坊野香奈子

窪中いにお

こらこら坊野さん、ダメじゃないですか!

窪中いにお

いくら沢山余っているからって、売り物に絵を描く店員がどこにいるんですか?

二岡 アライヲ

まあまあ、いにお君。いいじゃないですか。実際これらの灯籠、今年は一つも買い手が付かないでしょうし

窪中いにお

それはそうかもしれませんが…

この浅草は骨法院通りにある骨董店“璃久堂(りくどう)”には、
当店唯一の手製品として灯籠(とうろう)を売っている。

毎年9月に行われる浅草灯籠祭に併せての事だ。

精霊流し、
という言葉があるように、
灯籠に思い思いの絵を描き、
亡き人を想いながら隅田川に流すのが毎年恒例。そして今年は新型コロナの影響で中止。

二岡 アライヲ

新型コロナが予想以上に長引いてしまいましたからね。

二岡 アライヲ

まあ、もし江戸時代のこの界隈ならきっと“今年は年寄りがよくくたばるから気い付けな!”で済んだ病でしょうにね

二岡 アライヲ

小事を大事にしてしまうくらいなら、いっそ人間は歩みを止めて、金を捨て、いまある骨董品だけの生活に戻してしまえば良いと思いませんか?

窪中いにお

アライヲさん!それは大失言ですよ!どこでだれが聞いてるか。SNSに晒されてしまうかもしれません

二岡 アライヲ

なあに、ただの与太話ですよ。収束が見えない天変地異の、一番神頼みしなきゃいけないこの時。
疫病にかかるからお祭りしない。
何か筋が通っているようで破綻しているような気がしませんか?

窪中いにお

う、うーん。それはエビデンスが薄い現代的な考えではないというか…価値観が多様化したこの社会では否定はできないけど、極めて少数派の意見といいますか…

二岡 アライヲ

ですよね。まあ今時そういう答えになるのでしょうね。

二岡 アライヲ

僕も老害かな。ちょっと地上に居座り過ぎてしまっているのか…

窪中いにお

やだなあ、まだまだアライヲさんは老害なんていう見た目じゃあありませんよ!

二岡 アライヲ

ははは、恐縮です

二岡 アライヲ

ところで、香奈子さんはどんな絵を描いているのですか?

坊野香奈子

二岡 アライヲ

二岡 アライヲ

なるほど、素晴らしい。とても彼に良く似ていますね。ボクも大好きです

二岡 アライヲ

もうすぐ宵闇か。

二岡 アライヲ

いにお君。ちょっと応接室へ。この大量在庫の灯籠をビジネスチャンスに変えるプランを思いつきましたよ

窪中いにお

おお、めずらしくやる気になってくれましたか!頼もしいです

二岡 アライヲ

香奈子さんはそのまま、気ままに店番お願いします

坊野香奈子

はーい

窪中いにお

どうしたんですかアライヲさん…いや、My BOSS

どうしたんですかMy BOSS 随分とご立腹の様子ですけれども。こんな世の中だからこそ、もっとジェントルにいきましょうよ。ウハハハ

二岡 アライヲ

こんな○○だからこそ、の前口上を付けたら何でも持論に持って行けるのを知ってるか?

二岡 アライヲ

たとえそれが荒唐無稽な間違いだったとしてもな

赤鬼

They got a demon we don’t know.
(きっと彼らにもデモニキュリオが憑りついてたんだろうな)

I am sorry. What are you talking about it?
(すいません。ちょっと何言ってるのか)

赤鬼

Wonderwall, This world will never be worse than the hell, you know?
(とどのつまり、この世があの世よりも凄惨になるなるのはどうかなと思ってな)

赤鬼

Anyway, don’t you wanna show the fireworks right now right here?
(閑話休題、お前、今すぐここで花火を見たいとは思わないか?)

Oh, I see. Smells good. You have a huge plan,Demon?.
(ああ、何となく察し。でっかい悪行を考えてるんでしょう?この鬼官房)

赤鬼

Definitely maybe. It is just a demonic plan.Come ride on.
(だいたいそんな感じさ。ただの鬼のきまぐれさ。ついてこいよ)

この世が地獄よりも悲惨であってはならないのだよ

See the fire,
inside you now

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