女王

よく見せてくれ。

 やばい、まじまじと見られたら気付かれる!!

女王

素晴らしい、
まるで違う剣のようだ。

 ち、違う剣!? き、気付かれたか!? いやこの顔は気付いていないのか? どっちだ? 駄目だ、生きた心地がしないぃ!!

重臣

ほぉ、我が王に
そこまで言わせるとは、
デカい口を利くだけの
ことはあるようだな。

 う、うおぅ、なんかうまいこといったぞ。この重臣も気付いていない。

女王

ふむ、見違えるようだ。
よし大根をもて。

はぁーーーー!!

流天双・爪牙滅砕斬!!

 それってガキンチョが読む『宵闇冒険者シバケン』の必殺技っしょ!! おれも好きだけど……

女王

宵闇に蠢く悪党に死の制裁を。

 って、キメ台詞と残身までw 大根相手に何やってんのこの女王さん。相当のシバケン好きだな。しかも照れながらやってる、可愛いな。

女王

君の名は?

ジエン

へ?

女王

君を我が国の
鍛冶師に迎え入れたい

ジエン

うぇっ!!

女王

嫌と言っても放さんぞ!!
君ほどの鍛冶師は
お目にかかったことはない!
さぁ名はなんと言うのだ!!

 ち、近いって、全然宝剣のことは気付いてないけど、凄いな、わぁーー近い近い近いって。レプリカの出来が良すぎて逆に気に入られるとか予想外っしょ。

ジエン

ジ、ジエ……、ジエルンです。
お気に召して頂ければ幸いです。
それでは、
我々は次の仕事があるので
失礼します。

女王

待て!
もう少し話を聞かせろ!

 だぁーーーっ、興味をもった人間にとことん執着を持つ人か、怖い人ってそうゆう意味かよぉ。ああっ!! 道具袋を鷲掴みにしている!? や、やばい!! 触られたらばれてしまう!!

ジエン

わ、わかりました。
ですのでお離しください。

 ここは一旦、後日伺う対応をしてからにしよう。

女王

よし、分かればいいのだ。
で……

コルティアース

おい、
もうここに用はない。
行くぞ。

 うげぇっ!! 何でぇっ! 折角上手くいきかけてたのに! あんたが前から掴んじゃったらやばいっしょ!

女王

むむ、ならば私も
意地でも離さんぞ!

コルティアース

早くしろ、行くぞ。

ジエン

う、うわわわわ。

 あ、ああああああああ……

女王

どうゆうことだ?
なぜジュヅヴァが
二本あるのだ?

重臣

衛兵!
私の槍をもて!

 ば、ばれたーーーーっ!! 終わったぁー!  一瞬で取り囲まれちゃったよ。死刑だ、絶対死刑だぁーー! 

重臣

一応聞いてやる。
何か申し開きはあるか?

 うひょほぉぅ、切っ先が近いっしょ、頸動脈の寸前だよ。くしゃみでもしたらどうするつもりだ。

コルティアース

これはスペアだ。

 苦しい、実に苦しい言い訳っしょ。何の為のスペアなんだよ、しかも隠しもってたし、そそくさと帰ろうとしたし、言い訳にしか聞こえないっしょ。

コルティアース

宝剣を盗もうとする輩への
目眩ましだ。
提案するのを忘れていた。

重臣

ほう。
国宝のレプリカ作製は
重罪に該当するが、
それなりの提案だ。

重臣

その袋から見える剣が、
本物のジュヅヴァで
なければな。

 終わった…………。



 完全に言い訳だったのがバレる。やっぱ無理だったんだ、国宝すり替えるなんて……









 おれ、なんでこんなことしてたんだっけ?









 まぁ、いいか……。





















 どうせ一度捨てた命だ。









 どうせおれなんか、ろくな死に方するわきゃなかったんだ。





























 ガキ捨てて生きてきて、自分だけやりたいことやってきた……どうしようもねぇクズだもんな。

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