銀の刃を構えていく。正眼に構えた光は黒い魔物を示した。

二つ足

……。

アリオス

忌まわしき『ガイア』の獣よ。移動王国『イングリア』が騎士、『アリオス・ロージディア』が相手だ!

二つ足

ABJYU!

『二つ足(ふたつあし)』の『ガイア獣』?が高い声を響かす。

四つ足

gutyu.

四つ足

gutya.

四つ足

abigutyu!

 耳触りな言葉に倣い、3匹の『四つ足(よつあし)』が私達を囲んだ。彼らは『シャウラちゃん』を狙っているように思えた。その足を『シャウラちゃん』へと詰めていく。

アリオス

群れていたか。この国に幾つ侵入を許したんだ『フェイク』。

 眉根を寄せる『アリオス』さん。その足が風を切り、刃が1体の『四つ足』を突く。辺りに散った残り3体が彼に肉迫する。

四つ足

abigyu!

ココア

危ない! アリオスさん!

 その間に体を滑り込ませた。拾った石で爪を受け、首に巻いていたチェーンを千切り自身の致命傷となるはずだった次の一撃を凌ぐ。指が爪の圧を受け黒く染まった。

アリオス

ハッ!

四つ足

abi!

『アリオス』さんが1匹の『四つ足』を斬り払う。ソレは瞬きの光となって消え去った。

アリオス

――マイア姫では無いのか? キミはいったい、

 残るは1体の『二つ足』と、2体の『四つ足』。私は意地悪い笑みを浮かべる『シャウラちゃん』の前に跪(ひざまず)いた。

ココア

ええい、シャウラちゃん! 武器は無いの! そのポシェットに入ってないの?

『シャウラちゃん』がポシェットから色々なモノを引き出していたのを私は視ている。『シャウラちゃん』が、くつくつ、と私を笑った。

シャウラちゃん

『愛って無いの?』ですって? おませな子ね。

ココア

ちが~う!

シャウラちゃん

あなた、このシャウラちゃんに、『何か無いの?』そう聞いたわね。

 そうそう! と顎を上下する。



 美淫獣『シャウラちゃん』はそのツインテールを自身の爪で払おうとするが……短すぎて届かない。顔の包帯を撫でて、

シャウラちゃん

シャウラちゃんの古傷が疼くわ♪

と改めて仰る。

シャウラちゃん

この天才美淫獣に不可能は無いわ! というか何でも有るわ!

『シャウラちゃん』は一本の『耳飾り』を自慢げに取り出し、……落として、拾い直した。そして白々しく私へ問いかける。

シャウラちゃん

貴女、イヌって好き?

 私は胸を張って応えた!

ココア

うん! 大好き! うちの家系はみんなワンちゃん好きだもの!

 耳飾りの遙か頭上、空の彼方から声が聞こえる。あの星々の1つが話しかけていた。

真・赤輝石『NEO』

【Your name?(お名前は?)】


 血を払い腰に手を当て答える。

ココア

私は、桜ココア!

 遙か高い星へ、この言葉を示したの。

ココア

この世界の頂点(てっぺん)を目指す者よ!

【第3話】目指すもの。

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