『ゥゥゥルデナァク』

ジュピター
「う! うひぃーーーーーっ!!」












ハル
「なななな何っすか!?」












ジュピター
「終わった。呪い殺されるぅ~~~」












ハル
「うへ!? 呪いってなんっすか?」












ジュピター
「せめて女の子とキスしてみたかったぁー!」












ハル
「え!? 木酢って何っすか? 木酢??」

ゥルデナァク!
ナニドルジャ!

ジュピター
「怒ってるぅ~。完全に怒っていなさるぅ~」











ハル
「おこって稲猿?」












ジュピター
「もう駄目だぁぁぁぁぁぁぁ~」












ハル
「そ、そうっすか?」












ジュピター
「ジッチャンのへそくり黙ってくすねてたの謝ります。買い物の御釣りをくすねてたの謝ります。しかも全額じゃなくせこい金額をチマチマとくすねてました。もうしませんもうしませんもうしません」












ハル
「ハハハ。ジュピター意外に醜悪っすね。」












ジュピター
「すんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんまそんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんませんすんません」

超訛りのある女

おでのかぁやになにどるじゃ?

ハル

な、何言ってるっすか?
ってか誰っすか?

超訛りのある女

だにっで、ひどのかぁやに
がっでにへぇって
いわしごに、にるゔぁーな。

ハル

全くと言っていいほど
意思疎通出来る気が
しないっす。

超訛りのある女

なぁもずってばんがにっ!

ハル

取り敢えず、
名前教えて貰っていいっすか?

超訛りのある女

ゆったらごんしごねちゃやあ~。

ハル

名前頼むっす。
自分はハルっす。
こっちのモジャモジャは
ジュピターっすよ。

超訛りのある女

はる?
じゅぴたー?

ハル

そうそう。
あんたの名前っすよ。

超訛りのある女

フォーミュラ。

ジュピター

超がつくほどの方言のくせに超綺麗な名前じゃねーか。ってか何? 何言ってんの? 滅茶苦茶ビビっただろ。あーもうビビって損した。それにハル、あそこで醜悪とか言い過ぎじゃねーか? 泣くわ!

フォーミュラ

なぁもゆげるに
すったらこすれぞんでーとる。
もじゃもじゃくりくり
ビーフジャーキー。

ジュピター

もじゃもじゃくりくりに飽き足らず、チキンカクテルレース編でヘルクィーンに命名されたビーフジャーキー呼ばわりか! 単純にディスッてるだけじゃねーか。しかも方言の合間に、ニルヴァーナとかレゾンデートルとかカッコ良さげな言葉が入ってるのがムカつく!

ハル

いやぁ~、ジュピターを
ビーフジャーキー扱いするとは
なかなかのセンスっすね。
恐れいったっす。

フォーミュラ

おでのせんすば
はるにゃもでげなすが?

ハル

自分は好きっすよ。

フォーミュラ

やんだばぁ~。
しゅげるに好きばっで
はるにゃさでれるがや。
うそいぶてとらんかや?

ハル

思ったまま言った
だけっすよ。

ジュピター

っておい。

フォーミュラ

はるにゃさわぁや、
ぐっさもろんご。

ハル

お言葉に甘えるっすよ。

ジュピター

って何普通に意思疎通
出来てんだよ。

ハル

何か段々分かるように
なってきたんすよ。
まぁ、これくらい話せば
誰だって出来るっすよ。

ジュピター

いやいや
ありえねぇーって。
…………で、
何て言ってんだ?

ハル

ジュピターは男前だけど
小銭くすねたりするのは
醜悪とかなんとかっす。

ジュピター

まだ言うか。
ってかどこで覚えてきたんだ?
その言葉。

ハル

冗談っす。
まぁゆっくりしていけって
言ってくれてるんすよ。

フォーミュラ

じゃーきー、おべりすく
しごねちゃやあ~。

ジュピター

どうやら
歓待してくれてそうだけど
どっと疲れるわ。

 会話の弾むハルと超方言のフォーミュラを横目に、ジュピターは口を歪ませ疲れを顕わにした。



 そもそも髭の教官が何故ここを勧めてきたのか? そんな疑問も消し飛んだビーフジャーキーだった。

 ~諷章~     182、ニルヴァーナ

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