朱華 緋奈子

すぐ戻るから!


『さようなら』。
その言葉を飲み込んだ、あなたの思いは。















第六サイクル





















祈雨丸(PL)

へへ、室内シーン表を引きたい
本とか…夜の町並みとか!

祈雨丸

大判シーン表(6) → 無人の路地裏。ここならば、邪魔が入ることもないだろう。

GM

安定の路地裏

祈雨丸(PL)

んー及第点w

GM

ふふwww













無人の路地……神社の、建物と塀の隙間、庭園の植木の間など、そんなところを通る。
誰もいない……
人の声はなく、人の足音も、息遣いもなく、ただ雨が石畳と池の水面を打つ音だけ。
そんな身に馴染んだ静寂の中で、ふと

『きーやん、また傘差さないで……』
『雨の龍だからって、んー、まぁそれもそうだけどさぁ』

そんな声が、今は此処でどれだけ待っても掛からないことを再確認した。

おかしなことを言う、と思っていた。
物覚えの悪い人間だと、愛らしく思いもした。
……いまはただ、

祈雨丸

なんと、贅沢であったことか

ととても小さく溢した。

祈雨丸(PL)

ええと、ただ雨が降っているから、という訳ではなく、後ほど演出を入れたいと思いますが、禁書HOに対する調査を《雨》で行ってもよろしいでしょうか!

GM

どうぞ!!

祈雨丸

(2D6>=5) → 10[4,6] → 10 [成功]

GM

おお~!出目が良い!

祈雨丸(PL)

いいぞぅ!よし……では、

空を見上げた。
もういつでもこの雨を止ませることは出来た。
シノビの足でなら、今頃もう実の家には着いているであろう彼女。
妹と、家族と、再び団欒のときを過ごしているのだろう。
だからこの雨は、生まれたばかりの…あるいは、この先で生まれるかも知れない感情に起因する、ほんのわずかな嫉妬だ。

『あぁ、雨が止んでくれない』
などと、家族と過ごす彼女の口から、そんな愚痴が零れるならば……彼女の心に存在していると思う事が出来るのだ。
陰湿、意地の悪い……自分事ながらそんな性格を忌み嫌っていたが、不思議と気分のいい今だから、開き直って考える。
祈雨丸は、陰湿な雨であり意地の悪い蛇なのだから。

祈雨丸

彼女を濡らす雨よ、我が指先よ、最後に教えてくれ。――禁書の秘密を、私が幾度も見たあの…白昼夢のことを

雨空に手を伸ばす。
祈雨丸の魔力は街に降る雨粒ひとつひとつに宿り、埋もれた真実を浮き彫りにする。

祈雨丸(PL)

……みたいな感じで…?

GM

大変良きです……!
それでは……

祈雨丸の魔力の宿った雨が町に降り注ぐ。雨粒が、ぬれた紅葉の赤を映した。
やがてそれらはぼんやりと光を放つ。
あなたの問いに答えるようにして、雨粒がかつての、誰かの記憶を、みたびあなたにささやきかけた。
 


























私はそれを、ずっと恐れていたのだ。

月のない夜のことだった。
あなたは、舞い落ちる紅葉の下で声にならない慟哭を振り絞っていた。
腕の中の彼女の肢体から熱が失われていく。命がこぼれ落ちていく。
人とはかくも脆いものなのか。
そして己とは、かくも罪深いものなのか。

躊躇などなかった。
あなたは自身の名を捧げる。
その行いが意味することは、十二分に理解していた。
世界に名が溶けていく。自身の体が綻び、生まれた糸が、己が歪めてしまった彼女の運命を無理やりにでも紡ぎなおす。

意識が閉じていく。
世界が遠のいていく。

あの緋色さえも、手の届かないところへ。

後悔など、なかった。
馬鹿だと、愚かだと、そう謗られても構わなかった。

しかし全てが消え失せる刹那、あなたの胸が軋む。
瞼の裏に、照葉が舞う。
後悔などなかった、筈だったのに。

君の舞を見られなくなるのが惜しいと、ただ、そう思ってしまったのだ。













禁書<緋を照らす残月>
■秘密

禁書<緋を照らす残月>は、かつてとある魔法使いが消滅の際に抱いた願いにより、転化したものである。
朱華は代々禁書の力を舞によって封じ、それでも溢れた力を身の内に押し込んで災厄が顕在化するのを防ぎ続けていた。
いつしか断章<緋色>は朱華の血に溶け込み、やがて朱華は不知火に名を連ねることとなった。
禁書はかつて抱いた願いの残滓により、本能的に朱華の元にあることを望んでいる。
禁書を朱華の元へ戻し、手を引くことを約束するのならば、編纂の必要なく彼は朱華の封印を甘んじて受け入れるだろう。











その秘密と記憶を見たあなたは理解するだろう。
三度過った記憶の主、“彼”が、自身が起こした変転によりあの美しく舞っていた“彼女”の命を奪ったこと。
そしてそれをなかったことにするために、『自己犠牲』でもって介入を果たしたこと。
しかし最期に過ってしまった後悔故に、禁書と化したこと。

それは昔々の物語。
今のあなたには関係がない話。
しかし、同時にあなたは、少し前に緋奈子と交わした言葉を思い出すかもしれない。

“朱華は不知火の家系ではない”
不知火の家系でなかったはずの朱華が、炎を操るようになり、結果として不知火に数えられるようになった理由。
それがここにあったのだと。

祈雨丸(PL)

ふむ…………
行動方針はおおむね決まりました!

