――ディープス地下迷宮四階層。
――ディープス地下迷宮四階層。
流石に今迄とは違いますね
ロココが神妙な面持ちでメンバーに言い洩らした。それを受けてかランディが口を開く。
俺は四階層までは
何度も来ているから
慣れたけどな。
嫌味っ気を感じさせないランディの物言いは、まだこの階層を知らぬユフィ達に、僅かながらの安心を与えた。
今日は無理しないわ。
お互いの実力を確認したり、
実践での連携を確認する為に
なるべくリスクは
減らしていくつもりよ。
わかったっす。
ランディ、
よろしく頼むっすよ。
ハルの声掛けでランディに視線が集まる。するとランディは表情を緩め、美男子特有の甘い目配せで返事をしてみせた。
前方に魔気の反応です。
数は二、三体です。
全員が一斉に前方の闇に構える中で、ランディが関心を示した。
そんなこともわかるのか?
ロココは魔気の探知や
コントロールが並外れています。
刻弾の扱いも誰よりも
秀でていて頼りになる人です。
神業かよ。
魔操者と呼ばれるその能力を、ランディも初めて目にし感嘆している。
来るわよ!
ハイリザード同時に三体!
ハル、ダナン、ランディ、
それぞれ迎え撃って!
ハイリザード
真っ先に血飛沫を上げたのはランディが対したハイリザード。眉間を長剣で一突きにされて何もせぬままに倒れた。
すげーっす!!
ランディ凄すぎるっすよ!
お手並み拝見。
一対一じゃ負けねーぞ
ワニ野郎!!
鍔迫り合いの状態になっていたダナンは、魔物相手に力で押し切り大きく仰け反った相手の隙をつき、頭に鉄棍を叩きつけた。
うおっし!!
……
自分も負けないっすよ!
ハルは相手の攻撃を躱す。そこからの袈裟斬りが見事に決まった。
っま、
これくらいの相手なら当然か……
ランディはそう憎まれ口を利きながらも、ダナン、そしてハルとハイタッチをした。
速さもキレもあるタイプね。
問題は……
一人呟くユフィの危惧は、アデルの耳にだけ僅かに届いた。
――――ユフィ達は少々の苦戦も見受けられたが、無難に四階層の魔物を討伐していった。
先ほどの呟きが気になったアデルは、ユフィに尋ねていた。
さっき言っていた危惧って
何なんですか?
ユフィはアデルと視線を合わせて答える。
打たれ強さよ。
あーゆうタイプは
触れさせず戦うスタイルだから
被弾した時の耐久性というか、
タフネスを心配しているのよ。
確かに前衛で身体張って戦う役目には重要な要素ですね
この時、二人がジュピターのことを思い出したのは自然なことだった。ジュピターも速さを主体にして戦うタイプだったが、軽量の宿命と言える打たれ弱さに悩んでいたからだ。
前方に異質な
魔気の反応です!
ロココの声は平常時より強張っていた。
そして闇から現れたそれは、人の形をしながらも人ならざる魔物だった。