いまだに、自分でも信じられない気持ちを収めきれないハルは、ランディとダナン、そしてユフィが戦闘を終えたのを皮切りに現実に戻った。そしていつもの騒がしいハルが顔を出す。
ふぅやっと片付いたぜ。
つーか、マジ?
・・・・・・あのでけーの、
ハルが一人で
やっちまったのか?
どうやらそうみたいね。
いまだに、自分でも信じられない気持ちを収めきれないハルは、ランディとダナン、そしてユフィが戦闘を終えたのを皮切りに現実に戻った。そしていつもの騒がしいハルが顔を出す。
す、凄ぇーっす!
あんなバカでかい
魔物を一撃で!
うひょあー、
スゲェーッス!!
本当に凄い・・・・・・、
どうやったら
あんなに巨大な魔物を……
ハル・・・・・・
無事で良かった。
実は
死にかけてたんじゃねーのか?
そんな傷は
見受けられなかったわ。
そうか偶然寿命がきて
くたばったとか。
ギャハハハ、
それだ、それに違いねぇ。
でも、ハルさん
いつもと違う雰囲気というか
何て言ったら
分からないけど・・・・・・
ハルの無事をただただ喜ぶアデルの隣で、一番近くで見ていたロココは不思議そうに呟いた。
しかし、当の本人のハルは、ダナン達と一緒に爆笑して騒ぎまくっている。ロココの不可解な思いは、胸の内に留まることになった。
五階層の探索は慎重に進められる。ドゥーガーを凌ぐ魔物は五階層にはいないらしいが、注意し過ぎることはないからだ。
そしてシャンディの青石がリュウ達を指し示した座標まであと少しだ。
あの通路の角を
右に曲がると、
大まかな座標付近になります。
アデルはマッピングをしながら、声色を大きくした。
魔気漂う迷宮の空気が緊張する。先頭を行くダナンが角を曲がると、怪訝な面持ちを露わにした。
言葉に表すと、人工的、それが一番しっくりくる。人為的に削られたような壁面であり、通路の奥には光が見える。
通常、迷宮内の壁は僅かに発光しており、近距離なら松明等の灯りは不要だ。そして奥に行くほど闇に包まれているものだ。
今迄の階層は、魔気の濃さは違えど、迷宮の構造は似たようなものだった。初めてのケースにダナンが怪訝な顔を見せるのも無理はなかった。
きっとあの先が
盗賊の砦なはず。
皆、気を付けていくわよ。
一歩、そして又一歩。運ぶ脚と共に緊張感が増す通路。先にある光が少しづつ大きくなってくる。
ロココの魔気感知には異変はないようだが、慎重に進む。
な!?
なんすか?
何でこんなものが!?
通路を抜けた先には、石を積み上げられた建造物があった。
『盗賊の砦』だ。
前王が建てた人類の前線基地。現在は国の管理を離れ盗賊共の砦になっているらしい。
さっき前王様が建てたって
言ってたでしょ。
それに、
情報収集したのは
ダナンとあなたでしょう。
ユフィさんよ、
皆まで言うなって。
ハハハ……
緊張感高まる局面で、それを緩めるのはハルの仕事。眼前に見える砦の入り口を前に、しっかり役目をこなしたハルだった。