女の子と、それを追うように女の人が走っている。
その後を、手に棒を持った男達が追いかけていた。
嫌! 嫌だよお母さん!
フミ、言う事を聞くの!
女の子と、それを追うように女の人が走っている。
その後を、手に棒を持った男達が追いかけていた。
あんたの相手は後!
私は慌てて女の子を追った。女の子を追う女性に追いつく。
すみません! もしかして、能力者『贄』の方ですか?
お願い!
女性は懇願した。
フミを! フミを助けて!!
即座にこの状況を理解した!
あ、貴女は?
私も『贄』です。任せてください!
女性に肩を引かれる。その手を包み、私は訴えた。
任せて! 絶対にフミちゃんを助けます!
ゴラァ! そいつは俺らが見つけた1億やぞ!
男たちは今にも追いつこうとしていた。フミちゃんを抱き上げ額を合わせる。
フミちゃん! 私に願って!
その目を視て伝える。
チカラは要らない! お姉ちゃんにアゲル! って
フミちゃんは私へ縋った。
要らない!! お願いお姉ちゃん!!
身体に光が満ちる。手袋を越え右手から輝きが迸(ほとばし)る。
……。
……。
……。
黒い服を纏った人達が辺りを囲んでいた。空に浮き、彼らは私を見下している。
脳に声が響いた。
【そのチカラは『鋼』。身体の一部を一時的に『鋼化』出来る能力だ】
貰ったよ! そのチカラ!
フミちゃんの右手から星の文様が消えていく。私は拳を『鋼化』し胸に構えた。
かかってきなさい! ゴミクズ共!