緋奈子から断章を取り除いた祈雨丸。
彼女がなぜ断章を持っていたのか、また言い出さなかったのか。
それを知って出した結論は、しばし考える必要がある、と。
第四サイクル
飯タイムの心持で来ているので、ご飯はさむかな……
ご飯タイムウフフ
緋奈子ちゃんのレパートリー的に、今日は何を作ってくれるだろうなー?
今日はねーーーー…だめだ、今GMの思考がゆるやかで、そぼろごはんしか思いつかない
※この日、GMは業務で忙殺されていた。
そぼろごはんたべよう
そぼろごはんです!3色丼です!
わぁい!三色なら一色くらい手伝おうかな!?
おっおっ、台所来ちゃいますか!!
たまにはね!!行きますよ!!邪魔でなければ!!
いらっしゃい!!!いや、もともと祈雨様の家だけど!!
ふふ
台所に行くと、緋奈子がそぼろを作っていた様子。
腕まくりをして、まだちょっと覚束ない手際ながらなんとかこなしているっぽい。火加減がちょっと強い。
火加減が強い。……後ろから近づいてそれに気づく。
結構強火ですね……?
と手元を覗き込む。
うぇ!?
どうやらかなり深く考え事をしていた様子で、いつも気配に敏い彼女にしては珍しくビクッと肩が跳ねる。
え、そ、そう!?
わたわたと慌てて火の様子を見ている。
やば、ほんとだ。ちょっと焦げてる……ええと……(どたばた)
すこし身体を引いて
おや、驚かせてしまいすみません。いくらあなたとはいえ、ぼんやりとしていた様子でしたから、心配していたのですが……
的中ですね。雨龍の社で、火事が起こるところでした
と冗談交じりに笑い、
私にも少し、お手伝いさせてください
と横に立つ。
だ、大丈夫……だし……
と言いつつ、実際に今火加減がヤバかったのは事実なのでぐぬぬぅ、となる。
……火の扱いなら、うち慣れてるし……
とぼやきつつも、ちらと隣の祈雨様を見上げて
……んじゃ、炒り卵とか、つくれる……?
弘法大師もときに筆を誤るものですよ
と微笑ましく思いつつ
炒り卵……作ったことがないわけではありませんが……覚えているだろうか
と後半は若干独り言になっている。
料理レベルとしては、記憶にある物を思い出しつつなのでちょっと手際が危うい……失敗と言うほどではないけど、悩みながらの作業だからちょっと固いかな?ってくらいですかねぇ。
じゃあ、その様子をみて
まー、こういうのは慣れだしねー
と自分も慣れていないくせにちょっと得意気になって教えようとしようかな!
かわいい、
なるほど、では…教わって慣れないといけませんね
と視線を向けるぞ!
うちは甘いのが好きだから砂糖いれちゃうんだけど、入れすぎると焦げやすくなるから……こんくらいかなー。で、さっと入れてちょっと強火でささっと回す。止めると焦げるからー……
とかちょっと楽しそうに説明して、
どう?
と顔を上げたらばちっと目があっちゃうんだな!
!
そして思ってたより距離が近かったやつ。
ばちっと目が合うと、紫の双眸がしっかりと覗き込んでいるのだ!
流石です、その手際、見る度に上達しているようですね
うぇええ!? いや、その、うちは、ま、まだまだっていうか! ってか今だって焦がしそうになったし……!!(あばばばばば)
照れやら嬉しいやら近いやらであばばばってる緋奈子
ふふ……その慌てようを笑顔で見守りつつ
一人でいると、きっとそうでしょう
ですが、今祈雨に手ほどきするあなたはとても楽しそうにみえましたよ
と、先程悩んでいたであろう様子にちょっと言及する……
一時でも忘れろ、とは…言えません。ですが、思い悩みすぎることも……今のあなたには、毒でしかないでしょう
……!
考え込んでいたのを見られていたことに気づき、ちょっとバツが悪そうにしつつ、小さくはにかむ。
……うん、ありがと
……たまごできたし、そろそろ盛り付けよっか
と笑顔に戻る。
はい
とこちらも笑顔で、最後までお手伝いするぞ!
では手分けして盛り付けたー!そぼろごはんです!
わーい!PLも好きなやつ
GMもすきー 簡単だし……強い味方……。
そぼろはちょっと焦げていて、炒り卵は固め。そんなそぼろごはんです
ふふ、緋奈子ちゃんと席について手を合わせる……
では、本日も頂きましょうか
うん。いただきまーす
と一緒に食べるのだ……。ちょっと焦げたねー、とか言いながらしかし顔を綻ばせている……。先ほどに比べればリラックスした様子
卵も少し硬いですね
とか少し苦笑いしながら、それでも味わって口に運ぶ……リラックスした緋奈子ちゃんを見て、祈雨丸も安堵する……。
まさか、人と共同で料理をするようになるなど……いつの時代の私に言っても、一笑に付されてしまうでしょうね……
そうなん? あー、そういえばあまり料理自体食べないっていってたもんね(ふんふん、と頷きつつ)
……正直、どうだった?
