――城主の間。
――城主の間。
レジ―ナ達は衛兵に導かれ
城主の間に入った。
レジーナ達も知っているこの部屋は、
以前と殆ど変化していない。
敢えて気になるところをあげるならば
ナバール旗が未だに
掲げられているくらいだ。
レジエレナ王女、
我が城主は待ちくたびれ、
僅かながら離席しております。
少しお待ちくだされ。
随分と不遜な態度だな。
降伏の意味も
知らぬわけではなかろう。
気にするな。
確かに待たせてしまったからな。
ムイリゥグはレジーナの言葉を確認し、
後ろに居たカインに話しかける。
七戦鬼カイン、
七戦鬼の生き残りは
お前だけのようだな。
そ、そのようです。
全く情けない奴等だ、
不甲斐ない。
ムイリゥグは、
戦場で命懸けの戦いをしたカインを、
悪し様に罵ってみせた。
ッグ……
おい、じじい。
確かにあいつらは
弱ぇ奴等だったぜ。
だがな……、
ここでふんぞり返ってる
お前さんよりは上等だぜ!
ガンツ、気持ちは分かる。
だが落ち着け。
レジーナ姫、
僭越ながら言わしてもらいます。
俺は安全な場所から
命賭けてる者を
馬鹿にする奴は許さねぇ。
どんなに偉い野郎でもな。
怒気を発すガンツが、
一直線にムイリゥグへ近付く。
それを遮るように立ったのは、
対照的に冷静なギュダだ。
ここに来る前に
民と話す機会があった。
新城主ギリアムを
警戒する言葉はあったが、
少しの間の統治環境に、
何一つ問題はなかったと聞く。
素直な印象では善政と言える。
統治者として、
余程ギリアムは
出来た人物なのだろうな。
ムイリゥグはギュダを
じっとりと包むように見据える。
そして何かを考え巡らせた時間を取り、
ゆっくり答えた。
ご想像にお任せします。
何気ない答えの端々に、
不気味な薄暗さを感じる。
ドロリとして粘着性のある雰囲気が
城主の間を包んだ。
そして、
主導権がどちらにあるのか分からぬまま
時間が流れる。
ガンツも鋭い視線をそのままに
息を平らにしていく。
ムイリゥグは何も語らぬまま
ギリアムを待った。
しかし待たせる奴だ。
先に待たせたのはあなた達だ。
立場が分かっていないようだな。
何を言おうとギリアム様は
まだ帰ってこないはずです。
ならば姫、アレをしますか?
ああ、アレか……面白い。
そうだな、5分時間をやろう。
その間にギリアムが
ここへ来なければ、
部下を一人づつ殺す。
まずは腹心のこの男からだ。
レジーナが国宝剣ジュヅヴァを抜いた先は、
七戦鬼カインだった。
っ!!
どんな理由があれ
時間がくれば殺す。
さらに帰ってくるまで
一人づつ殺す。
城主代理殿は部下を
顧みないようだから
沢山殺さねばならぬかもな。
剣を向けられたカインだけでなく、
レジーナ軍の兵までもが
半身引く思いだった。
それは身体だけではなく、
心底から肝を冷やした心地だ。
ムイリゥグはその宣言を受け、
顔色一つ変えずに言った。
随分と残虐なお人だ。
人心が離れますぞ。
何とでも言え。
むしろ私は楽しんでいるのだ。
嘘に決まっている。
あなた達には殺せない。
嘘ではない、
楽しんでいるぞ。
いつになったら本当の事を
言うのかをな。
レジーナは口角を上げて
目元でも笑ってみせた。
ムイリゥグは何かを諦めたように
表情を緩め言葉を漏らす。
やはり気付いていたか。
そう……
私がギリアムだ。
何だと!?
やれやれ。
気付いてないのは
貴様だけだ。
ウソ!?
マジでか?
Guirium(ギリアム)を
逆さにしたアナグラム、
Muiriug(ムイリゥグ)だ。
この国にそんな名はない。
すぐに気付く。
全然分らんかった。
ってか今でも分からん。
で……ギリアム。
随分と楽しかったが、
実情は私を知る為か?
戦場での采配を見て
お主を量りたくなった。
私にとって
城が誰に統治されているかは
重要なことではないからな。
ふむ。
それでギリアム評で
私はどうなのだ?
流石は一国の王女、
気位も高く才も申し分なくある。
だが……
所詮は小娘にすぎん。
図に乗るなよギリアム。
それ以上は私が許さん。
許さんだと?
私の話を聞いても
それが言えるかな、
片目のボン。
お?
何かあるのか?
