(この作品は『仮面ライダーW』の二次創作作品です。実在の人物、事件等との関係はありません)
(この作品は『仮面ライダーW』の二次創作作品です。実在の人物、事件等との関係はありません)
【2017年、風都。左翔太郎】
おい! 俺たち変身したぞ!
だから、そう言ってるじゃないか。いよいよ老化かい? 翔太郎
俺たちを見下し嬢ちゃんが言う。日は夕闇へと姿を誤魔化そうとしていた。
Σ(シグマ)は、W(ダブル)とちょっと違うよ。翔太郎さん♪
横に歪む光の中で嬢ちゃんは謳った。
まず、縦に割れてない。横に割れる
おいおい、オジちゃんをバカにすんのもいい加減に、ってほんとーだ!
俺たちは上半身が緑色、下半身が黒色の1人の仮面ライダーに成っている。よく分からんが表彰ものだ。名も知らぬ御嬢さん。
何か言った? ちなみに仮面ライダーΣ(シグマ)の必殺技は、上半身攻撃の『C(サイクロン)パンチ』と、
なるほどね。僕が主導でパンチの高速化。了解だよ
フィリップがこの腕をぶんぶん、軽量級ボクサー宜しく、と振り回す。スウェーで上半身をのけ反らせ、って、お前、いつの間にこんな高等技術を!
下半身攻撃の『J(ジョーカー)キック』だよ!
まぁいい。俺がキックで良かった。まぁ、パンチはフィリップ、キックは俺、みたいな区分は前から在ったわけだし。
なるほど、下半身攻撃か。意味深だがまぁいい。H(ヒート)を『ブレイク』するぞ! フィリップ
そ~れ~は、困るなぁ。御兄ちゃん達には、『メモリ』を『ブレイク』しないで、
嬢ちゃんが駅舎の脇を指差す。そこには『財団X』も持っていた、あのチタンのトランクが転がっていた。
『コレクト』してもらうよ。これ、クライアント要求だから。はい、これ契約書
うっそ。マジかよ
亜樹子が駆け寄りそれを受け取った。その目が怯えた子猫ちゃんの色をしてやがる。
翔太郎くん。これ、マジなやつだよ。Bな認可も降りてる
あの亜樹子が恐れる代物だ。それはマジなものなのだろう。殴られちゃいないが唇を拭ってあの子へ回答を申し込む。
とにかく、俺たちはどうすればいい? キックかパンチか? おい、嬢ちゃんどっちだ!
じゃあ、
嬢ちゃんは、小粋に『サムズダウン』を決めて見せた。
とりあえず、キックで
シグマドライバのスロットを叩く。力を込めて空高く飛翔した。
【J(ジョーカー)マキシマムキック!】
急降下、叩きつけた爪先がドーパントに痕を残す。爆発後、その炎が弱弱しく揺らいだ。
が、奴の腰のメモリは未だ無事なままだった。
まあ、この程度で壊れる、あたしのメモリじゃないっての
指を構えて問いただす。
お前は一体何者だ? この街に、いったい何が起きてる?
あたし?
少女は語った。つかつか、とトランクの方へ歩み、その中を足蹴で示してみせる。
あたしは風渡歩(かぜわたり あゆ)。女子高生科学者やってる。
今、この世界にはFD(ファイナル・ダウン)が起きようとしているの。2度と来ない夜明けが
トランクの中は空。だがメモリを仕舞う棚だけがご丁寧に揃っている。その3つ目を足先で叩いてみせた。
そして、そのカギを握っているのが、『C』のメモリ
俺の中でフィリップが問う。
サイクロンかい?
ううん。あたしにもまだ分からない。今、四方に手を尽くし探してるところ
……。
そんな中、H(ヒート)ドーパントが必死な形相で起き上がってきた。まぁ、ドーパントに顔があればそういう。って話だ。実際はチープな面持ちで体を震わせ起き上がってくるところだが。
往生際が悪いな。そんなんじゃ女にももてないぜ?
ぬるくキメテないでさっさと回収してよね! おっさんライダー!
お、おっさ、
声を詰まらす俺を押しのけ、声の主導権を相棒が奪う。右目が『チカチカ』と、まぁ、察してくれ。
じゃあ、『コレクト』と行こうか、翔太郎。その前にあれ、言っておこうじゃないか? 決まるものも決まらない
お、おう!
慌てて応える。指を弾いて音を飛ばした。相棒と声を重ねる。俺たちが、心を一つにする瞬間(タイミング)だ。
さあ、
2人で1つのこの身体。俺たちは腕をしならせ指をHドーパント(敵)へと軽く伸ばした。
お前の罪を数えろ!