と、少し考え事をしていたようだったが、祈雨丸の声にごはんが冷めてしまったことに気が付いた。
ふふ、それでは部屋に戻ろう……用意してもらったおいしいご飯はすっかり冷めてしまっているんだな……
そうですね……。湯気はもうたっていないやつ
あぁ
と、その光景を見てため息。
折角……緋奈子さんに作っていただいた料理が……
と、さっきまでの攻防が嘘だったかのように、日常モードに切り替わる……
……あぁ
と、少し考え事をしていたようだったが、祈雨丸の声にごはんが冷めてしまったことに気が付いた。
ええと、まぁ、温めれば大丈夫…だし。たぶん……
ただでさえそこまで自信があるわけでもないのに、その上冷えちゃったらますます味微妙になってんじゃないかなぁ…って不安
ただでさえ、料理の腕に自信があるわけではない。
そのうえ冷めてしまったとなったら、ますます風味は飛び、料理の味も落ちているのだろう。それを思って、緋奈子は不安をにじませる。
加えて、そう答える様子にはどこか上の空といった雰囲気もあった。
先ほどのことについて、不安が残っているのだろうというのは想像に難くなかった。
……作りたてが、食べたかった……
と、ぼそりと独り言をこぼす。
緋奈子ちゃんの様子に気付き
……ああ、すみません。こんな時に、憂いを重ねるべきではありませんね
いただきましょう。ええと……電子れんじ……
ボタン に くせんしている ▼
ふふwww
へ?
祈雨丸の言葉に一瞬きょとんとする。
それから、少し沈黙して笑いをこぼす。
そんな言うほどの料理じゃないし、そんなにがっかりしなくても……。あー、電子レンジやるよー。うちのと似たタイプだわ
苦戦する祈雨丸に代わって、慣れた手つきで電子レンジいじる。
いいえ…!それほどのことです…!折角の、人の手料理だったのに……
と本当にちょっと悔しそうに……
そしてじっとレンジを操作する緋奈子ちゃんを観察する。
……人の文明が生み出す機会は、まことに不可思議です
魔法使いに言われてもなぁー
魔法のほうがよっぽど不可思議……、っても、うちがみたことあるのはどっちかっていうと妖術なのかな
そして観察されてたことに気づいて少しだけ動揺しつつ危なげなくレンジいじる。
確かに、魔法や妖術には説明し難き原理が多くありますが……しかし、それに類するものを科学で可能にする人間の知恵には感心いたします
祈雨自身でも、その二つの線引きははっきりしない部分がありますね……。潜在的に操りはするものの、意識をしなければ為せない技……という点では同じなのですが
つまり判定という意味だけど
どちらも……人から見れば奇なものに映ることにも、かわりない
言いながら、覗き込むようにレンジを見る。
なんだかその様子が可愛らしくて、緋奈子は思わず笑った。
そんな見つめてても、原理とかわかんないとおもうよー
確かに、作った人は凄いよね。うちも原理とかよくわかってないけど使えるとかさ、改めて考えるとすごいわ。
あー、よくわかんないって意味だと
うちの炎も、何となく本能ってやつ?で使えるけど、ぶっちゃけよくわかってないし。その辺の線引きは確かによくわかんないわ。
……あ、そろそろあったまるよ
レンジがチン!と言う
不思議なことですね、自らの事さえも理解がままならぬとは
と苦笑して……
チン!という音にちょっと体を引く
はいはーい、ちょっと退いてねー
と、レンジから取り出して並べた。ほかほか
(わくわく)
ま、まぁ……多少味は落ちたかもしれないけど、…た、食べられないほどのじゃないと思うから!味見したときは悪くなかったし……
もごもごと言い訳がましいのを並べつつ
机にご飯が並びました!
見るからに、キラキラした期待の顔で料理を見つめ、席に着く。緋奈子ちゃんも向かいにどうぞ!
いそいそと座る!
そしてキラキラの顔にちょっともぞもぞする!
あの、あんま期待しないで……。いや、まずくはないと思うけど……!(おろおろ)
ふふ。そのように謙虚な言葉を仰ることができる貴女の料理が、美味しくないわけがありません
と両手を合わせる。
では……頂きます
い、いただきまーす……!
