アデルがランディの治療に走ったのを見て、ハルとジュピターが武器を持った。
目の前の魔物は、一瞬でランディを戦闘不能に追いやった。赤い何かが光ったとしか分からなかったが、自身の身も省みず前進するしかなかった。
ジュピター!
一瞬も油断
するなよ!
アデルがランディの治療に走ったのを見て、ハルとジュピターが武器を持った。
目の前の魔物は、一瞬でランディを戦闘不能に追いやった。赤い何かが光ったとしか分からなかったが、自身の身も省みず前進するしかなかった。
アデル!
アデルに呼び掛け水薬を投げるユフィ。そしてユフィはロココに何かの合図を出し、ハル達を追い掛ける。
遅いっす!
!?
多分ランディを攻撃したやつは
連発出来ないはず!
見える……。
全部切り落として
やるぞ!
はぁっ!!
ジュピターの連撃は、襲い来る魔物の触手を全て切り落としていた。そしてその隙に、ハルが魔物本体に手が届く場所まで踏み込む。
とどめっす!
ふぅ~
ギリギリだったっす。
完璧と言える手応えと、浮遊していた魔物が地面に落下したのを見て、ハルは一息ついた。が、次の瞬間には背中に悪寒が走り抜ける。
魔物は確かに地面に転がっている。
だが、ランディが倒れた直前と同じ感覚。完璧な手応えはハルの手の中に残っている。だがこの悪寒…………という事は――
そこよっ!
また迷宮一帯が赤色に染まった。
だが、今度はユフィの目には捉えられていた。赤色の閃光がしっかりと。そしてそれをギリギリのところで躱し、魔物の核と思われる赤眼に音速の鞭を奮ったのだ。
ユフィさん、
今ですね!
撃って!
ロココの刻弾は魔物の赤眼に着弾した。一気に周囲に広がっていた嫌な空気が引いていく。今度こそ魔物は倒した。
そしてランディの元へ四人が駆け寄る。
ランディ。
お願い…………
お願い…………
大量の血を流したランディの前で、アデルが祈るように呼び掛けている。水薬と治癒の指輪での回復は済んだようだ。
だが、ランディに反応はない。
横たわるランディの静けさが、床に広がる血の量が、懇願するように呼び掛けるアデルの声が、ハル達の鼓動を戦闘の時よりも早く高鳴らせた。