ナルサワ

最高っすね!鬱も吹っ飛ぶ爽快感。ただ潮風きつ過ぎて、もう毛先がカッチカチ。

ナルサワ

そういやマスター。車なんていつから持ってたんですか?

マスター

給付金で買ったんじゃよ。ウチは持ち家だし、一応デリバリー用の経費として青色申告できるかなと思ってじゃね

ナルサワ

ああ、そういうマネーロンダリング

ナルサワ

ところでマスター。なんで海に行こうなんて急に言い出したんですか?

マスター

そこのダッシュボードを開けてみたまへよ

ナルサワ

この中、開けていいんですか?

マスター

yes sure

ナルサワ

これは?

マスター

18でアスミと結ばれてから毎年、記念日には決まって指輪をプレゼントしてきたのだよ。そして彼女が他界してからは毎年指輪を一つずつ還すことにしているんだ

ナルサワ

どこに?

マスター

海さ。彼女の希望で位牌の半分を散骨したのだよ。江の島に

ナルサワ

知らなかった

マスター

私の残された人生の目標はね、この指輪を彼女に返し切る事なのだよ。
毎年、一つ一つに大きな嘘を込めながら海に投げるんだよ

ナルサワ

嘘?

マスター

今年も商売繁盛で一年過ごしたよ~!などだね

ナルサワ

それはひどい嘘だ

マスター

はは、全くだ。

どうせそんな俺の事も全部天国ではお見通しなんだろう?

そして輪廻の果てへ飛び下りよう

終わりなき夢に落ちて行こう

今変わっていくよ

続く

スリップ オブ ザ リップ その2

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