フミ

嫌! 嫌だよお母さん!

フミの母親

フミ、言う事を聞くの!

 女の子と、それを追うように女の人が走っている。

 その後を、手に棒を持った男達が追いかけていた。

ヒナ

あんたの相手は後!

 私は慌てて女の子を追った。女の子を追う女性に追いつく。

ヒナ

すみません! もしかして、能力者『贄』の方ですか?

フミの母親

お願い!

 女性は懇願した。

フミの母親

フミを! フミを助けて!!

 即座にこの状況を理解した!

フミの母親

あ、貴女は?

ヒナ

私も『贄』です。任せてください!

 女性に肩を引かれる。その手を包み、私は訴えた。

ヒナ

任せて! 絶対にフミちゃんを助けます!

ゴラァ! そいつは俺らが見つけた1億やぞ!

 男たちは今にも追いつこうとしていた。フミちゃんを抱き上げ額を合わせる。

ヒナ

フミちゃん! 私に願って!

 その目を視て伝える。

ヒナ

チカラは要らない! お姉ちゃんにアゲル! って

 フミちゃんは私へ縋った。

フミ

要らない!! お願いお姉ちゃん!!

 身体に光が満ちる。手袋を越え右手から輝きが迸(ほとばし)る。

ルーラー

……。

ルーラー

……。

ルーラー

……。

 黒い服を纏った人達が辺りを囲んでいた。空に浮き、彼らは私を見下している。



 脳に声が響いた。

【そのチカラは『鋼』。身体の一部を一時的に『鋼化』出来る能力だ】

ヒナ

貰ったよ! そのチカラ!

 フミちゃんの右手から星の文様が消えていく。私は拳を『鋼化』し胸に構えた。

ヒナ

かかってきなさい! ゴミクズ共!

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