そう言って優しく微笑む奏多くんは、私を引き寄せると髪を撫でながら頬にキスをする。
オリエンテーション合宿が終わってから、無事に奏多くんとも仲直りのできた私は、何事もなく平穏な日々を過ごしていた。
『もう奏多の事は大丈夫だから、安心して』
そう言った優雨ちゃんに連れられて奏多くんのところに行くと、『怖がらせてごめんね』と謝ってくれた奏多くん。
それからは以前と同じ日常に戻った。
変わった事といえば、奏多くんのスキンシップが激しくなった事。
夢は、今日も可愛いね
そう言って優しく微笑む奏多くんは、私を引き寄せると髪を撫でながら頬にキスをする。
オリエンテーション合宿が終わってから、無事に奏多くんとも仲直りのできた私は、何事もなく平穏な日々を過ごしていた。
『もう奏多の事は大丈夫だから、安心して』
そう言った優雨ちゃんに連れられて奏多くんのところに行くと、『怖がらせてごめんね』と謝ってくれた奏多くん。
それからは以前と同じ日常に戻った。
変わった事といえば、奏多くんのスキンシップが激しくなった事。
……ありがとう、奏多くん
以前、奏多くんにされた事がトラウマとして残っている私は、怒らせないよう黙って奏多くんのスキンシップを受け入れている。
勿論、キッカケとなった隼人くんとは一切関わらないようにしているし、隼人くんから話しかけてくる事もなかった。
スキンシップの激しくなった奏多くんを見て、周りの生徒達は私達が付き合い出したと噂するようになり、奏多くんもそれを否定する事はなかった。
夢ちゃん、おはよー
上履きに履き替えていた私の肩をポンッと叩くと、笑顔の由紀ちゃんが声を掛けてきた。
おはよう、由紀ちゃん
やっぱり、噂は本当なの? 奏多くんと付き合い出したって
えっ……あ……
ニッコリと笑って尋ねる由紀ちゃんを前に、返答に困った私はその場で狼狽える。
ーー本当だよ
背後から聞こえてきた声に振り返ると、上履きに履き替え終わった奏多くんが、優しく微笑んで立っている。
こんなにハッキリと肯定する奏多くんを見たのは初めてで、私はとても驚いた。
奏多くん……。私達、付き合ってなんていないのにどうして……。
やっぱりそうなんだ! 二人とも、凄くお似合いだよ! じゃあ……私はお邪魔だろうから、先に行くね
夢ちゃん、また後でね
と手を振って去って行く由紀ちゃん。
……これで、皆に知れ渡るだろうね
そう言って微笑む奏多くんを見て、私はとても戸惑った。
奏多くんが何を考えているのかわからない。
平気で由紀ちゃんに嘘をついた奏多くん。
表情こそ笑顔でいるけれど、そんな奏多くんを見て再び恐怖を抱き始める。
それでも、私は臆病者だから……。結局、奏多くんに何も言えなかった。
ーーーーーー
翌日から、私への嫌がらせが酷くなっていった。
奏多くんが交際を肯定し始めた事で、あっという間に噂は広がり、奏多くんファンが激怒したのだろう。
教科書がズタズタに切り裂かれたり、悪口を書かれたり……筆箱が無くなったり。毎日のように、何かしらの嫌がらせを受けた。
それでも、私は誰にも相談する事ができずに、一人隠れて涙を流しては、ただ、黙って耐えるしかなかった。