そして例のごとく、緋奈子は箸を持ったものの、自分が食べるよりも祈雨丸が食べるのを不安そうにじっと見つめている。
ちなみに味は普通!めっちゃおいしい!っていうわけでもないけど、普通においしい感じでお願いします!ただやっぱり一回冷えたので風味とかちょっと飛んでるかもしれない!
はぁい!
うん……美味しいです
秋の味覚ですね。素材の味を堪能するには、小細工のない和食が一番とは言ったものです
と和食を口に運びつつ……
……心残りでは、ありますが
と零す。作りたてを逃したことがやはり引っかかっているのだ……
ふふかわ
……そ、そか
おいしいと言ってもらえたことにはちょっと照れて嬉しそうにしつつ
そ、そんなにがっかりしなくても……ほら!また作るし!
(って!またうち勢いで……!)
!
また作る、という言葉に再びキラキラしたり。
有難きことです……どうにも、以前作っていただいたおむらいすから、作りたて手料理というものが……
はまってしまった、とは言わないが、そういう声色と顔
ふふwww
(ま、いっか……)
喜んでもらえたなら、よかった、かな?
まぁ、たしかに作り立ての手料理っていいよねー。わかるわー。うちも母さんの料理好きでさ
(…‥レパートリーふやそ)
ええ、祈雨はこのような性質故に、人間の料理の味を知る機会はなかなかありませんでしたから……
緋奈子さんの手料理は、母君の影響でしたね
そーそー。っても、ちゃんと教えてもらったわけじゃなくて、手伝ってるときに何となく覚えたって感じだけど
教わらずとも覚える……それは素晴らしいことですね
ってか、うちのがきーやんにとっての人間の料理の味第一号みたいなことになんの!? それ結構責任ある……
ふふ、本日も美味しく頂きました。
人の営みが生み出した、料理という芸術……祈雨は大満足です
げ、げいじゅつ……(もぞもぞ)
んー。お粗末さまでした、だっけ
完食し、箸をおいて
はい。御馳走さまでした
食器は祈雨丸が流しに運びつつ……
緋奈子が食器を洗いつつ……
ふと疑問が浮かんできた。
それはささやかで、他愛のない疑問だった。
あれ、そういえば、人の料理を食べる機会がなかったって言ってたけど、今まで何食べてたの?
(カエル……?)
それは……
と記憶を巡らせ
神酒や……かつて設置してた祠への供え物を口にする機会はありましたね。ですから、作り立ての、温かいものはーーーー……
と、口を噤む……
あー、なるほど。お供え物とかかー。たしかにお供え物に出来立てはないか
そう納得しつつ、途中で止まってしまった言葉に、
緋奈子は不思議そうに祈雨丸を見上げる。
蛇口から流れる水に視線を落とし、
放心とも、困惑ともとれる表情のまま佇んでいた。
固唾を飲む。
(血の味など、腐敗の香りなど、よみがえりはしない)
(なぜならば)
(それらすべては、生きたまま呑んだからだ)
……きーやん?どしたの?
その様子に、少し心配そうに声をかける。
そして緋奈子ちゃんの声にハッとして、
……お供え物にはお饅頭などの甘味もありましたが、さすがにそれも蒸かしたてではありませんでしたね
ごまかした…
……まあ、そうだよねー。あ、じゃあもしかしてきーやん、甘いのも好き?
ごまかされたことに気が付かなかったわけではない。しかし緋奈子は、それ以上は踏み込まなかった。
ええ、好きですよ。あまり物は知りませんが……
とお皿を拭いたり手伝う……
あ、じゃあ今度、おいしいパンケーキの店に連れてったげる。この間見つけたんだよねー
ぱんけーき……それは噂に聞く、ふわふわした小麦の菓子ですよね。ぜひ……!
そーそー。じゃ、約束ね。新しい世界が開けるかも
とかちょっと冗談めかして言うのだ……。
聞き及んではいましたが、仕事の都合が合わず、食す機会はありませんでしたから……楽しみです
と嬉しそうに言いつつ……洗い物のためにまくった袖、腕にはまだ負傷した鱗が残っていたりするのだろう
おっ、ではそれを見た緋奈子は、おろおろしながら慌て始める。
あっ! そうじゃん! それ! 痛くない?! 大丈夫?