GM

お!
ちなみに、現在禁書は<照らす残月なので、<緋色>がない状態でノーマルです。なので、血に溶け込んだ<緋色>は何とかしようとしなくてもOKです、とは……。

GM

祈雨様はそうではないとわかっていますが)もし禁書絶対消すマンであれば、朱華の血を絶やす必要があると感じても不思議ではないでしょう、という感じですね!

祈雨丸(PL)

りょうかいです!一応、今後の提案と言うか、行動方針についての相談と言うか、祈雨丸ならこういう行動をとるかなーっていうのを…お知らせしておこうかと……(?

GM

お、お、ぜひぜひ

祈雨丸(PL)

はい!
まず、結論としては〈禁書〉は朱華のもとに返します。しかし返して終わりにはせず、今回の書籍卿による襲撃などの防衛線として、今後は大法典の監視を入れることを条件にすると思います。交渉…というか、お互いの為と言うか……

祈雨丸(PL)

こちらで一番自然に思いつく提案(RP)は、祈雨丸が朱華の宝の番人になる(朱華の蔵を管轄下に置く)事かなぁ。龍種の信条は『古の秘密や魔法を守る』ことなので、あるべきところにあるということを重視してますし。

祈雨丸(PL)

この提案を朱華、というか綾緋ちゃんが、かな、どう思うか次第というところですかね……緋奈子ちゃんを守るためではあるけど、龍なんかの支配下に置かれるのは勘弁だ!と言われたら、まぁ、強行しかないかなぁとは……(人間の命は救いたいので)

GM

はい!祈雨様ならではの結論で、大変良きだと思います……!
そうだな……、あまり詳細に説明はできませんが、綾緋は幼く感情的ではありますが、頭の良い子であり、自身の好悪の感情はあるにしてもそれに流されるような子ではない、とあの時交わした会話から感じて良いでしょう。
それを踏まえて、処理の話を少し……。

GM

“秘密”にあるとおり、完全に禁書から手を引いて朱華に戻すのであれば、クライマックスで編纂の必要はありません。ただ、今いただいた提案は手を引くとはいいがたいので、編纂は必要になってくることでしょう。それだけはお伝えしておきますね!
そしてGMとしては、祈雨様のその選択は親指立ててGOサインを出しますよ、と!

祈雨丸(PL)

ほう、ふむ……?

GM

何か不明点とか、もやっとポイントがあったらお聞きくださいまし!RPで聞いてもいいですし、GMに聞いても良いです!

祈雨丸(PL)

ふむつまり、手を引く展開というのは、ただ朱華に返して、また再び何者かからの襲撃を受ける可能性を残したままであるということですかね?

GM

さっくりいうとそうですね!朱華に託して、大法典や魔法使いは関与しないという形であれば、それは手を引くことを意味しますね!

祈雨丸(PL)

ほほうなるほど……ふむ……いつ敵が来るかも分からない大自然に野放しと、大法典の護衛付き(執行猶予永久で朱華と一緒)みたいな待遇で、あえて前者を望む禁書くんの心が少し分からないPLですが……

GM

ああ、そこはですね、ちょっと解説を入れてしまうと…
今まで現に書籍卿の横やりはなかったというのが一つ。
それと、禁書にとっては、大法典からの関与=大法典への封印or外典しか発想がないので、それはごめんだというのが一つ。

GM

それから、これはGMの解釈の部分もあるんですが、禁書に理性らしい理性はないと思っています。消滅したときの“願い”にその行動はすべて支配される。となると、朱華の元に在り続けることだけが彼の望みなので、それをわずかでも邪魔するのなら全部敵という感じですね。

GM

なので、当然理性的に、合理的に考えれば、祈雨様の庇護下で朱華の元にあるのが一番良いのですが、禁書にしてみれば朱華以外の存在が在るのが単純にソレチガウ!ってなる感じかなぁ。理性がないので、そこの損得勘定ができない、というふうですね!

祈雨丸(PL)

ほうほう……では、そもそも禁書と意思疎通は出来ないものだと考えていい感じですね…!