少数の兵でここまでの進軍は
まさにお見事。
おうよ。
だが圧倒的に足らないもの……
それは情報だ。
その情報は軍を根底から
突き崩す内容。
勿体ぶらずに
いい加減に話したらどうだ。
ギリアムの語調は深沈たるもので、
冷静なギュダに
焦りを与えていた。
部屋にいる全員が耳を傾ける中、
ギリアムは声を発した。
先に国境を侵したのは
イシュトベルト。
戦争の口火を切ったのは
そちら側なのだ。
!!
侵略された祖国……
必ず取り戻してみせると誓った。
その邪な暴力に対して剣を掲げてきた。
流血の道は険しく
犠牲者も多数に及び、
ようやく反撃の足掛かりと言える
基盤を手に入れた。
そして仇敵の軍勢を目の前に
知らされた。
レジーナ軍の、
否、
レジーナの根底を崩す情報。
アイヅガルドで挙兵してから初めて――
レジーナは深く葛藤していた。
名もなき兵士の選択肢
ギリアムを信じる?
1.信じる
2.信じない
コメント欄に数字と名前を入れて
頂ければO.K.です。
可能ならばその判断基準を
加えて頂ければ面白くなると思ってます。
参戦希望の方は
プラス誰の隊に属したいかもお願いします。
(ギュダ、ガンツ、スダルギア)
ちなみに今回、
活躍等の判定はありません。
しかし、
選択肢により今後の話が大きく変化します。
具体的な行動はありませんが、
兵士達の総意がレジーナに
伝わるかもしれませんね。
もちろん、感想・応援のコメントも
大歓迎です♪
選択期限は
2018/11/21(水)の22:00まで
とさせていただきます。
沢山のご参加、心待ちにしております。
スダルギア隊アスカトゥー、1です。一時的とはいえ、善政をしいていたり、我が国の旗を引き摺り下ろしていない所を見ると、我が国への強い侵略の意志は感じられません。話を聴く価値はあるかと。
旗を間違えていたとはッッッ!
スダルギア隊アスカトゥー、それでも1です。民の声はなにかしらの真実を映しているはず。話を聞いてみましょう。
兵として旗を間違えるという大きな過ちを犯し、申し訳ございません。腹を切って…と思いましたが、次回危険な選択肢を選ぶことでお詫びいたします
シルヴァリア、ようやく本隊と合流しました
そして、私は2で
ギュダ様や姫、レジーナ軍に忠誠を誓う者です
雑兵ながら、口八丁で心変わりするわけにはいきません
たとえ、口八丁が真実だとしても
そうですね、やっとこさの(更新遅かったですし(^ω^;))合流です。
今回の選択肢も二択。
どちらが第二正しいか判断基準が幾つも散りばめられており、一人一人の選択を見るのは、キャラが立ちそうで面白いですね。
ギュダ隊モルテ:1
民から謀深き男と噂されるギリアムが腹に一物抱えているのは間違いないと思われますが、
城の統治が誰か重要でない、などといった発言からギリアムのその思惑が姫や民に対して悪い物ではないと考え、ひとまず信じてみますかな。
楽しくなってきたので、ここからは敢えて私のコメントは逆論を唱えていきます。それでは先にコメントした者との情報差がありそうですが、このお話は期限までなら選択変更可能なので問題ないと考えます。(二度読んでもらえるかは怪しいですがw)むしろ他者の考えを読む方が面白いと考えました。
『城が誰に統治されているかは重要ではない』に関して。
①それにしても敵に渡すのは如何なものか?
②主君への忠誠が薄いのではないか?
とも考えられます。
城を開け渡された事実をもって、ポジティブに考えすぎて良いのでしょうか?
ガンツ隊ナーズ・インジャスティス:1
なるほど、事の発端は確かにそうかもしれんし、そうでないかもしれん。
だが、今残された状況はイシュトベルトが蹂躙されたという現実だけ。
祖国を受け渡す口実にもならぬわ!
ギュダ隊ベッチー、1信じるです。上のひとたちの動きは解らないながらも、一介の兵士の感覚として、なんか敵も味方も実体がわからないところで戦ってた気がしました。わからないからこそ、分かりやすいジャグラス様やレジーナ様に賭けてきた。今、真実のしっぽが見えてきた気がします!
テオフィルス
1信じない
『私はレジーナ姫様を信じます!!(だけど、そんな姫様が葛藤しておられる…もしやギリアムの言っていることは本当なのか…いやそんなはずは、ない!!)』
リッジ、2(信じない)に致します。これまで一切敵兵から情報が入ってこないことが違和感です。各兵や将には隠す必要は無かったはず。それに、まだ戦争責任を決める段階ではありませぬ……。ただ、ギリアムの策がここで本当に終いなのか、まだレジーナ姫の反応を確かめているのか気になります。
策とありますが、この段階においてはレジーナを見聞する以外に決定的にそれらしいものはありません。情報については上層部しか知らないこともあるかもしれません。