レジーナ姫、
新しい紅茶を用意させてます。
ランチを御一緒しませんか？

それはいいな。
楽しみだ。
案内してくれ。

こんなもんで
良いのですか？

うむ。
これで今夜、
決戦前夜に倒れた時に、
ガンツが毒物を盛ったと
ギュダは推測して
疑心暗鬼に繋がるかもしれん。
万全だ。むっふっふ。

うぅむ、ギュダめ、
やっと行ったか……。
ワクワクする胸の高鳴りに反し、
ベッドに落ち着いていなければ
ならない状況は辛いな。

で、俺の戦術はどうなんだ？
オレはギリアムを実際に
目にした事はないんだからな。

戦術的には申し分ない。
だが、ギリアムは
降らぬかもしれぬ。
いや、私の読みでは
意外にも武に身を任せる
可能性が高い。
その場合は
私への返答を聞いてくれ。
そしてこの書を渡すのだ。

ん？
何が書いてあるんだ？

それは言えぬ。

オレは民間人だが
この作戦を指揮する者だぞ。
内容は絶対と言っていいほど
把握するべきだ。

知らぬ方が良い事もある！
ここは私を信じろ！

それってお嬢ちゃんの好きな
『宵闇冒険者シバケン』
の45話、そのパクりだろ。

あーーー！！
なぜ言うのだスダルギア。
一度やってみたかった
だけなのに～。

おまえ遊んでんじゃ
ねーんだからよぉ。

45話はシバケンの数多い
神回の内の一つだぞ！
その再現をしようというのだ。
間違いなく絶対いけるっ！

45話は確かに神回だ。

そうだろうそうだろう♪
流石はスダルギア。

アホくさ。
もうそれでいいよ。

それよりスダルギア。
鉄騎兵団はどうするつもりだ？

切り合いなんて野蛮なことは
面倒だからな。
ここは商人らしく交渉といくぜ。

実に頼もしい。
敵本陣で合流するのが楽しみだ。

ちょいと熱い交渉を
するだけさ。

姫がそう仰られるなら……。
流石は我が主君。
病魔で苦しむ中でも
私を導いて下さる。
何があっても万全の態勢で
当たれるよう治療に専念してくれ。

よし、ここからは面会謝絶だ。
後は頼んだぞ。
私はカシアラに遊ん……
いや、救援を求めに
行ってくるからな。

うお！？
マジで病気だって
信じてやがるぞ。

それは肉薄した葛藤を
実際に経験したからだ。
文章といえどそれは伝わる。

確かにそうかもしれないな。
って、何でお前がまだ
ここに居るんだ？

これを聞いたらすぐに発つ。
こんな面白い場面を
見逃せるものか。

ふ～、まぁ
このままガンツの内通文で
敵軍を意のままに操る……
意外にすんなりいくかもな。

このままではつまらん。

ん？

お嬢ちゃん、
ギャンブル勝負の二回戦と
洒落こもうか。

ギャンブルだと？

ただ戦準備を進めても
面白くあるまい。

生き死にのかかった戦中でも
遊ばずにはおれぬのか？

手中で転がす戦況よりは
幾分かは楽しめるだろう。

ハッハッハ、
やはりスダルギアは
極上の酒の様な男だ。
私も共に酔わせてくれ。
それで、賭けの内容は？

ギュダ司令官が
どの段階で降伏するか。
俺は恋人ユランからの
初手の勧告、
つまりこの扉の中の
今の勧告に賭けるぜ。

え！？
あのユランって将軍、
ギュダの恋人なのか？

忠義ぶってる奴なんざ
意外に女の言葉でコロッと
手の平を返すもんさ。

う〜む、
私はどのような状況でも
ギュダは降らぬと信じておる。

それならなんで
そんな困った顔をしてんだ？

絶対勝つ勝負など
つまらんだろう。
よし！　
それなら限界までギュダを
追い込むとしよう。
ガンツ、少し次の手紙の
内容を変えようか。
チョチョチョイチョイと
これでよし。
何度もプレッシャーをかけ、
執拗に勧告させよう。
流石のギュダも
揺らぐかもしれん。

それじゃあ、
俺はラストの勧告かな。

で、何を賭ける？

『宵闇冒険者シバケン』
の限定グッズ、
ダークアークモードソードの
レプリカでどうだ。

何っ！？
あの限定物を持っているのか！
これは是非勝たねばならぬな。

お前等ホントに
遊んでるようにしか
見えないぞ。

ふぅ〜。内通通りだ。
この勧告はかなり堪えるな。
後は城門に嵐の様な
矢の雨が降るだけか。
ギュダ殿大丈夫かな。
まぁいいや。
そろそろ消火するか。

おいおい背中刺すって
結構グロいな。
これヤバくね？
俺、ギュダ殿に縛り首とかに
されねーかな。
あり得るよな……。
冗談キツイって。

宵闇駈け～る白い影～♪
蠢く悪党見逃さな～い♪
法で裁けぬ虫ケラ共に♪
くれてやるのは死の制裁♪
ホーッイ！！

姫様機嫌いいな。

シバケンの何とかっていう
オモチャがよっぽど
嬉しいんだろ。

この光景、
今頃、悪戦苦闘している
ギュダ様に報告出来るか？

とてもじゃないけど
言えないな。

シバケ～ン♪
シバケ～ン♪
必殺♪極太大根切り！
ニャー！♪