断章は緋奈子からはじき出された。
緋奈子の体からは力が抜け、自然と祈雨丸に寄り掛かる形になる。

GM

緋奈子がここで目を覚ますかどうかはご自由に!です!

祈雨丸(PL)

折角締め痕残したし、起きてほしいかな…!

GM

へへ 了解です!

祈雨丸(PL)

あとは断章を所持していたことも問い詰めて聞かねばなーと思いつつ、

朱華 緋奈子

うっ……

朱華 緋奈子

すぐにうめき声をあげて彼女は目を開ける。

緋奈子が目を開けると、
覗き込むように…というよりは、
見下ろすように険しい顔を浮かべる祈雨丸。

祈雨丸(PL)

丁度片腕で支えられている状態…かな。

朱華 緋奈子

一瞬ぼんやりしていたが、すぐにハッ!と状況に気が付き、咄嗟に離れようとする。
祈雨丸の纏う雰囲気も相まって、羞恥よりも焦っている様子だ。

支えているだけだった祈雨丸の片手は、
今はしっかりと緋奈子の肩を抱え込むように
掴んでいて離さない。

祈雨丸

……待て

と低く呟く。

祈雨丸

何故、黙っていた

視線は射殺さんばかりに鋭い……

力を込めて脱しようとするも不可能だと悟り、
その視線にびくりと肩を震わせて目を逸らす。

朱華 緋奈子

えぇと……その……

朱華 緋奈子

……あ、あんな風に乗っ取ってくる……とは思わなかったっていうか……。あと、その、絶対きーやんには言うなって言われて……


もごもごと言いつつ、目が泳ぐ。

祈雨丸

確かに……『断章』という存在とその危険性について、私はあなたに話したことはなかっただろう。故にそれが愚者に取り憑く類の厄であることを、想定できなかったあなたに非はない

独り言のように淡々と呟き、

祈雨丸

だが、

と唸るように続ける。

祈雨丸

断章の甘言に乗せられ、あなたは結果として私に嘘を吐いた。断章を選んだ。相違なかろう?

歪む顔、その目元には鱗が浮かんだ。

朱華 緋奈子

そ、れは……!

と一瞬言葉に詰まり、逸らしていた目を祈雨丸の顔に戻す。
そしてその歪んだ顔に、目を見開いた。
その瞳は揺れ、絞り出すように

朱華 緋奈子

……ごめん

と呟いた。

朱華 緋奈子

……全部言わなかったのは、謝る。……そのせいで、きーやんにこうやって面倒かけたわけだし、それは、うちが悪い、と思う


そしてうつむき、しかし

朱華 緋奈子

でも

と続ける。
そして再び目を上げる。先ほどの瞳の揺れは消えていた。

朱華 緋奈子

……断章、とかよく、わかんないけど、さ。
あれは、舞扇は、朱華のものだ。
うちはあれを持ち帰らなくちゃいけない。
それが、うちが綾緋にしてあげられる唯一のことだから

朱華 緋奈子

うちは、こんなだけど、朱華の人間だ

朱華 緋奈子

それは強い意志だが、追い詰められているような印象も受けるかもしれません。

朱華 緋奈子

……ほんとか知らないけど、あいつから、きーやんは舞扇を持ってくつもりとかって、聞いて、だから、言えなかった

祈雨丸(PL)

ちなみに、舞扇=断章(禁書)なんでしょうか…? 舞扇というプライズに断章が付いてる?

