ヒナ

お、重い!

 鋼化した腕が地球に引かれ落ちていく。

ヒナ

動けない!

 私は惨めにも地面へ手を着いた。

ほー、これがお前の能力か? 動けなく能力とか、イカシ過ぎだろ!

 鋼化してない頬を打たれた。重い腕のせいで動けず顔を左右から叩かれる。

マチス

や、やめろよお前達、女の子を叩くとか、いけないだろ?

 あの、謎の雷使いが間に入ろうとして蹴り飛ばされた。

うるせーぞ、テメェ!

マチス

くっ、

こいつ、ビリッとしやがる! こいつも能力者だ狩っちまえ!!

 彼『マチス』が電気を放出するが、……それが辺りに広がる事は無かった。

こいつ、ビリッとするだけのチカラしかねぇぞ! ビリリじゃねぇ、ビビリ君だ!

ビビリが1億、動けねぇのが1億! 合わせて2億ゲットだぜ!!

 覚悟した。私、ここで死ぬ。まだ、まだ、

 まだまだやりたいことがあったのに! 夢とか、まだまだ見たかった!!

そこまでにしとけよ、おっさん。

 塀の上に黒い影が見えた。影はポケットに手を突っ込んだまま塀から飛び降りる。

誰だ、テメェ?

 その赤い服は幼い頃から想うヒーローを連想させた。そう! そのニヒルな眼差しは、私が一番信頼するヒトのモノだった。

イツカ

俺か? 俺は『焔イツカ』。通りすがりの兄貴分だよ。

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