Wild Worldシリーズ

コール歴5年
sky colors

第二話 陰謀の匂い

 

 

 

ダイオス

計画はどうなっている

概ね順調です

ダイオス

我らにも協力者がいる。善はきっと上手く行く

 ウルブール族の招集。

 最近は、この召集も頻繁に行われるようになった。

 きな臭く、陰湿な、しかし必要とされる召集。



男共があぐらをかき円状に座り、難しい顔をとっつき合わせている。

 狭いテント内は人数のせいか暗く、壁伝いに等間隔に並んだ篝火が、場を厳かに見せている。



 ダイオスは上座に座り、集まった者の意見を取りまとめていた。

ダイオス

城か。あそこには隠し通路もある
燃やすなら、ここまで徹底的に

 レダ王時代、城によく遊びに行っていたこともあり、ダイオスは城に詳しかった。

 それは貴重な意見として男共の関心をそそる。

城は燃えるのか?
レダ王のときは燃えにくい素材で城を構築し、他にも外部侵入を許さない、鉄壁の城だと聞いていたが

ダイオス

その鉄壁もコール王が飾りにしたらしい。そのような心配は無用

 物騒な話が進んでいく。



 各々が思い描く、理想の形。

 理想の生き方、世界の形。

 それには、コール王が邪魔だ。




 どうすれば退位させられるか。

 必要とあらば殺したっていい。

 自分たちが生き延びるために、コール王にはいなくなってもらわねばならない。





 コール王の改心を。

 そう提唱した者もいたが、国民の意見を聞き入れずに増税、城の兵士の装備を華美なものに変更、王城には他国の者も簡単に通し、夜通し宴会。今更、コール王に何も期待できなかった。





 ダイオスは考える。

 みなの幸せを。





 セアト王、レダ王が築き上げた国の形。

 それを壊したコール王。





 レダ王の死因はなんだったのか。

 コール王によって暗殺されたという噂は本当か。

 そもそも、王家に何のつながりもなかったコールが王になったのはなぜだ。



 ユニも消えた。

 リウトとは連絡がつかない。

ダイオス

……コール王は何を企んでいる

 不意に、やさしい風がテント内を一巡したかと思うと、ダイオスは考え込んでいた頭を上げた。


 視線を向けた先、入り口に、ひとりの長身の青年が立っている。

 逆光で背中から光を浴びているよう。

 よく目を凝らすと、微笑を浮かべる黒髪の彼は……

ダイオス

クローブか

 ダイオスの呟きに、あたりがざわめく。

 自然と正面の席が開けられ、クローブは礼をしながらそこへ座った。

ダイオス

どうだ? 動きは

ダイオスの問いは短く簡潔だ。

 クローブはその強く真っ直ぐな瞳をダイオスへ向ける。

クローブ

味方を何人か集めました

ダイオス

その者たちは信用出来るんだろうな

クローブ

もちろん

 クローブにとって、ウルブールの召集は初めての席だった。

 そんな場でも、少しおどけてみせる。

 それでも、隙を見せない瞳で、ダイオスの細く小さな瞳を見つめていた。

 クローブが待っているのは、ダイオスの答えだ。

クローブ

後は、あなたの決断次第です。族長










   

オグ

あ、ユッカちゃん見て! トンボ!

 海に近いほう、その辺は、少し草も生えていて、小さな虫もいる。

 ユッカとオグは今日はそこに遊びに来ていた。



 オグが声を張り上げて小さな指を指す方へユッカが見遣ると、トンボは驚いて飛び出すところだった。

オグ

あ、待てー!

 オグが、よたよたとしたおぼつかない足取りで、両手を前に出しトンボを追い掛け回す。

 だだっ広い大地は、自由に走り回れていい。

ユッカ

オグ、転ぶよー

ユッカが注意したまさにその時、オグは転んだ。

ユッカ

ほら、もう

 ユッカが助け出そうと走り出したが、それよりも前にオグに辿り着き、オグに差し伸べる大きな手が見えた。

 思わずユッカは顔をしかめる。

クローブ

やあ

オグ

クローブ!

嬉しそうな声を出すオグに、クローブは笑ってこたえた。









  

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