跳ね返るような発声と共に踏み込むシェルナ。棒術の基本である振りと突きを繰り出していく。それを即席の棒で受けるグスタフの防御法も、お手本通りと言えるものだ。
型通りと言えるだろうその攻防は、何かを確かめ合うような感じにも見える。しかし次の瞬間、勢いのある発生と共に、シェルナが踏み込む。
跳ね返るような発声と共に踏み込むシェルナ。棒術の基本である振りと突きを繰り出していく。それを即席の棒で受けるグスタフの防御法も、お手本通りと言えるものだ。
型通りと言えるだろうその攻防は、何かを確かめ合うような感じにも見える。しかし次の瞬間、勢いのある発生と共に、シェルナが踏み込む。
弐点牽打!!
遅いです。
四天流浮!!
無駄が多いです。
八転孔、
龍!
振!
采!!
キレは素晴らしい。
が、私を相手には
正直すぎます。
リュウ達は棒術に詳しくはないが、グスタフに防がれているとはいえ、シェルナがここまでキレのある動きをするとは思ってなかった。
今迄の迷宮探索では前衛のシャセツ・タラト・フィンクスが魔物を圧倒し続けていたからだ。
『息を合わせ勢を併せば
掌中に敵あり』
力は必要としません。
相手の力に逆らわず
制するのが極上。
…………
グスタフの言葉を聞き、先ほど格闘で圧倒されたことを思い出してしまう。自分達がいいようにあしらわれていたことを、リュウ達は再度認識した。
シェルナ!!
こいつは俺がやる!
ガァッ!!
一斉にいくぞ!
その程度の腕で
レナ様をお護りしよう
などとは噴飯物。
大方低層の魔物を相手に
増長して自惚れておるのだろう。
お主達を叩きのめし、
現実を思い知らせてやろう。
結果は先程と変わらず、立っていたのはグスタフだった。
再度、立ち上がり攻撃を仕掛けるシャセツ達だが、グスタフに触れることすら出来ない。
中点を御し
四師は縦横無尽。
師点は一体故に変幻自在……
師点一体を体現したのを
お気付きのようですね。
言葉では理解できるけど
そんなに簡単じゃ…………
レナ様、減点です。
え…………
出来ぬと思えば出来ません。
逆もしかり。
出来ると思えば
すぐにでも出来るものです。
ッァラッ!!
この者達は只、
諦めが悪いだけのようですが。
違う……違うよ。
皆も教えてくれてるんだよ。
己の力を信じることと
無謀に攻撃することは別です。
認める。
私達一人一人じゃグスタフ、
あなたには敵わない……
だけど!!
お互い信じ合った
仲間と力を併せれば勝てる!
あの無様に
転がった者達とですか……
っく……
調子にのるなよ、貴様。
リュウ、
これを皆で使って!
シェルナが投げたのは回復の水薬。
少しでも痛みが和らげば、勝機を見出せるかもしれないからだ。当然グスタフもそれをさせまいと動く。
させません。
只でさえしぶといというのに
回復されては面倒です。
護るっ!!
リュウ達とグスタフの間に立ち、防御の構えをとったシェルナ。その瞳に宿る力は、何人にも揺るがせない固い決意に満ちていた。