ヴィタメールからの100万、加勢してくれたゴードンの100万、ギダの仲間から借りた90万、合計290万が手持ち。




 そして勝負が始まると、やはり金の積み合いになる。手札なんて関係なかった。

ギダ

合わせてさらに上10で
合計80。

ダナン

合わせて90だ。

ゴードン

やはり金の積み合いか。

リア

もう90万。
嘘…………
こんな大金……

ギダ

流石ダナンさん。
これほどの大金が
賭かっているのに
平然としておられる。

ダナン

ふん、
世辞なんていいんだよ。
次どうすんだ?

ギダ

まぁまぁ折角なんだから
楽しみましょう。

ダナン

俺はそんなに穏やかじゃ
ねぇんだよ、早くしな。

ギダ

急かしますねぇ。
それでは90に合わせてから
こうするとしましょう。

 ギダが余裕の表情で左手の中指を弾く。実に小気味の良い音がテーブルに響く。

リア

えっ!?

 リアが大きな声で驚きを隠さない声をあげる。それは……

ゴードン

俺が100上乗せするぜ。

 共に戦うと言ってくれたゴードンが、ギダ側に金貨を置いたのだった。

ダナン

なっ!?
嘘だろゴードン……

ゴードン

ところが嘘じゃないのさ。

ダナン

て、てめぇ~
裏切りやがって……

ゴードン

まだ気付かないのか、馬鹿め。
裏切ったんじゃねぇ。
俺は初めから
ギダ様の味方なんだよ。

ダナン

ッグゥ!!

 ダナンは騙された事にやっと気付いた。

 共闘してくれたゴードンは、ギダ側の手の内の者で、期待していた100万ガロンはギダ側の金だった事が判明したのだ。







 ダナンの視界は嘘みたいに景色が歪んだ。大袈裟な表現ではなく、瞬時に状況を理解して、八方塞がりで何の手立ても打てないと確信してしまったからだ。



 それもそのはず、残ったガロンは100万だが、裏切ったゴードンがギダ側に上乗せしたのが100万。ギダが別に用意している事も充分考えられるし、何よりこちらの手持ちが筒抜けなのが致命傷だった。ここから全額賭けても相手より多く賭ける事は出来ないし、今更勝負に降りても、90万は失った挙句に多額の借金を背負う羽目になる。待っているのは、利息も返せない借金地獄。かといって、このまま賭け続けても借金が増えるだけの八方塞がりの状態なのだ。

ギダ

おや!?
ゴードン君、
私に加勢してくれるのかね?
助かるよ。
信頼があるとこんな大金も
預けてくれる。

ゴードン

いえいえ、
滅相もない。

金貸しの男

へへへ、
もう無理なんじゃないっすか?

 ゴードンは一仕事終えたとばかりに口角を上げ、金貸しの男もへらへらと笑っている。どこか慣れた風に感じるのは、おそらくこの三人、同じ手口を何回も使っているのだろう。

ギダ

そう言えばダナン君。
さっき私に言っていたね。
早く判断しろと。
その言葉を私から返そう。
さぁ!
賭けるか降りるかさっさと
決めてくれんかね。

 ダナンは悔しかったが、負けを認めざるを得なかった。

 今まで90万ガロン賭けている状態で残りの100万を賭けろと言われたのだ。賭けれるはずがない。わざわざ負けを倍以上にしてしまうからだ。

 ギダ側にとっては、まず借金をさせて、元本を返せない状態にすれば借金漬けに出来る。それが狙いだったので一気にダナンを降ろしにかかってきたのだ。勿論、ダナンがヴィタメールから借りた100万でのってきても、まだある資金で潰すだけの話なのだ。

 体温は魔物を相手にするより熱くなり、鼓動は激しく、呼吸は乱れ、景色はさらに歪んでいく。絶望感で体中に力が入らず、自分が何処に居るかさえも分からない。

のってやる

 自分が破滅するだけでなく、リアまでこの借金地獄に巻き込んでしまう、幼い頃の思いを又、しかも同じ男が原因でさせてしまう。ダナンの苦悩はリアを巻き込んでしまった後悔で張り裂けそうだった。

『のってやる。無論、その上に100だ』

 誰かの言葉が聞こえた。

 徐々にその言葉の意味が、誰の声か、テーブルに見た事もない最高のチップ100万ガロンチップが2枚投げられた現状が分かってきた。

デメル

リア、安心していいぜ。
この小悪党どもは
俺が叩き潰してやる。

 ~円章~     144、八方塞がり

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