我が愛しの職場、
バッティングセンターは
少なく見積もっても絶好調だ。
浅草のムードに引っ張られて
集客は落ちないし、
外人がたくさん遊んでくれる
ホットスポットみたいな感じで
メディアがよく取り上げてくれる。
なぜか一般中年男性の俺が
ここ半年で地上波キー局
３局に出演する
という異常ぶりだ。
プレイボール！！
センチメンタルバス「sunny day sunday」
我が愛しの職場、
バッティングセンターは
少なく見積もっても絶好調だ。
浅草のムードに引っ張られて
集客は落ちないし、
外人がたくさん遊んでくれる
ホットスポットみたいな感じで
メディアがよく取り上げてくれる。
なぜか一般中年男性の俺が
ここ半年で地上波キー局
３局に出演する
という異常ぶりだ。
チャッ、チャ茶～忍
しかし、
それはあくまでここ近年の話。
当店には自分が入社前から続く
非常に根深い問題もある。
ウェーイ！
うぇーい
WAY
それは不良や
クソガキのたまり場に
なりやすいこと
通称
“悪の巣窟”
問題である。
かつて入社してきた
ナルサワ君も実はここで
アルバイトをはじめると
両親に伝えたとき
パピィ、俺来週からあそこのバッティングセンターでとりまバイトする事にしたからよろ！
あそこはやめなさい。
この街で一番危ない所、悪の巣窟って呼ばれてるような所だぞ？
と真面目に難色を示されたそうだ。
まあ彼のお父様は
区議会議員だそうでそれも至極当然の答えだ。
とはいえナルサワ君が入社する頃には
すでにかなり浄化されてきていたし、
彼もはじめは客として
当店に遊びに来てその変化を
感じ取ってくれたから働く
決意をしてくれた経緯は
はっきりと記しておく。
正直、
その一言は愛社精神の強い
自分にとって最高の冗談である
と同時にぬぐい切れない根幹を
指摘されていて
悩ましくもあった。
なんせ当店は旧歓楽街通りの
裏路地にある場末のオアシス。
近年激減したとはいえ、
罵声とパトカーのサイレンが
毎週こだまするエリアにあった。
その名残やにおいは
間違いなく今もある。
毎夜彼らは夜バエより
一足先にブンブンいわせ、
他称“鬼コワ店員”の自分の目を
盗むように入店し、
店奥の一番テーブルが大きくて
ダベり易い席をを４～５人で陣取る。
因みに鬼コワってのは小学生に直接言われた。
「あの店員マジで鬼コワ」
って打席前のテーブルでカードゲーム広げてたのを注意した餓鬼どもに言われたワケ。
うふふって感じだよね。
そのうち一人が券売機で
プリペイドカードを買わず、
当店のバッティングサービス券
が獲れる激甘レトロゲームで
無料カードをゲットして
さらにストラックアウトで
不正をしてさらに
無料カードをゲットし、
どや顔かつ我が物ずらで
タバコをふかしながら
ずっとスマホをいじっている。
こちらが声を掛けなければ
どこまでも閉店まで居座り続けようとする。
良くてジュースを買うか、
ぷよぷよにワンコイン入れるくらい。
多分、ファミレスよりもコスパ良いよなあアイツらの立ち回り。
バカなりによく考えるよ。
そうっすよね。
まあハイスコアガール的なことをやってるロースコアボーイズみたいな事になってますよね実際。
とはじめはアルバイト君たちと
彼らマイルドヤンキーたちを
嘲笑していた自分だったが、
近年のアイコスの登場、
スマホゲーの充実化、
自我を持たない者同士の
横のつながりによって
１０人くらいでちょっとした
チーム化してる彼らの店内での
横暴さがエスカレートしていった。
しかもみんなシール付きキャップに
ダメージジーンズと同じ格好を
しているから良く言うと
統一感があり、
普通にいうと全く見分けがつかない。
ウチはバッティングする場所なんで遊ぶ気が無いならお引き取り下さい
はあ？それが客に対する態度かよ？
ていうか君たち未成年だろ？身分証見せてくれないとウチに置かせられないよ。もう夜遅いし
はあ？今日は家に忘れたよ！
いま見せられないなら帰ってくれ。最近、警察の見回りが厳しいんだよね
ちょっとこれ吸い終わったら帰ってやっからまあ待てよ
関係ねえよ！身分証見せれねえなら帰れオラ！出てけオラ！！
わーった。わあったよ。おいみんな帰るぞ。また来るからな！
そしてまた忘れた頃に
彼らは同じメンツで
宣言通りやってきて、
ほぼ同じようなやり取りを
俺や他のスタッフたち、
時にオーナーと繰り返している。
こんなヌルいアウトレイジ
みたいなやり取りを俺は
この街の片隅でずっとしてる。
因みに最近の彼らは
この間一切俺と目を合わせない。
一昔前は俺とにらみ合いをし、
店内外問わず俺を追い回す
間違った気概のある若者もいたが
(アラビアータ君の回を参照の事)、
今のクソガキどもは
内心ビビッていて、
それを悟られないように
目をそらしながら屁理屈を
並べてるだけだ。
また輪をかけて面倒くさいのが、
彼らのうち何人かの幼少期を
俺はこの店で目撃、
という接客しているという事だ。
朝の貸し切り利用していた
地元の強豪少年野球チームのメンバー、
小さい時に両親に手を引かれて
遊んでいたあどけない少年…
そんな彼らがいま俺に
タバコや素行で注意されて
逆上している。
マジな話、そこが一番こたえるよ。
結構悲しくてやり切れない気持ちにはなる。
もし将来、
自分に間違って子供が出来たとしたら
野球関連は絶対触れさせまいと思う。
野球は競技人口が多すぎて
人生の落伍者を産みやすい側面がある、
と自分は勇気を持って主張したい。
本当に歪な子に育ちやすい
スポーツだと思う。
ざっくばらんにいうと
一昔前はわりと自分は
タバコ不良未成年を黙認していた。
どこか一本筋の通った
面白い生き方をしていたし、
ウチでやんちゃして数年顔を
見なくなったらいきなり
男前になってかわいい彼女を
連れてくるなんてドラマチックな事
もあったりしたからだ。
そういう子たちは得てして
見た目だけでなく、
遊び方や振る舞いも整って戻ってくる。
そして今の彼の居場所へと
帰っていくのだろう。
その背中を見送るのは
この仕事を続けていく上で
俺のささやかな幸せな事だ。
ただ残念ながら去年から続くその枠、
ジェネレーションズには
その要素が極めて希薄。
ただただアメーバ状に鬱陶しいし、
スマホで触って得た知恵や知識を
自分の徳と勘違いしてる小者ばかりだ。
本当に情も興味も湧かない。
とうとう自分も
こんな説教臭い文章を書く歳と
立場になったかと残念に思うけれど、
それでも言わせてほしい。
未成年の喫煙、飲酒は法律によって禁止されています。
店内でそれらに該当される方を発見した場合、遊戯の中断、あるいは出入り禁止とさせていただく場合がございます。
あらかじめご了承下さいませ
当店スタッフより
La Fine
