キミの今日の昼食は何かな?
ちなみに私はコンビニおにぎりだ。
コンビニ弁当
コンビニ弁当は冷えたら美味しくないよ?
その点、おにぎりは優秀だよね。冷えていても美味しいんだもん。
なあ……
なんだい、非行少年?
俺とお前が直接話している姿を誰かに見られるのはマズイっていう理屈は分かった
けどな、昼食までわざわざLIMEしなくてもいいんじゃないか?
箸が進まない
だから私は片手で食べられるおにぎりを選んだんだ。
キミも今後は片手で食べられる軽食を携えるべきだね。
……ご忠告どうも
キミは今どこで昼食をとっているの?
屋上
あれ? 屋上は開放厳禁のはずだけど?
姉が天文部のOBだったんだよ
だから前に屋上の鍵をもらったんだ
なーるほどね。
なんだよ
そこはキミ専用のサボりの隠れ蓑兼喫煙所かな?
まあ、そうだな……
そしてそこでキミは今は亡き姉の思い出を反芻して、何度も何度も感傷に浸って、不幸に心地よさを求めようとしているんだね。
どういう事だよ……
あら、怒らせちゃった?
図星だったかな?
……なんで分かった?
また……ニオイとかいうやつか?
『天文部の〝OBだった〟』
普通はあまりこんな表現はしないよ。
それに加えて屋上が立ち入り禁止になったのは数年前に一人の天文部員の女生徒が飛び降りたって噂を聞いたから。
それ以来天文部も無くなったらしいし……。
そしてもしその話が本当で……、
私がキミの立場なら同じ事をしてるだろうなって。
天文部の件はいずれバレるかもとは思ってたけど、
俺の屋上での感情まで言い当てるんだな……結局似た者同士の思考か……
私、結構無神経なこと言ったでしょ。
それでも感情をすぐに制御できるキミがやっぱり好き。
いや、そもそもお互い制御する程の感情なんてもうとっくに無くしたのかもね。
……かもな
感情はいつも平坦。
平坦。平坦。平坦。たまに希望。そしてまた平坦。
不幸を求めてしまう。
不謹慎といわれようと、私はそういう風に出来てしまったから。
いつから自分がそうなってしまったのかも、もう思い出せない。
慈愛はある。悲しみもある。喜びもある。
それでもなぜか不幸を求めてその快楽に身を沈めてしまいたいの。
自分が嫌い。他人が怖い。理不尽が嫌い。
精神的な一人が怖い。寂しいのは嫌い。
自分に酔ってでも、頭を真っ白にしたい。
――こんな私をキミはどう思う?
……鏡
……今度から私も屋上に連れて行ってよ。
……気が向いた時だけな
私もキミならそう答えるよ。
……後付だろ
分かっているくせに。