* * *
三年前
アインスターク城
* * *







ギーズ

困ったなぁ……。イサムどころかソルフェやポメラともはぐれちゃったぞ……。

ギーズ

いくらボクとはいえ、こんな状況でアインスタークと鉢合わせたらひとたまりもないなぁ……。














ギーズ

ところで、これは一体?

???

何者かがモノリスに引き寄せられていると思って来てみれば……。

ギーズ

……!

???

懐かしき匂いを持つものと、な。

ギーズ

……ま……さか!

アインスターク

まさか、勇者の一行に余の同胞がいようとは……。

ギーズ

ア……アインスターク!

アインスターク

誇り高き角を隠してまでして、何を恐れている?

ギーズ

角?知るか!

アインスターク

余に対する不敬な物言い。
解せぬな。

ギーズ

くそ!いけ!イーフリート!

アインスターク

カッ!

ギーズ

……ウソだろ!?




アインスタークがひと睨みすると、


ギーズさんのイフリートさんは


煙のごとく消し飛んでしまいました。


アインスターク

ふぅむ。

アインスターク

まさか、貴様は種族の記憶を失っているのか?




魔王アインスタークは


怯えるギーズさんの額に


その指を伸ばしました。

ギーズ

ひっ……。




ギーズさんの額に触れたその指は


ズブズブと頭の中へとめり込んでいきます。


アインスターク

よい、心を楽にせよ。
なに、貴様の根源の記憶を呼び覚ますだけだ。

ギーズ

や、やめ……。

アインスターク

むん!

ギーズ

あ……あああああああ!!!

ギーズ

あああッ!!!

アインスターク

ふふふ、美しいぞ、その姿。
やはり我ら有角人には
この二本の角が似合う。

アインスターク

貴様が種族の記憶を取り戻した祝いに、駒の一部を分け与えた。
感謝するがいい。

ギーズ

うわあぁぁぁぁぁ!










ギーズさんはたまらずその場を逃げ出しました。




走って



走って



走って



アインスターク城の城門まで



逃げてきました。






















城門の扉にもたれ掛かり



うなだれるギーズさん。






その悲痛な瞳に



ある種の決意の光が灯りました。





ギーズ

こんな姿、イサムに見せられない……。

ギーズ

せめて、スノーブーツスネイルだけでも……。

スノーブーツスネイル





























イサムへ

ごめん……ね。






























再臨


















* * *

レヴス

* * *







ギーズ

おおおおおオオォォォヲヲヲヲヲ!!!



ギーズさんが雄叫びを上げると


アンゲドルバの子供たちの体から


光のようなものが次々と抜けていきます。

ムーンドルバ

やめろ!
罪のない子供らの生命を奪うな!

ギーズ

ふぅ……。

ギーズ

安心してよ、死ぬわけじゃない。

ギーズ

この信心の鏡の中で生き続けるだけさ。

ソルフェ

おのれ、ギーズめ!

ギーズ

待ってよ、ソルフェ。

ギーズ

実はちょっと手違いがあってね……。

ソルフェ

手違いだと?

ギーズ

この信心の鏡は未完成なんだ。

ポメラ

知るか!そんな事!
そこから降りてこい、ギーズ!

ギーズ

やだねー!
ポメラ、ボクのこと殴るつもりでしょ!

ポメラ

あったりめーだ!
地面にめり込むまでの一撃をお見舞いしてやる!

ギーズ

だってさ、ソルフェ。
そんな事したら、子供たちの魂は本当に戻らなくなっちゃうよ?

ソルフェ

ポメラよ、落ち着け。
ギーズの思う壺だ。

ポメラ

ぐぬぬぬ。

ギーズ

信心の鏡の未完成……。
アインスタークはこうならないように万全を期していた。そのはずだった。

ギーズ

3年前、かつてのアインスタークは、信心の鏡が失われることを想定して、次善策を打っていた。

ギーズ

それは、アンゲドルバの子供らに施した呪詛。

ギーズ

いかなる場合でも、アインスタークの元へと呼び寄せる呪詛を、108人のアンゲドルバの子供らにね。

ムーンドルバ

……まさか、3年前に子供らを襲った原因不明の病は……。

ギーズ

そうさ、その呪詛の副作用さ。

ギーズ

貴様との和平に譲歩すると見せかけて、余はその『副作用』を抑える薬を配ったのだ。

シーラ

『余』……?

