2025年4月15日(火)
04:52 PM
2025年4月15日(火)
04:52 PM
茂部山がイミナとは思えない。フタツナを推測することも不可能だ。
ならば、やることは一つ。
ククク……ん?
プシュッ!
うわっ!
なっ!?
アブねぇ……。
話に聞いてたとおり、ヴァニラ・キャンディの引き金は軽いぜ。
あれ?
オマエ、住吉か?
動くな。
オマエがヴァニラ・キャンディなの?
動くなって言ってるだろ!
プシュ!
プシュ!
プシュ!
無駄無駄。
HNW-05は自走式で常に俺を守り続ける。
そして、その強靭で柔軟なボディはあらゆる弾丸を無効化するのさ。
うわっ!
煙幕弾を混ぜてやがった!
これでヤツの視界を奪った。
位置関係は把握している。
あとは、距離を詰めて締め落とすだけ。
ヤツのイミナ・フタツナを知る必要もない。
……ったく、しょうがねぇなぁ。
なぁ、住吉ぃ。
オマエがヴァニラ・キャンディってのは今、はじめて知ったんだけどさぁ。
なんの話だ?
動揺を誘っているのか?
屋上で狙った時、どうやって狙ったと思う?
……陽動だ。
さっさと落とす。
うっ!
っ……。
へぇ……。
鈍い音がしないって事は、この状況で避けたんだ。
流石だねぇ。
……でも。
この音……。
膝をつかせることぐらいはできたみたいだな。
帰っておいで、愛しのハニィ。
……くそっ。
……アタシとしたことが、カスッちまった。
煙幕が仇となったな。
住吉……いやヴァニラ・キャンディ。
実を言うとな、俺はオマエを知らなくても、オマエを狙撃することができた。
それはなぜか?
なぜ……だ……?
冥土の土産に教えてやろう。
オマエにはビーコンが取り付けられているんだよ。
ビーコン?
ああ、そうさ。
唯一オマエを認識できるCLN-AIが、今朝オマエに取り付けたのさ。
うっ……。
えへ。
あの時か……。
おかげで、オマエがどこにいても、愛しのハニィにはオマエの位置が丸わかりなのさ。
だから、アタシを正確に狙ってきたのか……。
もっとも、それが可能なのは、愛しのハニィを唯一扱える、このハニー・マスタード様だけだけどな。
ハニー・マスタード……。
それがオマエのイミナ……。
大した役回りのない俺のイミナ、せっかくだからあの世で広めてくれよ。
くそっ……。
ここでやられるのか……。
いいねぇ……。
ヴァニラ・キャンディの絶望って感じのセリフ、まさか俺なんかが聞けるとはねぇ。
まあ、安心しな。
保健室の先生とか大林とか、オマエに肩入れするヤツらも後から追わせてやるから、寂しくはないぜ?
……!
なんだって?
次に愛しのハニィが俺の元へ戻った時、
オマエの命運が尽きる時だ。
……なぁ、茂部山。
一つだけ教えてくれ。
なんだ?
命ごいか?
オマエの恋人はそのハニワか?
よせやい、照れるじゃねぇか。
おかえり、愛しのハニィ……
なら……。
三角関係の修羅場だな。
……なに?
ハニィ!
誰だソイツは!?
くそっ……。
HNW-05が……。
弱点の熱ですっかりヘロヘロに……。
ふふふ……。
な、なにがおかしい!!
アタシの事、舐めすぎじゃね?
ハニワ・マスター。
!!!!
なんで俺のフタツナを!?
ハニマス、オマエお母さんに叱られるぞ?
うるさい、ハニマス言うな!
お母さんは関係ない!
俺はミシガン・ダイバーに協力しているだけだ!!
動けない貴様に、
今度こそ愛しのハニィの鉄槌を!
行け!
げぇ!?
こっちに来るな!
うう……。
これは……ビーコン……?
くそっ……。
いつの間に……俺に……
キュゥ……。
どうやら、アタシの方が
ハニワ使いが上手かったようだな。
つまるところ、お母さんの言いつけじゃないなら、オマエはまだ現場に出れるレベルじゃないって事なんだよ。
……煙幕が晴れたか。
茂部山はまだ生きているとして、
この二人の処理はどうしたものか……。
安心してください、先輩!
この声は……。
杜若!!
偏執狂の夢
つづく