……AI。

お呼びですかね、マスター。

ヴァニラ・キャンディの
これまでのデータを送れ。

かしこまりー

ヴァニラ・キャンディ

ん？

ヴァニラ・キャンディ

ヴァニラ・キャンディ

……。

AI。

なんでっしゃろ。

なぜ画像にフィルタを掛ける？

なーんか、安定しないんですぅ。
まるで、いくつも顔があるような感じでぇ。

……いくつも……顔がある？

……まさか、ブラボー・フェスティバルの仕業か？

だとしたら、アイツの独占欲にも困ったもんだ。

さて、どうなんでしょう？

……何が言いたい？

そもそもセンパイだって、
ヴァニシング・キャットですからー。

正直、いろいろな意味で難しいんじゃないですかねぇ？

おい、AI。

はいー？

ヴァニラ・キャンディは
回収してまだ使う。

ヤツのフタツナを
気軽に呼ぶな。

……申し訳ありません。

ふん……まあいい。

名前は……ソエダ？
そんなヤツこの学校には
いなかったはずだが？

……あれ？
昨日アップデートしたはずなのに。

呼称も初期データから
更新されていません。

……そうか。
ならば新しく入手してこい。

サーフェイスの偽装が行われる以上、お前のスキャンだけが頼みだ。

かしこまりー

くっそー……。

なんでこんな事になってんだ？

ほれ、しっかり持たんか、住吉。

くっ……。
鍛えているとはいえ、
重量のあるものを長時間持つのはあまり得意じゃないんだよな……。

HNW-03のテスト以来の力仕事だぜ。

お、重いね、住吉さん……。
少し休みたいんじゃない？

無駄口はいいから
ちゃきちゃき運べっつーの、
大林ィ！

うん！

クシナダコーポレーションの名簿を狙うとして、だ。

いくらなんでも3度目だ。
そう簡単に忍び込めるとは思えない。

何かしらの穴を探し出すか……
あるいは……そもそもの視点を変えるか……。

あ！住吉さんおはよう！

だが、視点を変えるったって……どうすりゃいいんだ？

ねぇねぇ、住吉さん黒板見た？

クシナダの抑える別の施設だって、おそらく奴らの手が回っている。そんな程度じゃダメだ。

大変なことになっちゃったね！

あー！もー！
ごちゃごちゃウルサイぞ、大林ィ！

ひっ……。
あの……その……黒板……

黒板がなんだってぇ！？

……げぇ。

やるな、お前ら。
俺以外にも先生からの白羽の矢が立つとはな！

おいおい、教師陣の頭はお花畑か？
若ハゲが殺られたのは昨日の事だぞ？

フツーなら全校集会でもして
帰宅だろ？

なのに、今日は授業をやるつもりなのか？理解に苦しむわ……。

ねぇねぇ、住吉さん！
もしかして、昨日の侵入がバレてるんじゃない？

バカヤロ！
静かにしやがれ！

さて、いくら俺たちとはいえ、
さっさと運ばんと
授業が始まってしまうな。

……よし。

せっかくだから
競争でもして
相乗効果ですばやく終わらせるぞ！

でた―！
マナビヤの無駄な競争！

よぉし！
住吉さんにいいところ見せるために
負けないぞ！

そして、大林の軽いノリ！

……ん？

大林、今なんて言った？

あ……。

な……なんでもないよ！

コイツはあんなヤバイ目にあわされても、まだアタシにつきまとうつもりなのか……。

フンフンフフーンー♪

んー……センパイは
どこの教室かなー……

あー、今日も授業しんど。
so waste.

このlow motibation を覆すような、なんか面白いネタ無いかなー。

ん？

キョロキョロ

お、あれはこの前のバイトちゃん！
3年の教室でなにやってんのかなー。

センパイセンパイ……っと。

……センパイ……？

ピーン！

もしかして、年上の彼氏がいるのかな……ムフ。

これは上級生として
先行きを見守るしかありませんね！
Let's go!

ん？

スタスタ……

スタスタ……

スタスタ……

あ、見つけた！

え！ウソ！？Oh my god!
マナビヤが彼氏！？

まてよ、ゆーちゃんも
One chance あるな。

センパーイ！

む？

げっ！アイツ！

あ、杜若さん。

皆さんお元気ですかー！

お、新入生。何かようか？

いやー、ちょっとセンパイに会いたくなっちゃって。

キッ！

ね、センパイ。

くっそー、早くどこかへ行きやがれ。

マジか！？really?
見つめ合う二人！
百合展開キタコレ！

え、センパイって住吉さんの事？

ピクッ

Su-Mi-Yo-Shi...
alter object soeda rename to sumiyoshi;

はい、そうです。

センパイ、ここのクラスなんですねー！

む？

ちょっとまて、新入生。

マナビヤ、放っておけ！
そいつに関わるとロクな事がない。

……しかしだな。

もう、センパイったらツレナイんだから！

ウッ……。

えへ。

……くそっ……。
またコイツに遅れを取った。
予備動作がないから、全く読めない。

コイツがマジで
命《タマ》を取りに来てたら
確実にやられてた。

ちゅっ！

幸い別の目的のようだが……。

キャッ！

な……何をしとるるるるんじゃ！
おなご同士で……・。

Oh！住吉、モテモテだなぁ。

おい、半端者。いい加減にしろよ。

やだなー、センパイ、怒るとお肌が荒れますよ。

ちょっといいかな、住吉さん。

なんだ、大林ィ！
今取り込み中だ。

住吉さん、まさかその子と……

いちゃラブ……！？

はわわ……

ハァ？

アフォ！
アタシにそんな趣味は無い！
だいたいアタシには心に決めた……

……え？

心にだと？

……お？

ハッ。

……くそっ、あっちいけ！ガキ！

は～い！
また遊びましょうね、
セ・ン・パ・イ！

ふん♪ふん♪ふふん♪

んー？

echo object.name;

ソエダ。

あっれー？

また消えた。

昨日よりも、明確に保存したはずなのにー。

面倒くさいなー、Vanishing《消失》のチカラは。

次はどうしよっかなー。

あー、やっと終わったね、住吉さん。

くっそぅ。
無駄に腕に疲労が残ったじゃねぇか。この状態で接敵はしたくねぇ……。

のう、住吉。

ん？

昨日も仲良くしてたみたいだが、
新入生とは知り合いか？

知り合いも何もこの前一緒に……。

この前？

あっ……

そうだ、大林以外は添田がアタシだってこと知らないんだ。

えーっと……

……この前……生田に呼び出されたところに、アイツも一緒にいたんだよ。

まったく、なんでこの学校の体育教師は生田しかいないんだか。

あぁ、なるほど、どおりで。
殴り合いでもして呼び出し食らったのか？

なぜ殴り合いなんだよ？

貴様らはふたりとも
血の匂いがプンプンするからなぁ。

……！！
コイツ……。

……まあ、そんなところだ。

それがお前らの馴れ初めか。
血気盛んじゃの！
善きかな！

馴れ……初め……？

はわわ……。

いい加減、マナビヤの勘違いに慣れろ！大林ィ！

……ったく。

それにしても……。

……マナビヤ。侮れないな。

コイツからはなるべく距離を置かねば。