――地下迷宮七階層、某所。
――地下迷宮七階層、某所。
そっち
行ったぞ!
自分がっ!
浅い!!
とどめっ!!
ユフィの音速の鞭が、最高のタイミングで魔物にヒットすると、魔物は完全に動かなくなった。
ハル達はこの七階層に降りてきて探索をしている。初めて戦う魔物は偶然少なかったが、楽に勝たせてくれる魔物はいなかった。
ハル、今の戦闘
凄く良い動きでした。
右腕少し手当しましょう。
ふぃ~強かったっすね。
アデル、
サンキュ~っす。
戦闘後のアデルの手当が始まり、その中で反省会が行われる。あの時の連携がどうとか、あの敵は思いのほか機敏な動きをしていたとか、次以降の戦闘に役立てる為にだ。
ハルの浅めの患部に、アデルは消毒液を使用している。導師の証である治癒の指輪を持っているが、今迄どおりの手当をすすめている。治癒の指輪による回復力増強の恩恵は、導師による高度な精神集中を要し、短時間に何度も使用出来るものではないからだ。
はい、終わりました。
次はランディですね。
これぐらい、
何ともねーからいーぜ。
駄目ですよ。
少しの油断が命取りに
なりかねませんから。
お、おぅ。
温和で優しいアデルだが芯は強い。ランディもその強さに押され、大人しく手当を受け始めた。
しっかしどの魔物も
しっかり強いな。
さっきもロココの刻弾を
序盤に使ってなかったら
数で圧倒されてたかもね。
ユフィさんの判断が
的確でした。
ほんとはもっと数を
減らせればいいんですけど。
例の刻弾はコフィンさんに
禁止されてますしね。
例の刻弾?
何だそれ?
大気中の魔気を集めて
刻弾を具現化するのよ。
そー言えばジュピターには
言ってなかったわね。
ジュピターは首を傾げていたので、ユフィが説明をする。ロココの新型の刻弾が圧倒的殲滅力を持っていること。そしてその後、現れたリザの事も……
なんだそりゃ。
じゃ何で使わねーんだ?
強いんだろ?
コフィンさんに伺ったら
『絶対に使うな』と
使用を禁止されて
しまったんです。
なんだかよく分からんけど、
駄目なんだろ、それ。
まぁ普通の刻弾は
ありなんだよな。
さっきも使ってたし。
はい。
おそらく3発くらいまでなら
副作用はありません。
頼もしい限りだな。
……前方から魔物です。
数はふたつですが、
大きい力を感じます。
会話の途中だったが一斉に戦闘態勢を取り、前方の闇に構える。ロココの言葉を聞き、ユフィがすぐに指示を出す。
ハルとジュピターで一体!
もう一体を三人でいくわよ。
アデルも刻弾を視野に入れて
臨機応変に!
闇から現れたそれは、不気味な赤を光らせ、浮遊したままハル達を睨んだような気がした。不気味な音が耳を支配し、全員の背中に悪寒が突き抜けた。