に当たる前に
弾かれたっつー感じだった。

ロココ

ぼ、僕にもそのように
見えました。

ユフィ

刻弾を使うわ。
しかも三人同時に。
アデルは前から、
私は90度回り込んで右から、
そしてランディは
奴の下に踏み込んで
真下からの三方向からよ。
ジュピターも四発目を
いつでも撃てるように
しておいて頂戴!

アデル

分かりました!

ジュピター

確かに三方向と時間差なら
避けられにくいけど、

ランディ

迷ってる暇はねー!
それでいくぜ!

 剣が効かない相手と分かったユフィ達は、即座に行動に移る。

 刻弾が使えないハルは追撃の体勢、刻弾を限度近く撃っているロココは周囲の警戒に気を張る。

 この作戦で一番困難な役割は、ランディの真下からの刻弾。高速で移動しながらの刻弾使用に加え、超が加えられるほど魔物への接近を要求されるからだ。

ランディ

合わせろよ!
二人共!!

 ~編章~     205、一気呵成

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