GM

=禁書のつもりでいてもらってOKです!ただ、祈雨様は禁書が禁書のままある(断章に分かれていない)状態では大法典は割とすぐにその禁書の存在を察知できるはずでは?というのは思って良いと思います

祈雨丸(PL)

ふむ、なるほど……つまり、この時点では、大法典の任務の為には舞扇を持ち去らないとならないって解釈するのが普通なのかな……

GM

そうですね。編纂して禁書を大法典に持ち帰ったら、朱華から舞扇は失われます。

祈雨丸(PL)

ふむふむ

祈雨丸(PL)

では、その言葉を静かに聞き、告げる。

祈雨丸

その言葉は、真だ

朱華 緋奈子

目を見開き、口を数度開閉させる。
しかし言葉は出ず、ようやく

朱華 緋奈子

……なんで


と絞り出した。

祈雨丸

大法典が魔法使いの責務は、禁書の回収。朱華の舞扇が『断章』であるなら、世界の崩壊を食い止めるために私はそれを回収する。例え、シノビを……朱華を、あなたを敵にしても、だ

言葉こそ鋭いが、次第に引いていく鱗、
そしてその顔の険しさは薄れつつある。

祈雨丸

『禁書』はこの世にあるだけで、様々な厄災を引き起こす。それは世界の滅びにさえ繋がる。……しかし、

と言葉を切る。
続いた言葉は、

祈雨丸

……今は少し、考えを整理せねばならぬでしょう

という弱気ともとれる言葉だった。

祈雨丸(PL)

そこに存在して、活性化しない禁書ってあるのか?みたいに悩みだしている蛇です。

朱華 緋奈子

世界の、滅び……?


そこまで大きな話になるとは想像していなかったのか、呆気にとられた様子で復唱する。
しかし、続いたその言葉に、強張っていた表情がわずかに和らぐ。

朱華 緋奈子

……じゃあ、すぐに持ってっちゃうってわけじゃないってこと……?

とささやくように確認する。

祈雨丸

……そう…いうことだ。魔法使いである以前に、私は龍神。人の営みを守る事こそ願い。……あなたに、朱華の営みに“舞扇”が欠かせぬものであるのならば、この『禁書』の厄災がなんたるかを確認してからでも遅くはないはずだ


その言葉に、緋奈子は安堵した様子だった。

朱華 緋奈子

……ありがと


とぎこちなく笑みを浮かべてみせる。

朱華 緋奈子

……うちも、ちょっと、考える。っていうか、アレがそんなヤバいもんだと思ったこと……なかったし


急に喋ったときはビビったけど、と小さな声で付け足しつつ。

祈雨丸

幸いにも、刻限までまだ時はある。考えると良い。……『世界を崩壊させ得る災厄』を抱えた一族の者として、あなたが、守りたいものは何か。手放せぬものが何かを……な

と静かに呟く。

朱華 緋奈子

…………守りたい、もの……

繰り返し、そして目を伏せた。
すくなくとも、すぐに答えが出る様子ではない。

祈雨丸

あとは……朱華綾緋のためにな

とそっけなく付け足す。

朱華 緋奈子

綾緋……!


大切な妹の名前にぱっと顔を上げて。こくりと一つ頷いた。

GM

これ緋奈子、情報の洪水で頭がいっぱいで、今どういう状況になってるか気付いていないだろうなぁ……

祈雨丸

……

その頷きを見つめて
しばらく口を閉ざしていたが、

祈雨丸

……さて、随分と獣道を駆けまわったようで。シノビがいくら丈夫とは言え、手当はしないとなりませんね

と穏やかに微笑む。

祈雨丸

我が社へ、帰りますか?

祈雨丸(PL)

ふふ… 刀傷残ってる…んだよな…? ついでに巻き付き痕()も残ってるけど!

GM

残ってますよ!!!!ちなみに、状況に気が付いちゃっていいですか???

祈雨丸(PL)

ふふ、いいですよ!!!

GM

わぁい!!!!

穏やかな様子が戻ってきた彼の様子に、また別の安堵を浮かべる。
それから少し気恥ずかしそうに笑って

朱華 緋奈子

……うん

朱華 緋奈子

と頷いたあと

朱華 緋奈子

…………うん?

朱華 緋奈子

と初めて状況に気が付いちゃおうかな!

