□マスターシーン
このあと1時間後くらい、ちょっと遅かったなーってくらいに神社に帰りますね!
はーい!ちなみに、緋奈子自分で手当してたことにしますか?それともちょっと薬箱の位置わからなかったことにしますか??(完全に趣味で聞いている)
ふふ、じゃあちょっとうろうろしててもらおうかな……見当はつくけど、ありそうで見つからなかった…?
はい!ではうろうろしてた……ら、祈雨様が帰ってきた……
あ!きーやん!ええと、ごめん、やっぱ見つかんなくて……、ってか雨降ってた?タオル持ってくるわ!
と、ぱたぱたとタオルをとりに戻る。
あぁ、すみません。これはすぐ乾きますから、ご心配なく……
とか断ってもタオルを渡されちゃうん...
すぐに持ってきて渡しちゃいますね……。タオルの位置はもう把握済みなのだ……。
きーやんいつもそういうよねー。でも気ぃ抜くとこーいうので風邪ってひくもんらしいよ?
そうなのですか……祈雨は風邪を引いたことはありませんが、雨龍が雨で倒れたら笑いものになってしまいますね
タオルを受けとって髪を拭く…
きーやん丈夫だ。うちも風邪ひいたことはあんまないけどねー
と笑いつつ……。ちなみに、一通り傷の汚れなどは自分でふいたようですが、薬箱の位置がわからず手当はしていない状態。
ではそれに気付き
薬箱、やはり場所が分かり辛かったですよね……お待ちください、今持ってきます。場所は……
と定位置を口頭で教えつつ、薬箱持ってきました!
おー、ありがと。……薬までもらっちゃってごめん。今度補充しておくからさ
と言いつつ、手ごろな包帯とかをとります!
いえ、巫女が怪我した時程度しか使わないものですから……
お手伝いさせてください、不慣れではありますが……せめて消毒くらいは
と近くに腰を下ろすなどしてスタンバイ!
急に近寄られたのでピャッとなりかけるも、
あ!うん!あ、ありがと!
と平常心平常心……。で、包帯を抑えてもらったりして手伝ってもらったりなんかするんだけど、痕って残ってますかね?
ふふ、残しましょう……結構締め付けただろうなぁ
では、刀傷とかに包帯を手際よく巻きつつ、その痕に気が付くんだな……。
あれ。これ……
刀傷を負ったときは体は乗っ取られつつ知覚はしていたけど、痕を負ったときは呪圏の中だったのもあって夢心地くらいかなぁ……
!
緋奈子ちゃんの声に気付いて、それを目撃する……確実に自分があの時やらかしたものだと思い出す。
あぁ、すみません……!私はまた加減できず……
軽く掴んだつもりだったのに、思ってたより残ってるな!?ちょっと昂ってた時の私どれだけ緋奈子ちゃん逃がしたくなかったんだ!?みたいな
あー……
とぼんやりした記憶をたどり、あの時かな?と理解する。そして笑って手をひらひらさせる。
いーよいーよ。このくらい直に治るからさ
そういうわけにはまいりません
と、今度は持ち上げるように(掴まず)緋奈子ちゃんの腕を取る。
これは(なかなか)自然治癒しないタイプの痕だ!消さなきゃー!
へへ
へ!?
突然のことに!?となり、されるがままになる。
くっきりと付いている鱗の痕に、
祈雨丸は手の平をかざす。
すると、少しのひんやりとした冷たさのあとに、
その痕がすっかり
消えていることに気付くでしょう……
!!
それを緋奈子はポカンと見つめていたが、
様々な角度から確認して消えているのを理解する。
き、消えた……。すご……。魔法っぽい……
無事に消えたことに安堵しつつ
ええ、魔法ですよ
そ、そうだった。魔法だった……
ほー……と感心しつつ、
……ありがと
どういたしまして。……いえ、そもそもが祈雨の不手際によるものですから
と肩をすくめる。
それにはちょっと笑って答える
まぁ、戦ってるときって手加減とかあんまりできるもんじゃないし
……それにさ、そんな無理に急いで消してもらう必要もなかったんだけどね。ほら、うちの反省っていうか……
……嘘ついたつもりはさ、なかったんだよ。でも、結局同じようなことになってさ。……きーやんのこと、傷つけたのかなーって
と、改めて向き直る。
さっきは、いろいろいっぱいいっぱいだったからさ、改めてなんだけど
ごめん
謝罪を静かに聞き
……私も、あの時他に言うべき言葉は沢山ありました。あなたの無事を喜び、今まで断章の支配に耐えたことに対する労い、他にも…きっと……
あの夢から、あなたを救えてよかった。命がまだここに在る事、それが何よりの報い。だから、……もう、良いのです
夢……?
