アヤは俺の手を取ると、手に文字を書き始めた。
やあ、来たね?
…
ふむふむ、なるほど、ほうほう…
あの…?
”手を貸して”とジェスチャー
…
アヤは俺の手を取ると、手に文字を書き始めた。
”こっちに来て、やってほしいことがある”
アヤはそう手に書くと、俺の手を取って近くにある建物に入った
”さ、ここだよ。簡単には見つからない場所さ”
アヤは手に文字を書くのをやめると、部屋のメモに何かを書き始めた。さらさらとしたペンの音だけが部屋に響いた。
…
”ボク、ずっと考えてたんだ。君ほど身分の高い人間が、どうして一人も護衛をつけずに自由に出歩くことができるのか…”
渡されたメモにはそう書かれてあった。
アヤはメモを渡したらすぐ続きをさらさらと書き始める。それぞれの内容は、このような感じだった。
”君、服に何か仕込まれてるだろ?発信機かなと思ったけど、どうやらそうじゃないね。もし発信機ならここに来る時点で誰かが迎えに来るだろう”
”おそらく、盗聴器だ。僕は確信してるよ。今から理由を話すね…”
・僕は君に言葉で「とある喫茶店」を指定した。
・そのあとに手に文字で「こっちが本当。街で一番危険な闇市においで」と書いた。
・ボクは昨日のうちに君の家に忍び込んで働く人間の顔を全部覚えた。
・君と出会う前に「とある喫茶店」を見たら、君の家の人間が一般客に紛れ込んでいた。
・でも君はここに来れた。つまり、仕込まれているのは盗聴器ではないか?
…!!!
”そう、だから昨日の会話は全部聞かれてると思ったほうがいい”
俺は…なんて事を…そんな事にも気づけなかったなんて…
”…いま一度聞くけど、君が殺したいのはライバルのエルリック家ではなく「ジョージ家」だろう?”
…(こくこくと首を縦に振る)
”でも君は「あの家の関係者全員殺したい」と言った。自分の家とは言っていない。そこで提案なんだけど…”
…
”下手に盗聴器を止めたら怪しまれるから、ここは「エルリック家の関係者を殺す計画を立てている」という芝居をしようじゃないか!”
そ、そうか!そうすれば真の目的がバレることはない…!
じゃ!君は今からエルリック家の関係者を殺すための計画を立てるわけだ!でも圧倒的に力が足りないね、まずはきっちり筋肉付けて行こうか!
…!はい、絶対、お父様の為に役に立って見せる!
”うんうん!その調子だハロルド。上手くやるんだよ?勿論僕も君に協力するからさ…”