ええと、冷やすのがいいんだっけ?
? ああ、まだ引いていませんでしたか……。痛みはありません、とは言え……衣服に引っ掛けて剥がし、床に落とすのも無様ですからね(溜息)
祈雨は水神ですから、流水を当てれば多少治りが早くなるでしょう。人が火傷をした場合も同じでしたっけ……
あー、そだね。まずはすぐに水を流すといいって言うかな。うちはあんまり火傷とかしないけど……
お風呂場とかで思いっきり流したほうがいいのかな? ここだとちょっと流しにくいかな……。じゃ、うちタオル持ってくから!
先行ってて!って感じでばたばたとタオル取りに行きますね!
さすがにお皿が邪魔だったのだろう…
あ……すみません、お気遣いを……!
とその背に声をかけた……
(……刃が触れた腕だけではない。未だにこの身が警戒を解かないほどの……あの男は、戯れに迎え撃てる人間ではない……か)
というわけで、お風呂場に行こう。鱗が残る片腕だけを襟から出し、この…あれだ、片方の袖だけ通して着ているあのスタイルだ(語彙)
大丈夫大丈夫通じる通じる
あの状態で、浴室の鏡の前にいよう。鱗が残っているのは腕だけだけど、油断すればまた肩まで鱗が現れそうな緊張感みたいなものが残ってる(ふれーばー)
良き……
ちょうどそのとき、こんこん、というノックとほぼ同時にがらっと戸が開いた。
きーやん、タオルこれでいい……、
…‥‥っ!?
ああ、ありがとうございます
振り返る……驚くほど白い、し、神の身体なので(?)
そっ、うっ、ご、ごめっ!?
(白っ!! ……じゃなくて!)
……?
首をかしげつつ、
いえ、素早く持ってきていただいてありがとうございます
そういうことじゃ、ないんだよなぁ
ど、どーぞ!
と耳まで赤くして顔を背けながらタオルを渡す!でもチラチラちょっと見ちゃう。
……緋奈子さん、もしや……風邪でも……
近付く…近付いてしまう……
うぇええ!? 大丈夫!
大丈夫だから!!
(でも、その身体に以前のような紫の刻印は見られないんだ……)
(そうだ……。圧もないんだ……)
状況的には、あの時と少し似て(半裸(?)で近づいてくるやつ)るけど、紫の刻印も、圧も、殺気もない……
一瞬あの時の記憶がよみがえり、しかし(……今はもう、大丈夫)と内心ちょっと安堵…するけどあばばばば自体は変わらず
(大丈夫だけど大丈夫じゃない!!)
ふふかわ……
然様ですか……ならば、よいのですが……
身を引いて、浴室に……
かわいなひなこちゃん!?(PLが狂喜乱舞)
う、うん!きーやんは自分のこと!ね!まずは!
こくこくと頷いて見送る……。
ふふ、浴室でシャワーでも使うかと思ったら、突然《雨》の刻印を刻んで浴室をスコール状態にする()
魔法使いー!wwww
(それは全身ずぶ濡れになるのでは……)
(ふふ)(ほんとそれです)
まぁ・・魔法使いなので衣服の事はどうにでもなる(??)
明らかにシャワーでない音がするけど、ふふ、それもあまり耳に入ってこない緋奈子ちゃんだったらかわいいぜ
ふふ
(白かった……。筋肉とかしっかりしてたな……。綺麗な肌だった……ちょっと自信なくすかも……)
とか悶々と考えていたやつだ
んんかわいい
んんんんん(相手人外だから…張り合わなくていいんだよ……かわいい)
そんなこんなで、平和な水浴びをした感じで、やりたいことはオッケイですかね……!次回メインフェイズに心置きなく入れます…!
はい!!ありがとうございました!!
(夜寝ようとしたときに部屋の中でナチュラルに護衛をしてくれようとして、『いいから!大丈夫だから!』と押し出そうとする緋奈子はいる)
ヒュウ!!!!
ひゅう!!!
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NEO HIMEISM 様
https://neo-himeism.net/