予知夢については知らないので、きょとんとしますね。
夢については、曖昧にしてるんだ…(死ぬ夢を見たとはここではとても言えない)
それから、あまり理解できないながらも小さく笑う
……ん。命あっての~ってやつだねー
ってかさ、別に『言うべき~』とか、あんま考えなくていいって言うか……、きーやんだって、怒りたいときは怒っていいんだよ? あれはうちが悪かったわけだし
と明るく笑ってから立ち上がりますね!
じゃ、お詫びとお礼になんか作るわー。……簡単なものだけど
緋奈子は良くも悪くもあまり深く考えていない……。むかついたら怒って良いし、悲しかったら泣いて良いし、嬉しかったら笑っていい、っていう考えがあるから……。
シノビ・ハグレモノは自由なんだ……
困り笑みを浮かべつつ
いいえ、それが人ならざる祈雨が人と生きるにあたっての、せめてもの礼儀…のようなものです。それに、あの時の私は、十二分感情的でしたよ
(祈雨丸程度の神格では、町一つの水害が限度だけど)神様は気まぐれで人間を滅ぼせるし、感情には気を遣うんじゃないかなぁ(祈雨丸みたいな性格の場合。しらんけど……)
怪我をしたその身で……と止めても、あなたは手料理を作ってくれるのでしょう。お言葉に、甘えさせていただきますね
……まーね。あー、あんま期待はしないでね!
と何度目かの念押しをしながら、緋奈子は台所に引っ込む……。
緋奈子の作る食事を待つ間に、珍しくあなたはわずかな睡魔に襲われる。
魔力の消耗によるものか、あるいは別の原因か。
ほんの数分にも満たぬ間。
微睡むあなたは一つの夢を見る。
否、それは、一つの記憶だ。
雨の匂いが香る。
一面に露が白く月の光に輝いている。
その中を緋色が跳ねていた。
軽やかに、しかし時に重々しく。
返す扇が、月影を写していた。
軽やかな火の粉か、あるいは風に踊る照葉のようだった。
美しいな、思わずそう零すと、彼女は愉快そうに笑んだ。
気恥ずかしくて思わず悪態を吐くが、彼女は一層笑うばかりだった。
そう。
こんな日々がいつまでも続けばよいと思ったのだ。
そのために、彼女を、この舞を、護りたいと願った。
それだけが、自分が彼女のためにできる唯一のことなのだから。
ほんの一瞬の夢。
それが、あの時垣間見た記憶の続きであることは想像に難くなかった。
残月……舞か……
そして……さっき回収した断章<残月>の剥ぎ取りをしておきましょうか!!
【裁火】で(震え声)
デスヨネ
さいかちゃんと読みあいはしたくないですね……(ふるえ)
私もです(ふるえ)
それでは、祈雨様は断章<残月を回収し、【裁火】をはぎ取りました。そして、断章を回収したので、ここでHOを公開します。
HO『禁書<緋を照らす残月>或いは<照らす残月>』
■概要
朱華の家に伝わっていた舞扇の正体。
これが引き起こす災厄は、憑依した者の意志にかかわらず、害するものをすべて焼き尽くすというもののようだ。
長らく朱華の元にあったようだが、この災厄が大法典に報告された記録は無く、またこの禁書の存在が察知されたこともない。
ほう……
先ほど大法典にも報告をあげましたし、その返答があった、と言う感じでしょうかね。
『その禁書の情報は大法典にはない』『少なくとも、大破壊以前も大法典に収容されていた記録はなさそうだ』といった具合です。
マスターシーン 了
背景画像
NEO HIMEISM 様
https://neo-himeism.net/