ギーズ

なあ、ムーンドルバよ。

ムーンドルバ

おのれ、アインスタークめ、図りおったな!

ギーズ

……けど、107人なんだ。

ギーズ

どこかの誰かさんが、一人の子供を解呪しちゃったからね。

ソルフェ

……サティンの事か。

ギーズ

ソルフェとポメラだけだったら、見逃していただろうに……。

ギーズ

安っぽい慈悲の心で、通りすがりの家族を救っちゃったりしてさ。

ギーズ

ホント、いつだって君はボクの欲しいものを奪っていくよね。

ギーズ

……許さない。

シーラ

うぅ……。

ポメラ

アイツ、またシーラに……。

ソルフェ

なぜシーラに固執する?




正体を表したギーズさん、


シーラさんにとてつもない憎悪を向けます。





その時、シーラさんは


ギーズさんの瞳の奥に眠る


何かに気づきました。


シーラ

……あ。

















ギーズ

何も知らないというのは本当に罪だな。

ギーズ

僕がいつから君たちを見ていたか、って?

ギーズ

そんな事ソルフェが知ってもなんの意味もないさ。

ギーズ

ただ、君には意味があるから教えておくよ。

ギーズ

『ずっと』だよ!












シーラ

……あの人、もしかして勇くんの事が……。








その時、


遠くの空からバサバサという羽音とともに


叫び声が聞こえてきました。












サティン

助けてー!






ポメラ

サティン!

ソルフェ

ぬぅ、早い……。
せっかくサティンを救った事で得られていたアドバンテージが、もはや皆無とは。

ギーズ

さあ、来たぞ、最後の一人が。

ギーズ

あの魂がボクの元に届けば108人の魂だ。

ソルフェ

ギーズよ、そこまでして信心の鏡を手にして、なんになるというのだ!

ギーズ

まだわからないのかい?

ギーズ

ボクはアインスタークを復活させるんじゃない。

ギーズ

余が次なるアインスターク!
魔性の力で統べる者なのだ!

ポメラ

な……なんだって!?

ギーズ

この信心の鏡を持ってしてな。

ギーズ

平伏せよ、愚民どもよ!

ギーズ

再び我が掌中にて恐れ慄くがよい!


ギーズさんが


未完成の信心の鏡を掲げると


信心の鏡はまばゆい光を放ち始めます。




果たして何が起こるのでしょうか。






















つづく

【勇者勇の装備】
レベル  :24
めいせい :312
ぶき   :新品の短剣
よろい  :鋼鉄のよろい
かぶと  :銀の額当て
たて   :なし
どうぐ  :野ばらのペンダント
      焼豚×2
      焼きとり×2
      霊薬草×5
      淡水ザメの煮凝り
      淡水ザメの骨
      淡水ザメの牙
      黒王の羽
      いつもの額当て
      王の冠
      カジノコイン×2560
      緋糸手句の防寒具
なかま  :[泉守]ダイ
      [もふもふ]もふもふ
      [魔導エンジニア]ラムディッシュ
とくぎ  :ファイアブレス
      トキシックブレス
      釣り
      カン
      介抱
じょうたい:脇役

【シーラの装備】
レベル  :12
めいせい :240
ぶき   :いつもの本
よろい  :いつもの服
かぶと  :いつもの飾り
たて   :なし
どうぐ  :やくそう×94
      イーサ薬×9
      おみやげ×99
      ガラスの破片
      討魔の剣の刀身
      闇夜のローブ
なかま  :戦士ポメラ
      大魔導ソルフェージュ
      [コボルト]ライル
とくぎ  :しょうかん
      値切り
      冷やかし
      虫の知らせ
      ディゾネの思い出
      寒さに耐える
      好奇心
      女の勘
じょうたい:真パーティーリーダー

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