私の耳元から顔を上げた奏多は、そう言ってニコリと微笑んだ。
夢が知ったら、どう思うかね?
私の耳元から顔を上げた奏多は、そう言ってニコリと微笑んだ。
もう、一緒にいられなくなるかもね?
奏多の言葉を聞いて、私の背中にジワりと汗が滲み出す。
優雨だって、あの男が邪魔なんじゃない?
……
あの男を夢から遠ざけてくれるなら……。夢には、黙っててあげるよ?
……っ
あぁ……。勿論、夢には今まで通り優しくしてあげる。あの男が邪魔しないなら、ね
……
悪い話しでは、ないはずだよ
私の肩にポンと手を置いて微笑んだ奏多は、再び私の耳元に顔を寄せると、
よろしくね、優雨
と言い残して立ち去って行った。
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いやぁー。こんな美人さんに呼び出しされるとは、嬉しいね~
目の前に立つ男は、金髪に染まった髪を風に靡《なび》かせてニコニコと微笑んだ。
私は、隼人という男を学校の屋上へと呼び出したのだ。
昨日、奏多に言われた事を実行する為に。
あなたに、お願いがあるの。夢には……もう、近付かないで
……はっ?
突然そう切り出した私に、驚く隼人という男。
……なんで?
奏多が怒るから
怪訝そうな顔をして質問してくる男に、私は真っ直ぐ見据えてそう答える。
はぁ……。そんなに奏多って奴が大事なーー
違うっ! 私は、夢の為に! 夢がっ……っ! ……奏多が怒ると……夢が怖い思いをするからっ……!
言葉を遮って声を荒げる私に、一瞬驚いた顔を見せた男は一度大きく溜息を吐いた。
……夢ちゃんの為、ね。……わかったよ。けど、何かあったら、俺は迷わずに助けに入るからね?
っ……ありがとう
うん……。だからさ、頼むから泣かないでよ
そう言われて、初めて自分が涙を流している事に気が付く。
私は頬に流れる涙をそっと拭うと、これで夢を守る事ができたのだと、心から安堵した。
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