自分の金でもないのに、喜び散らかすシャイン。ハルとフィンクスが感動して泣きじゃくっている。騒がしいのはいつもの事だが、今日はそれ以上だ。
やったじゃん、やっぱり大勝!
金持ちじゃん!
大金持ち♪
おほほほほほほ♪
自分の金でもないのに、喜び散らかすシャイン。ハルとフィンクスが感動して泣きじゃくっている。騒がしいのはいつもの事だが、今日はそれ以上だ。
それで、その金どうしたんだ?
ランディの声に、全員、目が覚めたように反応し、ダナンに注目した。ダナンは互いに目を合わせてから、皆に苦笑いを返す。不穏な空気を感じ取ったシャインが目を見開き、ダナンに詰め寄る。引き笑いで誤魔化そうとするダナンは少しずつ事情を説明した。
手元にあったのは、3801万7500ガロン。
ゴードンの100万は
ゴードン自信が用意した金。
100万はそのまま返してやり、
最後の5000ガロンは辞退したようだ。
金貸しの男の支出は、
実質1001万ガロン。
ダナンに渡した90万と最後の1万、
この91万は即金で返した。
無茶苦茶な金利の話はなしになり、
それで金貸しの男も納得した。
それとギダの為に賭けた910万。
この金は金貸しの方から
受け取りを拒否した。
これまでの人生を悔いているようで
受け取らないと言う。
その代わり金貸しの男は、
ヴィタメールの下で
働きたいと申し出たらしい。
観戦者には、
預けた金額の三倍を受け取つて貰った。
99万7500ガロンの三倍、
299万2500ガロンだ。
残りは2211万5000ガロン。
う、うおぅ……
フィンクスの上半身が後ろに引いていく。
現実感がないわね。
オークバーグ
何枚分でしょうか。
たくさん、食える。
あまりの現実感のなさに、アデルが普段口にする料理と比較してみる。タラトはそのセリフだけに興味があるように、鼻をひくつかせた。
無謀にもハルが計算し始めたが、かなりの時間を要した後に、オークバーグの値段を知らない事を語った。
でもよ、それって
殆どヴィタメールの金だろ。
どう考えたって、
二人が出した金は五千
つーのは変わんねーし。
カウンターの脚の長い椅子に腰を掛けたランディが、涼しい声を響かせた。舞い上がっているシャイン達とは、冷静さにおいて根本的に違っていた。
ヴィタメールが味方にいたので勘違いしがちだったが、確かにそう。夢が覚めたようなのっぺりした顔のシャイン。その視線に射抜かれダナンは説明責任を果たす。
金借りる時に、
勝った時の金は好きにしてくれ
ってのが条件だったから、
厳密に言うと、元手の五千すら
ヴィタメールの金。
俺とリアは金よりも
ギダを懲らしめるだけで
良かったんだよ。
はぁっ!?
実はギダの手持ちの金は
他から借りた金も
混ざっていたみたいだ。
俺達との勝負をする上で
青天井ということもあり
一日だけの高利貸しに
手を付けていたみたいなんだ。
って事は、
その人は手持ちのお金を
負けただけじゃなくて
借金まで背負ったって事ですか?
ご察しのとおりだよ。
しかもその高金利の借金は
ヴィタメールが買い取った。
つまりギダはヴィタメールから
金を借りた扱いになるな。
しかも高金利でな。
優しそうに見えて
ヴィタメールは金に
厳しいからなぁ~。
君は籠の中の鳥だよ。
って言ってたのが
すげー怖かったぜ。
この時ヴィタメールには絶対逆らわないでおこう、と思ったメンバーは何人もいた。
シャインが、『そうは言っても、幾らか貰える権利はあった』だのと、グチグチ言っている。リュウがなだめようとしたが、全く効果がないようだ。
そんなお金の話より、
二人の話は
どうなったの?
恋する乙女の気持ちをぶつけるシェルナ。アデルも気になっていたようで、シェルナと共に答えを待った。
そこからは私が話すわ。
いつの間にかテーブルの近くまでリアが来ており、皆に軽く挨拶をする。
ハル達にディープスを出ると嘘を言っていた時の曇りはなく、澄んだその声は皆の耳に一直線に届いた。