アデル

ユフィ、
どこが痛むんですか?
無茶しないで下さい!

 膝を付いて額に掌を当てるユフィにアデルが寄り添う。ロココも刻弾の扱いを得意としているが、連発して撃つのは危険が伴う。そもそもエンゲージ・コアに溜まっている魔気が足りないかもしれない。



 それに普通に刻弾を誰かが撃っても、ユフィの時のように簡単に肉片でガードされる可能性が高い。挙句、魔物は再生能力が高く、近接攻撃で攻撃してもすぐに再生してしまう魔物なのだ。

ダナン

おい、ランディ。
お前アレできねぇのかよ。
コフィンと戦った時に使った
剣に魔気を留めるやつをよ。

ランディ

やれんならとっくに
やってるつーの。
ありゃぁ、
もっと魔気がいるんだよ。

ダナン

っち、使えねぇ奴だな。

ロココ

ぼ、僕が撃ちます。
今度は必ず当てますんで。

ハル

駄目っすよ。
いくらロココでも
連発は危険っす。

ランディ

ならハルキチ!
ハゲ!
一気に仕掛けるぜ!

ダナン

おい、てめぇ!
勝手に飛び出すんじゃねぇ!
なんか策でもあんのかよ!

ランディ

策なんかないっつーの。
只の賭けだ。

 ランディが一人飛び出し、賭けと口にする。それに引っ張られるようにハルとダナンが、ランディの背中を追い掛ける。

 

 先頭を行くランディは、魔物の上半身から生える触手に襲われる。が、長剣で襲い来る触手を切り落とす。切り払う。だが、直ぐに再生されてしまう。

 触手の再生後、魔物は強烈な光を放った。およそ迷宮では見ることのない光量を直接浴び、全員の目が眩む。

ロココ

眩しい!?

ハル

っく!
何っすか!?

ダナン

チクチョ―が!
見えねぇ!!

ランディ

目くらましなんざ
小癪な真似……

 まだ目が眩む間に、次の攻撃がランディをとらえていた。触手による殴打、しかも二本連続で腹と肩に強烈な衝撃を与えるものだった。ランディは横の壁まで吹っ飛ばされてしまう。

ランディ

ぅぐっ!

ハル

ランディ!!

ロココ

やっぱり刻弾で
一気に仕留めます!

アデル

ロココ無茶です!!
撃つなら私が!!

ユフィ

駄、目よ……

アデル

ユフィ、でも
このままじゃ……

ユフィ

再生……する時……よ。

ダナン

じゃあ、俺達が
直接攻撃した瞬間を狙うんだな。

ロココ

あんなに早く再生するのに……

アデル

やります!!

ダナン

それしかねぇ!
ハル同時に仕掛けるぞ!!
俺が触手を何とかする!

ハル

絶対に
当ててみせるっす!!

ダナン

ガハ!!

ハル

うおぉぉ!

アデル

今っ!!

ロココ

アデルさん!
大丈夫です!

アデル

いけ!!

 ~湧章~     114、同時攻撃

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