大人は健康のために日課の散歩をしていた。散歩をしているさい大人の前に子供の姿が見えた。
大人は健康のために日課の散歩をしていた。散歩をしているさい大人の前に子供の姿が見えた。
私の歩く道に子供たちが居る。邪魔で邪魔で仕方ない。何故、道を塞ぎ譲ろうとしないのだ。私が歩いているというのに。
おい、そこをどけ子供
何だよおっさん
偉そうにだぞ
何を言うか、お前たちより私の方が偉いに決まっているだろ
私の道を塞ぐ子供たちは快く道を譲った。最初から素直でいれば良いのだ。
大人は日課の散歩を続けた。どうやら後ろから何か騒がしい声がしたが大人にとって関係のないことだった。
さてと……ん?
…………
髪が伸びた子供が大人の前に現れた。髪の毛で良く素顔が見れない子供は何か言いたげに顔を見上げていた。
邪魔だぞ。私は暇ではない
…………
そこをどけ
幸薄い子供だったな。それにしても今日は忙しい。
大人は子供をどかし散歩を続けた。途中で喉が渇き自販機で水を買って喉を潤した。その後も何もなく散歩を続けた。
帰り道のことだった。曲がり角を通り過ぎようとした時、子供が急に現れてぶつかりそうになった。ぶつかりそうになった子供に腹がたった大人は声を上げる。
おい、貴様!!
どういうつもりだ。ぶつかって怪我をしたらどうする。前を見て歩いてないからだ
…………
どうせ、下ばかり見ているから――お前は?
子供に見覚えがあった。大人の前に現れた幸薄い子供だった。子供は素早く曲がり角の奥へと消えていった。
待て、私に誤りもしないで逃げる気か!?
大人は子供を追いかけた。追いかけると見知らぬ土地に出たが気にせず子供を追いかける。それにしても子供に追いつかない。体力に自身があるのに追いかけても距離が縮まらなかった。
ようやく子供は足を止めると人気がない空き地にたどり着いていた。大人は息が切れて息苦しかったが子供はピクリともしていない。
ハァハァ
…………
歳のせいか? 私がこんなに息が上がっているのに子供は息が上がっていない。まるで息をしていないみたいじゃないか。
息を整え大人は問いを投げた。
おい、子供。お前何者だ?
…………僕?
お前しか居ないだろ? 他に誰が居るというのだ
おじさんは僕より偉いの?
何を言い出すかと思えば
フハハハ
私の方が偉いに決まっているだろう
あまりにもつまらない事に大いに笑う大人に子供は首を傾げてた。
おじさんは偉くないよ
何故だ? 博学で裕福で怪力の私だぞ
お前みたいな子供と比較できるか?
違うよ。お前は偉くなんてない
いい加減に――しろ
大人は宙に拳を上げたときだった。大人は子供と目があった。髪の隙間から見える瞳はまるでライオンのように強く王の風格があった。
目があっただけでたちまち拳を下ろし腰が抜けそうになる。こんな事があるなんて思いもしなかった大人は何も出来ずに立ち竦んでいた。
もう一度聞く
お前は偉いのか?
…………私は…………偉くありません
ならば、そこをどけ
大人は身動きが取れなかった。動かそうとしても体の自由が効かないからだ。
どかないのなら分かっているな
同じことをするまでだ
動けないのです……許して――
子供が通る道に大人はいなくなっていた。
子供は友達のお見舞いに行った。どうやら最近、身勝手な大人に突き飛ばされて入院しているそうだ。
※この話はフィクションです。実際の人物・団体・事件とは一切関係はありません。