弥生

ややこしい感じだけど、こっちはこっちでなんとかなりそう

金元さん

おい

弥生

ひゃ!

慌ててイヤホンをとってポケットにしまう。
後ろを振り向くと、みやちゃんのお友達がいた。

弥生

びっくりした。
何?

向き直って聞けば、怖い顔をしている金元さんが口を開いた。

金元さん

あんた今、盗み聞きしてたでしょ

弥生

へ?

金元さん

みやちゃんの会話

弥生

みやちゃんというか、むっちゃんの会話だけど

金元さん

どっちでもいいわよ

金元さん

聞いてたでしょ!

弥生

それはこっちの仕事の範疇であって、あなたには関係ないことでしょう?

金元さん

関係ないって何よ!?

四崎さん

はーいはい。
どうしたの?

金元さん

あ、うずきちゃんにちさちゃん

声をかけてくれたのは、四崎さんに間宮さんだった。
この組み合わせは想定外だなぁ。
ちょっと臭わなくもないけど、それは気にしすぎ?
二人とも大事な人は絶対裏切らない人たちっていうイメージあるんだけど、少し考えとくべき?

金元さん

どうもこうもないわよ!
この子が盗み聞きしてて!

四崎さん

だって役員でしょー?
それくらいあたしだってするってー

金元さん

うずきちゃんはいいのよ!
友達だから

四崎さん

あたしだって、友達以外の会話聞くってー

金元さん

時と場合によってはでしょ!

四崎さん

うるさいなーもう

金元さんって、本当に素直っていうか、バカっていうか。
この世界でよく生き残ってきたなってレベルの素直さだよね。
こんなに思ったことポンポン言って大丈夫なのって、みやちゃんのおかげなところが多大にあるよね。本当に。

四崎さん

役員なんだからしかたないっていうか、周知の事実でしょー

金元さん

それは、そうだけどぉ…

金元さん

ちさちゃん!

間宮さん

はいはい。
言い返せなくなったからってあたしを頼らないの

金元さん

うー

間宮さん

それに、あんまり役員さんに文句言わないの。
これも仕事なんだから

金元さん

だって、みやちゃんまたあの子に!

四崎さん

ていうかー
もともとあの二人はライバル同士だったから仲いいんだって教えてあげたじゃんあたしー

弥生

そうよ、二人は小学校が一緒で、仲がいいんだから少しは大目に見なさいよ

金元さん

なんであんたに上から目線で言われなきゃいけないのよ!

弥生

……間宮さん。
この子なんで自分のグループ以外にはこんなに牙をむくの?

間宮さん

ほら、中学時代いろいろあったから

四崎さん

だから自分の順位が低いって気づかないとこがなかなかいいよねー

金元さん

もう!
2人はあたしの味方なの!?

四崎さん

あたしは別にー?
中森と繋がれるから一緒にいるだけだしー

金元さん

ちさちゃん!

間宮さん

はいはい

金元さん

味方になって!

間宮さん

ふふ。
そんな正直なところが好きよ

間宮さん

三村さん

弥生

わかってますよーだ。
間宮さんに言われたら盗聴はこの辺で切り上げるよ

間宮さん

助かるわ

イヤホンだけじゃなくて端末の電源を落とすと四崎さんが首を傾げた。

四崎さん

え?いいの?
なんか調べてたんじゃないのー?

弥生

ううん。
らぶについてだからいいの

四崎さん

らぶ?

四崎さん

あー、あれか

金元さん

らぶ!?

弥生

四崎さん

間宮さん

金元さん

みやちゃんの貞操のききぃぃぃ!?!?

弥生

間宮さんまかせた!

間宮さん

えー??

四崎さん

あたしら役員会議あるから!

間宮さん

なによそれ!
ずるーい

四崎さん

じゃ!

弥生

よろしく!

間宮さん

ひどいわー!!

ひどいと叫ぶ間宮さんに金元さんを押し付け…、預けて?私たちは役員会議の教室へ向かった。

四崎さん

で?
ラブってあの二人のこと?

弥生

やっぱりもう知ってた?

四崎さん

そりゃ金島くんわかりやすいものー

弥生

なるべくそっとしておきたいんだよねぇ

四崎さん

中森が動くだろうねー

弥生

そう…?

四崎さん

かといって、あなたが動くと今度は変な感じになるのもねー

弥生

そうなの!悔しい!

四崎さん

まぁ、でも、全体的に見守って公正な判断を下すのが役員の仕事だしー

弥生

わかってるぅ

四崎さん

でも、中森の動きには気を付けてねー

弥生

え?

四崎さん

あたしはあいつのそばにいる人間だからー

四崎さん

これ以上は言えないけどー

弥生

??

四崎さんは笑って追求は許してくれなかったけど、どういうことだろう。
中森くんってそんな危険人物ではなかったと思うんだけど…。
不安になりながらも私は役員会議に意識を向けることにした。

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