暗黒展覧会 その2
ついて来ているか。
抜かりないぜリチャード。
闇夜に跋扈する2つの影!
あれが、なんとかってお偉いさんの屋敷か?
マルコック卿。名前を聞いて驚いたぞ。俺でも知っている名だ。
マルコック卿
孤児院や学園運営など、養育に関する事業に多大な貢献を果たす人物。セントファーンの重鎮である。
ギルドにも関わっているとは知らなかったがな。
聖人そうな顔の裏で、悪事に手を染めてやがったってのか。許せねえぜ。
そうと決まったわけではないがな。
疑わしいが、決めつけは危険だ。今は、結論は出さずに調査を続けるとしよう。
鍵付きロープ。城壁に引っ掛け、鮮やかに駆け上る。
へへっ こんなの朝飯前だぜ。
!!
ホベッ!?
危ない……! 見張りの兵だ。城壁の上は通路になっており、歩哨のルートとなっていたようだ。
驚かせやがって。どうするリチャード。こいつどっか隠しとくか?
いや。どうせ、この見張りが戻らなかったら異変に気づかれるんだ。さっさとこっちの仕事を済ませよう。
城壁を飛び降り、屋敷の庭へ。
一番近い建物の扉に近づき、中の様子を伺う。
明かりはなく、物音も聞こえぬ。無人だ。
チラリ
コクリ
しめた! 鍵がかかっていない……! しめやかに侵入する。
その瞬間!
煌々と照らされる明かり。暗闇から一転、光に目が追いつかず、呆然と立ち尽くす二人。
眩しい……何だってんだ――!?
気をつけろスネイク! 攻撃かもしれん……!
果たしてそれは。ある意味、的を得ていた。
曲者どもをひっ捕らえろ!
この屋敷に侵入するとは、とんだ命知らずだなおい?
なんとそこには多数の兵が待ち構えていたのだ……!
もう侵入がバレたのか!? いやまさか……
一体これはどういう――
曲者は二人か。連れて行け!
どんな処罰が下るか、牢屋の中で楽しみに待ってるんだな!
取り囲まれる二人。手に縄をかけられ、連行されてしまう!
―同時刻―王都ギルドにて
なんだと! マルコック卿の屋敷に賊だと!
無関係のコソドロなら構わんが、もしもということもある。わかった、わたしも向かおう。
……行ったわね。
チャランド部長。やっぱり、マルコック卿とつながりがあったのね。
リチャード、ごめんなさい。あなた達を信用してないわけじゃないけど……
おそらく今回の問題は根が深い。複数の線から追わないと無理そうだから……
少しの間、派手な的になっていて。
鍵がかかってる……当然か。
……でも同じ鍵が、ここにあるって言ったら?
部長、事務所の昼寝を習慣にしてると、思わぬ落とし穴がありますよ――
抜け目ない! こっそり鍵の複製を作っておいたのだ。
部下の勤怠表、慰労会の年間計画……ええい、こんなものじゃない。
これは……手紙?
こ――これって!!
続く