3月28日 夕方
3月28日 夕方
LINE電話で地元福島県で
銀行員をしている
コヴィドくんと繋がった。
はじめは新型コロナに関する
世間話をした後で
実は俺、昨日130万拾ったんだよね
というと電話の向こうで
コヴィドくんが一気に高揚し、
驚き笑いをしているのがわかった。
台東区の一角にある宿泊施設、
白いボロボロの紙袋、
中には帯封に赤ペンで
“100”と書かれた100万の束一つ
と
5千円札の帯で分けられた
三つの1000円札束
先日起こった
シチュエーションを
なるだけ詳細に話すと
なるほど、それは基本的には銀行を経由したお金じゃないね。
ふつう帯封(おびふ)には銀行の判子かプリントが必ずされてあるしね。
ピッツァくんの言う通り、偽札の可能性もあるよね
自分も本業の閉店作業で
ピン札からシワのものまで
いろんなお札を何年も数えてきた。
あの100万円の札束は
紙質の見た目は新古なのに、
札束のエッジがビシッと
そろっている。
そのギャップ、
違和感ははっきりと憶えている。
じゃああれが偽札だとして普通のATMに入れようとするとどうなるの?けたたましいエラー音で警備員が駆け寄って来るとか?
いや、多分機械が認識できなくて計数した後に弾かれっちまうと思う
あー、それうちの券売機でいうと、お札が汚くて別口に弾かれちゃうんだよね、そういうこと?
そうそう、まさにそういうこと。読み取れないからはじく。あとお札に書かれてる番号から入金者と場所と時間帯はセキュリティ上特定できるはずなんだよね
なるほど、あと1000円札束を5千円を帯代わりに使うのってかなり特殊じゃない?何か記号というか、意味があるのかな?
全く見ないわけじゃないよ。たまたま1000円札の端数が足りなくて帳尻合わせしてるかもしれないし…その持ち主のクセっていうか、管理しやすいまとめ方だったって可能性もあるね
そういえば昔、
500ウォンに傷をつけて、
自販機に入れて500円として
認識させて両替するっていうの
流行ったなあとか、
お金にまつわるエトセトラを
話して本題に戻る。
いずれにせよ、その金はヤバいよ。ピッツァくんが手をつけなくて正解だったと思うよ
3月31日 午前
そして来るつぎの出勤日火曜。
一番ユーモラスなフロントマンに
橋本さん、ペン持ってますか?電話番号教えてもらえますか?
と聞かれる。
これはもしかしてお金の
持ち主が来ないから、
見つかった際の第一発見者の
自分に権利を譲渡するという
遠回しの準備では?
と思ったのも束の間、
そういや、あのお金の持ち主きのう取りに来ましたよ~
マジか…
どんな人でしたか?
ちょいちょい来るお客さんでしたね。(身なりからして)建設関係の人かな?うっかり忘れちまってさ~って感じで。
なんでそんな大金を数日間も忘れてられるもんですかねえ
へえ、そうだったんですね~良かったです。
じつはここ数日ずっとあのお金の事でそわそわしてました。あの後どうなったのかなって?マジでくすねないで良かったですよ(笑)
あー、迷いますよねえ。自分もここで2~3週間前かな?20万入った財布拾いましたけど、ちょっと迷いましたもん(笑)
元・闇金取り立て屋で
バツイチ二児の父である
ユーモラスさんならいくらでも
隠してくすねようがあっただろう。
それをしないのが大人なのだ。
マジっすか、本物だったんですね。あのカネ!偽札かと思ってましたよ。持ち主が見つかって安心しました。いろんな意味で(笑)
という半分本心、
半分失意のコメントが
精一杯の自分。
以上。
よく「そこら辺に100万円おっこってねえかなあ?」なんてセリフがありますが、実際見つけても何もできないもんです。
まあ、貧乏人ヒマなしって事な?
La fine