休憩スペースに向かうと既に敬一と美咲の姿はあった。
荷物は敬一が全て持っていたが、二人ともどこか嬉しそうだ。
休憩スペースに向かうと既に敬一と美咲の姿はあった。
荷物は敬一が全て持っていたが、二人ともどこか嬉しそうだ。
良い買い物出来たのか?
明彦の言葉に敬一が頷く。
うん。お陰様でね
ミサちゃんも何か買えた?
うん!聞いて聞いて!
『Fratello』のキャラモチーフネックレスが売ってたんだよ
美咲にしては珍しく興奮している様子だ。
え、何それ!わたしも欲しいかも。
あーでもお金が……
結月は思わず唸った。
そんな結月に敬一が声を掛ける。
そんならユズちゃん、良い物があるよ
え?
不思議そうな結月に敬一が専門店街を示す。
行ってみる?
うん!
結月は条件反射で頷いていた。
敬一に案内されたのはアクセサリーショップのピンキーリングのコーナーだった。
あ!
結月はすぐにコーナーの一部に釘付けになる。
『Fratello』コラボピンキーリング』
そこにはそんな立て看板があり、それぞれのキャラのカラーのピンキーリングが売られていた。
アキ!お揃いで買おうよ
結月は思わず隣の明彦に声を掛けた。
まぁ確かに普通のアクセサリーっぽいな……これは
明彦はじっくりリングを観察している。
銀河カラーと大河カラーと……どっちにしよう。
アキどっちも似合うと思うんだよね
真剣に悩み始めた結月に明彦は思わず苦笑した。
そうだな、俺は青い方で、救世主こそ紫が相応しいのではないか?
あ、そっか!
確かにわたしは余り青似合わないかも……
そんな二人の様子を離れた所から微笑ましそうに敬一と美咲は見守った。
ああしているのを見ると、少しは恋人っぽく見えるね
敬一の言葉に美咲は頷く。
ユズちゃんの反応……可愛いよね。すっごく女の子っぽい
その言葉に敬一は美咲に微笑んだ。
さっきのプレゼント交換の時は旗仲さんも全然女の子らしかったよ?
あんな表情するんだなって新たな一面を知っちゃったな
ななっ……
美咲は恥ずかしさで思わず赤くなり、それから睨むように敬一を見た。
そういう所、ほんっとうに嫌
あはは、ごめんって
敬一は苦笑しながら美咲を宥める。
そんな二人の許に会計を済ませた結月と明彦が戻って来た。
……何の話をしてたの?
不思議そうな表情で結月が問い掛けて来る。
な、何でも……
何でもない、と答えようとする美咲を敬一が遮った。
二人の様子が恋人っぽくなったなって……
え!?
な!?
結月と明彦は同時に真っ赤な顔で絶句した。
そんな二人の小指には青と紫のピンキーリングが揺れている。
それを見て敬一はからかうような笑みを浮かべた。
揃ってリング着けちゃったりして……あっついねー
け、ケイっ
か、からかわないでよ
明彦と結月は真っ赤な顔のまま、敬一に返す。
それに再び敬一は笑みを見せた。
そのまま手を繋いで歩いたら?
恋人繋ぎとかやってみてよ
敬一の言葉に結月は更に真っ赤になるが、明彦は不思議そうな表情になった。
……恋人繋ぎ?
あーアキ君はわからないか
そんな明彦の前で敬一は自分の両手で実践して見せる。
こうやって指と指を絡めるようにして……繋ぐんだよ
物は試しだし、やってみようよ
美咲も加勢する。
え、えーっと……こうか?
ぎこちない動作だったが、結月の手を取った明彦は試すようにやってみる。
それに合わせて結月も指と指が絡むようにしてみた。
実際やってみると……結構しっかり握るんだ
そうだな……
言いながら結月と明彦は互いに照れる。
ドキドキして落ち着かないけど……すっごく今、恋人っぽいかも
照れてしまいながらも結月は……繋いだ手を離されないように強く握った。