六階層攻略半ば、マッピングに空白がありながらも、「行ける場所が最後」と口にしたアデル。ユフィの問いに何かを考えながらも、答えを出せないでいた。
六階層攻略半ば、マッピングに空白がありながらも、「行ける場所が最後」と口にしたアデル。ユフィの問いに何かを考えながらも、答えを出せないでいた。
取り敢えず今日は
帰還しましょう。
リュウ達も何か
気付いているかも
しれないしね。
帰還中、アデルの申し出によりもう一度マップの気になる場所を確認していく。
もしかしたら暗闇で見落としていた場所があるかもしれない――そんなアデルの考えとは逆に、マッピングに間違いはなかった。
つまり明らかに地図が
埋まってねーのに、
もう降る階段しか行く所が
ないってことか?
何か見落としたんじゃ
ないのか?
僕も手伝ってますが
アデルさんのマッピングは
かなり正確です。
今迄ミスらしいミスも
一つもなかったですし。
それに帰り道に
怪しいとこもう一度
見てるんすもんね。
おそらく見落としは
ないと思うのですが……
一つ予想はつくけど
今は帰還最優先。
余計なこと考えてないで
気を引き締めていくわよ。
帰還中、六階層で特に要注意すべきレッドスカウト三体と遭遇したが、ジュピターとハルの連携で二体、ランディの渾身の一撃で最後の一体を倒す事が出来た。
え!?
ユフィ達も?
レオニールサラダを自分の皿に沢山持ろうとしたシェルナは、ユフィ達の報告を聞いて盛り付けの手を止めた。
ってことは、
やっぱりシェルナの
マッピングは正しかったのね。
どうゆうことだ?
おかしくないか?
リュウ達も同じ状態で帰ってきたらしく、フィンクスが樽酒をグラスの中でユラユラ揺らして眺めてみたが、何も答えは浮かばなかった。
そういえば何か
予想出来るって……
歩いて行く場所を全て
把握したけど
マップは埋まらない。
つまり……
ま、まさか……
凄い、
ハルさん分かったんですか。
ハル、
バカの逆……
えらい。
と、飛んでいくって
ことっすよね。
歩いて行くって言ったからか。
え、じゃあ泳いでっすか?
ちょっと期待した
私が馬鹿だったわ。
あきれるユフィと爆笑するメンバー。ハルは正解を出すより、爆笑を誘いだした自分の言葉を誇らしげに感じ満足していた。
つまり立体的に考えろって
ことだよな。
ん!?
何よ、もう答え出てんの?
流石僕達のリーダー。
お二人共凄いです。
普通リーダー意外に
参謀的な頭良い人
居そうだけどな。
あ、そうか。
なるほどな。
あ、
ランディも分かったんだ。
じゃ、皆に教えてやってくれ。
リュウはいつもと変わらず、湯がいたコーンを一粒づつ指で千切りながらランディにそう促した。
七階だろ。
七階層から上がる階段でしか
行けない場所があるって事だ。
半分正解です。
し、師匠!
いらしてたんですね。
って、半分!?
ランディの後方からコフィンが現れる。突然のコフィンのセリフに、答えを出していたリュウやユフィまでも目を丸くしていた。
すぐに分かることですから
答えを出しましょう。
七階層だけではないのです。
八階層も加えた、
六・七・八階層の三層構造。
それが正確な答えです。
六・七階層の二層構造で手を焼くと考えていたリュウとユフィは、その複雑さ加減を想像して明確に眉を曇らせた。
そんなリーダー達の気も知らないで、ハルとタラトは肉の早食い競争をしていた。飲み物なしで五人前、しかも骨まで平らげるルール付き。この二人が難しい話にお手上げなのは、誰もが知るところだった。
なるほど。
そりゃあ手強そうだな。
多くの冒険者が
ここで足踏みをします。
この三層構造は、
非常に厄介でいて危険。
私とアリスも八階層から
九階層に行く階段を
見付けられないまま
今に至るのです。
ってことは、
アタシ達ってばコフィン達と
同じエリアに来たって事じゃん。
流石に一緒ってわけじゃあ……
あながち間違っていないぞ。
お前達もそこそこの腕に
なってきているという事だ。
コフィンの次はアリスが現れ、シャインの言葉に自身の言葉を添えた。
下層を目指す冒険者が
手を焼く三層構造。
「ここからが本当の迷宮だ」
なんていう輩もいる程、
厳しい場所なのさ。
停滞しているつもりはないが
今迄みたいに簡単に探索が
済まないのも当然の道理だ。
事実、私達がまだ見ぬ
九階層――
そこに辿り着いた冒険者は
歴史上でも一握りしかいません。
…………
…………
早食いで骨ごと肉を噛み砕いていた二人が、コフィンの話に耳を傾ける。ただの小難しい話なら耳にも通さない二人だが、野性の勘か何か、眼に色を灯して次の言葉を聞き逃さんとばかりに耳を立てた。
そこに挑み謎を解こうとする者。
その者達は
つまり我々も含めてですが、
嘲笑と愚弄を織り交ぜ
日銭暮らしの冒険者達に
昔からこう呼ばれています。
『奈落へ向かう者』
という意味……
『アディスナー』と。