つよし

さて、どうしようかな

きさら

??

きさら

どうしたの

つよし

うーん

きさら

つよしが悩むなんて珍しいじゃない

きさら

そんなに悩むこと?

きさら

あのことでしょ?

つよし

そうだねぇ

つよし

僕は金島涼という人間を高く買っているんだ

きさら

そうねぇ

きさら

つよしにしては距離が近いものね

つよし

驚いた

きさら

ひどいわね!

きさら

ここれでも気がついてるんだから!

早朝の教室はまだ人が少なく、きさらの友達もまだ登校していない。
僕は手帳を広げて考える。
このタイミングで動いた方がいいと思うのだが、悩ましいのは金島涼だった。
彼が一体どう動くかが検討がつかない。
序列に染まっていない彼の動きはとても興味深く、僕にとっては面白いがこういう時に困惑する。
彼は一体何を原動力に動くのだろうか。

つよし

僕は彼に興味がある

つよし

だから彼が一条さんと仲良することにあまり賛成はしないんだ

きさら

あら、どうして?

つよし

きさらは涼のことどれくらい調べた?

きさらは髪の毛の先を触りながら答える。
彼女が気になることがある時の癖だ。
彼女は金島涼のことについて気になることがあるらしい。
報告がないということはまだ調べがついていないのだろうと検討をつける。

きさら

中学校の時の事件のこととか家族構成とかかしら?

つよし

一条さんのことは?

きさら

それは調べるまでもなく知ってたわ

つよし

じゃあ、僕が言いたいこともわかるだろう

きさら

でも、人間のことだもの

きさら

どうにもできないこともあるわ

きさら

本人の気持ちだもの

つよし

そうだよ…ねぇ

きさら

気持ちといえば

きさら

いつになったらつよしは私に振り向いてくれるのよ!

つよし

うーん

きさら

別にいいんだけどね

つよし

ごめんね

きさら

つよしがその気なくてあたしを利用してるの知ってるし

つよし

おや?

きさら

何度ことみに止められたか…

つよし

うずきさんは?

きさら

別に気にしないって

つよし

そうなの?

きさら

むしろ私がつよしのそばできゃいきゃい言ってる方が、都合がいいとも言ってたわ

つよし

女子1位相手によく言うね

きさら

そういうとこが気に入ってそばに置いてるとこもあるわ

つよし

でもまさか、きさらに僕の気持ちがないっていうのがばれているとは

きさら

バレバレもバレバレよ!

きさら

もう少し隠しなさいよね!

きさら

悲しくなるじゃない

つよし

あはは

つよし

今年は学年中が恋愛一色だねぇ

僕が手帳に視線を動かすと、一拍おいてきさらも手帳を見る。
そこには生徒たちの相関図が書き込まれている。

きさら

……イベント、開催するの?

きさらが手帳を見ながら聞いてくる。

つよし

レクレーションで告白大会とかどうだろう

きさら

思いっきりクラスの中心しか楽しめないじゃない

つよし

クラスの中心が楽しむのが目的なんだけどなぁ

きさら

それもいいけど、見てる方もなにか参加させてあげたいわ

つよし

上位が滑稽なことになってるのって面白くない?

きさら

うーん。
もっと盛り上がらせたいわ

きさら

あ、あれは?
ドロケイ

つよし

ああ、選抜ドロケイ

つよし

あれはなかなかみんな楽しんだよねぇ

きさら

先輩たちも巻き込めばなかなか面白くなるともうけど

つよし

そっちの企画にしようか

きさら

告白企画も一緒にやっちゃえば、盛り上がるんじゃない?

つよし

きさらはまた僕に告白する気だろう

きさら

ええ

つよし

じゃあ、君はプレイヤーの方になるんだね

きさら

そうなるわね

きさら

(あなたが楽しむためなら、ね)

つよし

……君ってホントに

きさら

なに?

つよし

なんでもない

きさらがプレイヤーに回るのであれば僕もプレイヤーかなぁ。
主催者兼プレイヤーはちょっと不公平だからチーム分けなんかは誰かに任せよう。
ルールだけ簡単に作ってあとは役員におまかせかなぁ。
軽く思考をまとめた僕は手帳に書き足した。

5月 選抜ドロケイ 開催。

13時間目:傷つけたくなくて

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