銀の刃を構えていく。正眼に構えた光は黒い魔物を示した。
銀の刃を構えていく。正眼に構えた光は黒い魔物を示した。
……。
忌まわしき『ガイア』の獣よ。移動王国『イングリア』が騎士、『アリオス・ロージディア』が相手だ!
ABJYU!
『二つ足(ふたつあし)』の『ガイア獣』?が高い声を響かす。
gutyu.
gutya.
abigutyu!
耳触りな言葉に倣い、3匹の『四つ足(よつあし)』が私達を囲んだ。彼らは『シャウラちゃん』を狙っているように思えた。その足を『シャウラちゃん』へと詰めていく。
群れていたか。この国に幾つ侵入を許したんだ『フェイク』。
眉根を寄せる『アリオス』さん。その足が風を切り、刃が1体の『四つ足』を突く。辺りに散った残り3体が彼に肉迫する。
abigyu!
危ない! アリオスさん!
その間に体を滑り込ませた。拾った石で爪を受け、首に巻いていたチェーンを千切り自身の致命傷となるはずだった次の一撃を凌ぐ。指が爪の圧を受け黒く染まった。
ハッ!
abi!
『アリオス』さんが1匹の『四つ足』を斬り払う。ソレは瞬きの光となって消え去った。
――マイア姫では無いのか? キミはいったい、
残るは1体の『二つ足』と、2体の『四つ足』。私は意地悪い笑みを浮かべる『シャウラちゃん』の前に跪(ひざまず)いた。
ええい、シャウラちゃん! 武器は無いの! そのポシェットに入ってないの?
『シャウラちゃん』がポシェットから色々なモノを引き出していたのを私は視ている。『シャウラちゃん』が、くつくつ、と私を笑った。
『愛って無いの?』ですって? おませな子ね。
ちが~う!
あなた、このシャウラちゃんに、『何か無いの?』そう聞いたわね。
そうそう! と顎を上下する。
美淫獣『シャウラちゃん』はそのツインテールを自身の爪で払おうとするが……短すぎて届かない。顔の包帯を撫でて、
シャウラちゃんの古傷が疼くわ♪
と改めて仰る。
この天才美淫獣に不可能は無いわ! というか何でも有るわ!
『シャウラちゃん』は一本の『耳飾り』を自慢げに取り出し、……落として、拾い直した。そして白々しく私へ問いかける。
貴女、イヌって好き?
私は胸を張って応えた!
うん! 大好き! うちの家系はみんなワンちゃん好きだもの!
耳飾りの遙か頭上、空の彼方から声が聞こえる。あの星々の1つが話しかけていた。
【Your name?(お名前は?)】
血を払い腰に手を当て答える。
私は、桜ココア!
遙か高い星へ、この言葉を示したの。
この世界の頂点(てっぺん)を目指す者よ!