GM

そうですね!完全に会話できない、全く言葉が通じない、とまでではありませんが、丁寧に説得して、『うん、わかった』となる相手ではない、と思ってもらえれば!
特に今は朱華の封印の外にあって暴走気味、というのもあるかな……。首輪が付いていないので、禁書としての本能が爆発してる感じ……

祈雨丸(PL)

了解です…! ならば、おそらく編纂の方向ですね……書籍卿襲撃の前例がなかったというのは、もう前例が出来てしまったから、警戒しない選択はない……
雑な例えですが『ずっと朱華と一緒だもん!!!(燃やしつつ』『だからそれを叶えてやると言うに全く!!!(穿ちつつ』みたいな感じで編纂をすることに…なるのかな……表現、凄く雑ですが…()

GM

ふふwww そんな感じですね! あとはまぁ……そうだなぁ……、禁書になんと伝えるか次第かなぁ……。

祈雨丸(PL)

ふむ……あー……うーん……

GM

あとはあれだな…… 手を引いたら書籍卿の襲撃があるのに、なんで禁書はそっちを望むの?、というのはあくまで祈雨様が朽木の話を聞いてわかっていることであって、禁書はわからないし、それなら返り討ちにするだけだって思うだろうなぁ、と改めて考えて思ったGM

祈雨丸(PL)

なるほど! あ、そうだそうだ忘れないうちにメインで小説書いてきてもいいですか??(

GM

どうぞ!!www











白昼夢が覚め、鼻先をかすめたのは紅葉の赤。
未だ振り続ける雨のなかで、それに押し流されることなく、もみじは美しく舞い散っていた。

自らの蔵書のうちに取り込んだ、今は物言わぬ断章を取り出す。
……禁書とは、かくも重いものか。
悔恨を宿し、叶わぬ願いに縛られ続ける……恋し続ける意志というものは。

祈雨丸

……太陽殿

あの時は、分からなかったが。

この世界に残った魔法使いの影法師。
残影。
あなたが自身を愚かであると言うのなら、罪深いと言うのであれば、きっとこの祈雨丸も同じだ。
二の舞は演じるな、と……顔さえ知らぬあなたに叱られているような思いにすらなる。

祈雨丸

でも、あなたは最期に至るまで後悔はなかった。そうなる未来を、可能性として理解していながら

二の舞を演じるな、もう一度、残影が、いや、祈雨丸が、糾弾した。

祈雨丸

……ですが、言い逃れできぬことも分かっているだろう

馬鹿だと、愚かだと、そう謗られても構わなかった。

祈雨丸

それは、私とて同じことなのだから

あの舞を愛した者同士の奇縁、時は違えど、今更異なる道を選ぶことなど……出来ない。
願わくは、朱華の物ではなく、また過日の彼とは異なるものを、ひとさし。
この手で繰り返すことなく“舞ってみせよう”。
遠くで雨の音に紛れ、少女の足音がした。それを聞き、祈雨丸は深く息を吐いた。
……舞い戻ってきた彼女を、笑顔で迎えるために。

風に木々が揺れる。
不意に、舞い落ちる紅葉を見上げる一人の男の姿が揺らめいて現れた。
朧で、今にも消え失せてしまいそうなその影は、何も言わずに紅葉を見つめている。
そして、あなたに目を向ける。
何も言うことはなく、ただじっと炎のように揺らめく瞳で見つめていた。
それは、確かにそこに現れた誰かなのか、あるいはいつかの記録が再生されただけなのかはわからない。

GM

この姿に、あなたは気が付いても良いし、気が付かなくても良い。

祈雨丸(PL)

ふむ……では、気が付こう。


が、それを目にした祈雨丸もまた、それに対する動揺も戸惑いもない。
鏡を見るようにしてただ黙し、時が経って行く。

では、彼はしばらく見つめた後、静かに目を伏せ、ゆらりと消える。
祈雨丸は、雨が彼をすり抜けていたことにも気が付くだろう。

幻というには意志を持ち、幽霊というには趣のない……。
この世界に染みついてしまった影、というのが最も耳に馴染む。
そんな影を、僅かな微笑みで見送る。

では、そんなあなたの耳に明るい声が届く。

朱華 緋奈子

きーやん!お待たせー!やば、すっかり暗くなっちゃった……!


ばたばたと無警戒に駆けてくる少女は、小さな風呂敷のようなものを抱え、さらに器用に傘を持ちながら祈雨に手を振っていた。

朱華 緋奈子

って、きーやん、また傘差してないし!

傍まで来た彼女は、慌てた様子で傘をさしかけようとする。

相変わらずの勢いに苦笑する。

祈雨丸

……私は、雨龍ですよ

いつもの台詞を言う。

祈雨丸

……ですが、ありがとうございます

背伸びする彼女から傘を奪い、
高く掲げて二人分の雨よけにする。
そして、

祈雨丸

……おかえりなさい、緋奈子さん

と呟いた。

その言葉にぱちぱちと目を二三度瞬かせ、それから緋奈子は、少し気恥しそうに笑顔をこぼした。

朱華 緋奈子

うん、ただいま











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NEO HIMEISM 様
https://neo-himeism.net/

【マギロギリプレイ】月明りに照葉舞い | 本編 第六週 一

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