Wild Worldシリーズ

レダ暦6年
星に願いを

7

 

 

 

ケルト

ここも、結構変わったよな

アーチェ

そうかしら?

フラウ

アーチェはずっといるから気付かないのよ

 にぎやかな界隈。

 明るい昼間に、フラウを間にアーチェとケルトが並んで大通りを歩いていた。



 フラウやケルトがここ城下町を離れてから大分経つ。

 その間に、商店や舗装は少しずつ様変わりし、時代の変化をほんの少しずつ照らし出していった。



 遠くの港町リバーストーンから流れてくる物資も変わったものが増えてきた。

 目新しいものが多く、寄り道をしたりしながら、簡単な変装をしたフラウはつかの間の休息を楽しんでいた。


 先日、無事ケルトとも合流した。

 数日離れていただけなのに、顔を見るだけでこんなにも安心する。
 


 アーチェの顔が広いので、道中いろいろな人に声をかけられる。

 挨拶を交わす程度のささいな会話も楽しい。


 アーチェに案内されながら、フラウは幸福を感じていた。



















 

アスター

のん気だな

アスターは新しい報告を前に、うんざりした表情をした。

アスター

 せいぜい、今を楽しんでおけばいい
あなたに、未来はない

アスターは、閉め切った窓越しに空を見上げた。

雨が降りそうだった。























  

レダ

フラウに会ってきたのか
様子はどうだった?

 謁見の間。

 下段で膝を折り礼の形をとるラムダに、上段の王座にゆったりと腰掛けて、レダ王は気さくに問いかけた。

ラムダ

はい。元気でした

 フラウやアーチェを思い浮かべ、ラムダの中にももっと気さくに話したい気持ちが燻った。

 けれど、アスターのことを思えば慎重になる。

レダ

そうか。俺も会いたいなあ
フラウたちを呼ぶことは出来ないのか?

ラムダ

恐れながら王、フラウたちのためを思えば控えるべきかと
今は若い者も多く、フラウの存在すら知らない者もほとんどですが、一般人に溶け込んでいるフラウを招き入れれば、いらぬ疑いもかけられましょう

 フラウの正体を知らなくても、それとは関係のない別の線で恨みや妬みを買うかもしれない。

 レダ王を貶めようとする者が(少なくてもラムダは知らないが)どこかにいるんだとしたら……


 フラウがもっと堂々と王族と名乗れたらよかった。

 ラムダはつくづくそう思う。

レダ

それもそうかな

 レダ王は悲しそうに息をついた。

 どうも王になってからは様々な制約がかけられて不自由になった。


 今度、ダイオスでも呼ぼう。

 彼ならば、レダ王の友人として顔もきく。

レダ

仕方ないか
ラムダ、よろしく言っておいてくれ

ラムダ

はい

 ラムダを下がらせてひとりになると、レダ王は深く息をついた。













レダ

ラムダは何かを隠している

 でなければ、いくらなんでも言動が慎重すぎる。

 いくら王に対してだとしても、一時期は共に戦った仲なのに。

レダ

何も起こらなければいいけど……

レダ王は、祈るしか出来なかった。









   

pagetop