鋼化した腕が地球に引かれ落ちていく。
お、重い!
鋼化した腕が地球に引かれ落ちていく。
動けない!
私は惨めにも地面へ手を着いた。
ほー、これがお前の能力か? 動けなく能力とか、イカシ過ぎだろ!
鋼化してない頬を打たれた。重い腕のせいで動けず顔を左右から叩かれる。
や、やめろよお前達、女の子を叩くとか、いけないだろ?
あの、謎の雷使いが間に入ろうとして蹴り飛ばされた。
うるせーぞ、テメェ!
くっ、
こいつ、ビリッとしやがる! こいつも能力者だ狩っちまえ!!
彼『マチス』が電気を放出するが、……それが辺りに広がる事は無かった。
こいつ、ビリッとするだけのチカラしかねぇぞ! ビリリじゃねぇ、ビビリ君だ!
ビビリが1億、動けねぇのが1億! 合わせて2億ゲットだぜ!!
覚悟した。私、ここで死ぬ。まだ、まだ、
まだまだやりたいことがあったのに! 夢とか、まだまだ見たかった!!
そこまでにしとけよ、おっさん。
塀の上に黒い影が見えた。影はポケットに手を突っ込んだまま塀から飛び降りる。
誰だ、テメェ?
その赤い服は幼い頃から想うヒーローを連想させた。そう! そのニヒルな眼差しは、私が一番信頼するヒトのモノだった。
俺か? 俺は『焔イツカ』。通りすがりの兄貴分だよ。