アヤ

や、ハロルド

ハロルド

アヤ

そうかしこまらないで?
今日呼んだのはそんなに固いものじゃないし

ハロルド

えっと…

アヤ

あのね、君が毎日ボクの提案したメニューをこなしてることは知ってるよ!
体つきでわかるからね~

ハロルド

そ、そうなんだ…?

アヤ

だから、そんな君に初めてのお仕事…

アヤ

動物の暗殺、だ…

ハロルド

じゅ、十分…重圧あるような…

アヤ

あはは、野生の動物は感覚が鋭い。早く動く練習になるだろうし…まあ…

アヤ

逃げられたら最後、自分が死ぬと思って必死で…

ハロルド

ま、待って…!

アヤ

おあ!な、なあに…?

ハロルド

動物…ほんとに…殺すんだよね…

アヤ

アヤ

アヤ

え…!?

ハロルド

ちょっと、可哀想で…俺…

アヤ

アヤ

…あ、あはは…え?
そうか、それもそうか?初めてかい?虫も殺したことないようなこと言うんだね…
君、もしや覚悟はあるのに踏み出せないでいる?

ハロルド

いや…人間みたいに欲塗れの物体なんかが、毎日必死に生きている動物を殺める権利なんて

アヤ

ちょ、ちょちょ!ストップ!

ハロルド

…?

アヤ

君の中のカースト、動物>人間なの?

ハロルド

…?そうだけど

アヤ

…ええ……それは予想してなかった

アヤ

…えっと、じゃあ、今から大事なことを訊くし、教えるから、よく聞いて?

ハロルド

う、うん…

アヤ

君はベジタリアンかい?

ハロルド

…いいや

アヤ

肉は動物から出来ているのは知ってるね?

ハロルド

…うん

アヤ

じゃあ、毎回心を痛めて食べているの?

ハロルド

…うーん

アヤ

今殺そうとしている動物だって、食べられている動物だって、結局は同じなんだよ?必死に生きている
今だけ可哀想なんて、それってエゴだよね?

ハロルド

う…

アヤ

まさかそれもわからずに人間を殺そうとしたのかい?
必死に生きている人間はどこにだっているよ、君だってそうだ。生きるために、殺すんだ

ハロルド

うん…

アヤ

…可哀想って思うことは決して悪ではないよ。でもね、この場に置いて

アヤ

慈悲は必要ないんだよ

ハロルド

…ごめんなさい

アヤ

…君が本気なのはわかってる。だからボクもそれに応える
うん、これはそのための練習だ
殺すことに、慣れるための…

アヤ

幸い、時間はある方だからさ…

ハロルド

アヤ

あ…大丈夫だよ。これで見限りはしない。ボクは感覚がマヒしていたからね、考慮できなかったんだ…

ハロルド

良かった…

アヤ

さ、気を取り直して…
ターゲットになる動物の巣は調べておいたから、近づいたら用心して歩くこと。そういうことは教えてあげるからね!
後は…

ハロルド

あとは…?

アヤ

ま、今回は傷を付けただけでもオッケーにしてあげる。初めてだしね!

ハロルド

は、はいっ

アヤ

ちゃんと、殺す覚悟持って臨むんだ。いいね?

ハロルド

…はい

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