フィンクスとロココは、ハルのテーブルの観戦。と、いうのは表向きの話で、実はアリスの監視をしに来ていた。
なるべくこのテーブルにアリスを釘付けにして、ダナンの勝負の邪魔をさせないのが目的だ。
アリスはニコニコしながら、ハルのゲームを観ている。どうやらこのカチョワロタというゲームが好きらしい。
フィンクスとロココは、ハルのテーブルの観戦。と、いうのは表向きの話で、実はアリスの監視をしに来ていた。
なるべくこのテーブルにアリスを釘付けにして、ダナンの勝負の邪魔をさせないのが目的だ。
アリスはニコニコしながら、ハルのゲームを観ている。どうやらこのカチョワロタというゲームが好きらしい。
ホント手堅いっすねぇ。
常にボッチョして
リボッチョ・コンバインを
狙う作戦っすかぁ。
自分はどうしても
ポチりたくなるっすけどねぇ。
若いのには解らんだろうが、
玄人には渋い手回しや
戦略がある。
素人は博打性の強い
派手さを好むが、
玄人はそうではない。
地味なれど普通にゲームを進め
普通に勝つ。それで良い。
それが一番強いのだよ。
ふーん、
そんなもんっすかねぇ。
キタァァ!
グラン・デポチャ!!
うっし、これで1が出れば
カチョワロタで勝ちっすよ。
おうおう、派手だな若いの。
お祭りか?
来い! カチョワロタ!
って、5っすか。
まぁ5倍も進めるなら
いいっすけどね~。
おい、待て、オニギリ坊主。
何をしている!
そんなもの放棄して
グラポドーレ・アディス・
アン=カチョワロタを狙え!
横から口を出しきたのはギャンブラーアリス。
つまらぬ勝ちなど勝利ではない。
突っ込め。突撃だ。
例え薄い確率でも
圧勝を目指せ!
一番以外はビリと一緒だ!
前のめりになり、自信満々の顔付きで発言するアリス。
彼女の求める勝利。それは、無難な勝ちを拾わず、且つ、おおよそ敗北の可能性が高いリスクを乗り越えた先の圧勝。それを目指せと言っているのだ。
ハルは、アリスの男気満載のセリフを受け、無尽蔵の勇気が湧いてくるのを感じた。有利な状況を捨て、高いリスクを背負い圧勝を目指す旗を掲げる。悠然などと言う格好良さはなく、ガムシャラそのもの。
余分の参加料を支払いチャレンジを決意するハル。簡潔に言うと、サイコロの1の目が出れば圧勝。それ以外は大敗。確率は6分の1。
サイコロを握りしめ、何やら祈りを捧げ踊り出すハル。アリスはワクワクした表情で腕組みをし、ハルの踊りを眺めていた。
ええぇ~。
無難に勝ち拾っとけば
いいのにな。
アリスの監視役であるフィンクスとロココは、再度、大勝負の場面を見守る事になった。リュウの勝負の時に、立ったまま気絶してしまったロココ。フィンクスはその頬を摘んで捻り、覚醒を促していた。
ハルが座るカチョワロタのテーブルにも届くざわつき。その音源は、ユフィ達の居るプロチータのテーブルだった。
どうやら、普段はお目にかかれぬ大物の手役が揃ったらしい。
嘘だろ……
なんて強運なんだ……
手からカードをこぼして落とすダナンは唖然としている。他の2人のプレイヤーも椅子から立ち上がり、開いた口が塞がらない状態だ。
ギダは困惑と歓喜を混ぜ合わせた表情を見せている。ディーラーがギダの勝利を告げ、他のプレイヤーに追加のガロンを払うように示唆した。大物の役、しかも高レート時の為、ダナンのこのゲームの負け分は33,000ガロンと手痛いものになった。
1人は呆れるようにガロンを置いてテーブルを後にして、ダナンもほぼ全額に近いガロンをテーブルに置いた。
仕方無いわ。
彼の運が強すぎただけ……。
私の読みが甘かったのよ。
ユフィはダナンを責めるようなことはなかった。
ダナンはメンバーに申し訳なさそうな顔を見せた後で、切り替えるようにギダに拍手をしてみせた。
大敗も大敗だが、プロチータをしている者として、夢のような大物役を成し遂げたギダに祝福をしたかったのだ。自然に拍手の輪が広がり、爽やかな雰囲気が流れる。
ふざけんなっ!!
チキショーが!!
その雰囲気を打ち破ったのはもう一人のプレイヤー。
ガロンが入った袋をディーラーに投げつけ、ふてぶてしい態度をとっている。どうやらガロンは足りておらず、この場合はカジノ側が責任を持って取り立てるシステムになっているようだ。
勿論、乱暴をされたりはしないがきっちりとした確認がある為、ギダとその男は別室に移動する事になった。
楽しい勝負でしたよ、
君は強かった。
ギダがダナンに握手を求めてきた。
次は負けないからな。
ダナンが笑顔を見せ返事する。ギダは立ち去り際、背中越しに言葉を残した。
その機会がありましたら。
!
何気ない言葉。ダナンもユフィも、聞き流す言葉にリアが過敏に反応する。
何かを思い出したかのように、表情が強ばっていく。眉を寄せ険しい目付きは、いつもの軽い感じのリアではなかった。