と伺う。
微笑みつつ
少しの焦げ、火の通し過ぎ……この失敗は否めませんが、しかし、今回は”共同で料理をした”という得点による充実感が強いですね
次の祈雨丸に、ご期待ください。あなたの教授により、もう少しだけ上手くなっているだろうと思いますから
(満足そうな笑顔とともに)
緋奈子は、その言葉に小さく吹き出した。
んじゃ、楽しみにしてるわー。あ、でもあんまり上達しすぎるとうちの立場がなくなるなー
とか冗談めかしてけらけら笑う……。そしてその笑顔に、緋奈子もまた安堵の色を浮かべている……。
(……てか、そっか。初めてかー。……初めてかー……)
と内心ちょっとニヤニヤしそうになっている緋奈子もいる。
まさか、人の手料理に勝るものなどありません!
と少し身を乗り出しつつ
あぁ……しかし、あまり催促し過ぎるのも問題ですね、作って頂く立場の私が……(着席)
うぇ!?
身を乗り出されたのでちょっとびっくりして反射的にのけぞりつつ……、着席した祈雨様にくすくすと笑う。
まぁ、うちも好きで作ってるから気にしなくていいよー
と言った後、ハッとして
お、お礼にってことでさ!お世話んなってるし!
(供物より、生贄より、手料理が美味しいって私に教えてしまった彼女にはちょっと責任を取って頂きたいくらいなんですよね)(?)
へへへ……
スン…としつつ
屋根を貸すことが果たして世話と言えるのか……
とちょっとしょんぼりは止まないが、
……その言葉に甘えさせていただきます。あなたの気まぐれが、なるべく長く続きますように
……十分、世話んなってるよ
と小さな声で言ってちょっとほほ笑む。今回のことも、前のことも……。そしてニカッと笑って明るく言う。
まぁしばらくは終わんないよー。うちも練習の成果みせないとだしねー
やっぱり、前に居場所がない気分になってフラフラしていたとき、何気なく祈雨様に『ここにいていい』って言われたことは緋奈子にとっては大きいんだろうなぁ~とふと。
『ここにいていい』と言った本人的には『ここにいてほしい』に変わりつつある(抑えてる)状況なんですよねなどと
緋奈子は、今までの感じからしても『うちはきーやんの特別にはきっとなれない』と思っている部分あるだろうからなぁ…… それでも、と想っているわけだが…… へへ…
『特別視したら迷惑をかける』のでね……!現状維持したい祈雨丸の理性。ふふ……
ありがとうございます。是非披露して頂くために、祈雨もそろそろ“すーぱー”なる場所に買い物に行かねばならないかな……
などとぼやくのだった……
ふふwww
スーパーで買い物してるきーやん……
ちょっと想像して少しニヤッとしつつ、
んじゃ、一緒に行く? そしたら作るものとかも相談できるし
と何気なく。
なるほど、効率が良い……
と言いかけて
しかし、すーぱーまで辿り着けるでしょうか。向かうまでの道のりで、大分多くの食材を頂いてしまうので……(近所の商店街の人たちがめっちゃ野菜とかくれる)(無意識にお供えされてしまう)
なにそれ?!歩いてるだけでお供えされんの!?やば……半端ないねー……。神様じゃん……
ありがたい信仰心です、あのような方々がいらっしゃるからこそ、この神社が廃れずに残っている……とはいえ、はい……半端ない、という状況です(苦笑)
じゃ、まずは貰ったものを使うことが先決かなー、腐っちゃう前に食べなきゃだしねー。でも、調味料とかそういうのはさすがに貰わないっしょ?
ええ、流石に日常でもらう事は少ないので(※たまに貰ってる)そちらの買い出しは必要になるかもしれませんね
それじゃあ、今度そういうの買いに行こうよ。スーパー行ってみると、こんなのあるんだーとか思うのも結構あるし
……にしても、お供え物かぁ……。うちこんなふうに……雑っていうか……えーっと、な、仲良く、させてもらってるから、忘れがちだけど……、きーやん神様なんだよねー
……もしかして、うちももっとちゃんと敬ったほうがいい……?(はっ)
えっと驚きつつ
いえ、祈雨は敬意が欲しいわけではないのです。ただ、私は人と共に在りたい……そのために、人に”信仰”してもらいたい……祈雨の名を覚えていてもらいたい
あなたは、祈雨という神性を成り立たせるうえで、大事な人間の友人。そのようなことを気にしなくとも良いのです。ええっと……ふれんどりぃ?で、良いのですよ
神性……
望まれれば……というようなことを前に言っていたのも緋奈子は少し思い出す。
完全に理解したとは言い難いが、なんとなく察する部分はある。
それでも、どこかその言い方が少し腑に落ちないような気も……
……ん。そうだったわ。うちら、友達だしねー
と、しかし、少し複雑そうな顔をしたもののすぐに笑ってみせる。
(……神様じゃなくても、とか言ったら、困らせるんだろうなぁ)
とか内心思っていたりするが、言葉には出さない……。
(人として、私の友人。そうであり続ければ……それが一番よい事なのだろう)
と思いつつ、緋奈子ちゃんの笑顔に応えるのだった。
背景画像
NEO HIMEISM 様
https://neo-himeism.net/