祈雨丸(PL)

ふふ…… かつてない近さだなぁー!(

やたら近い距離。
肩をしっかりつかまれている。
じわじわと状況を理解し始めて、見る見るうちに真っ赤になる。

朱華 緋奈子

え、えーと!あの、もう、平気!だから!

朱華 緋奈子

と、さっきとは別の焦りで離れようとしてる

祈雨丸(PL)

とたんにギャグBGMが脳内に流れ出す(にっこり

GM

それ(にっこり

祈雨丸

おや

と手は離す。

祈雨丸

一般的な愚者であれば<断章の支配から逃れた時点で、直ぐには立ち上がりさえ出来なものですが……

祈雨丸

やはり、あなたはシノビなのですね。その回復力と精神力、恐れ入りました

祈雨丸(PL)

距離は取らないど、緋奈子ちゃんは解放しました!(?

朱華 緋奈子

うぇ!? う、うん、まぁ、その、こ、これくらいは、ね!?

朱華 緋奈子

シュッとシノビ的速度で距離をとりながら、よくわからない動作で真っ赤な顔を隠そうとしつつ誤魔化している。誤魔化せていない。

祈雨丸

素晴らしい、流石は、かの邪龍さえ調伏したシノビ。ここから社まで、護衛は必要ありませんね?

祈雨丸

私は、大法典に連絡を入れてから戻ります。先に戻って、湯殿をお使い下さい。薬箱の場所は……お教えしましたかね。分からなければ、少しお待ちいただけると

朱華 緋奈子

うぇええ!? ちょ、調伏、とか!して!ない!し!!


大慌てで、全身で否定しつつ、

朱華 緋奈子

う、うん!それはだいじょぶ!わ、わかった!じゃ、先行ってるから!!

朱華 緋奈子

と答えるや否や、一瞬でその場から姿を消しますね!シノビ的移動である。

祈雨丸(PL)

縦線でシュッと消える奴だ

GM

それです






~移動中の緋奈子~

朱華 緋奈子

ちょーっとまって、うちあの距離でずっといたわけ?マジ?

祈雨丸(PL)

こっそり緋奈子ちゃんのフードのなかに、使い魔のヤモリを忍ばせたのだった。今更危険は少ないだろうけど、万が一にでもすぐ転移できるように……

朱華 緋奈子

ぜーーったいきーやん特に深く考えてないってか、単純にうちが逃げないようにっていうだけのことでしょ!!わかってるけど!!わかってるけど!!

祈雨丸(PL)

ヤモリ心の声(せやで)

GM

ヤモリさんチッス

朱華 緋奈子

あーーーいうことホント気軽にやるから!まじ……!!もーー!!

GM

道中、一人で大爆発している緋奈子であった…












大法典に連絡を、と別の使い魔を呼び寄せようとした祈雨丸。
しかし、その表情は次第に暗く、険しくなる。
その変化に合わせて、雨がポツ、ポツと降りだす。
祈雨丸の肩を濡らした。

祈雨丸

……何故、

祈雨丸は呟く。
指示を待つヤモリは主を見上げる。

祈雨丸

何故、私はあの時……第一声に彼女の心配が出来なかったのだろうか

祈雨丸

何故、断章を前にして……彼女の名を呼んでしまったのだろうか

雨は、地面に水たまりを生み出す。
降りやまぬ雨は、その水面に凪の暇を与えることはない。
とめどなく、止め処なく、波紋は広がり、乱れる。

祈雨丸

……渇いているのか、わたしは

男はその手で鱗の立つ腕を押さえた。

祈雨丸

執着するな、彼女がいかに…私を、祈雨丸を許したとしても。私は、私が行き着く想いは……



















祈雨丸

蛇性、なのだ











蛇は雨音の中で掻き消える声で、
その名前を呟いた。



















背景画像
NEO HIMEISM 様
https://neo-himeism.net/

【マギロギリプレイ】月明りに照葉舞い | 本編 第三週 八

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