第二十四幕
『帰る方法、記憶の底から掘り起こす』
第二十四幕
『帰る方法、記憶の底から掘り起こす』
地球に帰りたいって!?
そうです
意外……ですかね?
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやおやいやいやいや
ないない!
ハイパーNothing(ナッシング)!
ぜ―――ったい
こっちの世界の方が楽しいでしょ!
自由だし、規則(決まり事)がないし!
確かに、この惑星にはルールがない。
皆、自由に自分の人生を謳歌している世界だ。
だからこそ、地球人のユウキくんからして魅力的に見えるのも無理はないのだ。
それは、確かに自由なのは魅力的ですが……
実は私、現世でやり残したことがありまして
やり残したこと?
はい、実は……
俺と付き合ってほしい!!!!!
私、とある方に告白されたんです……
ぐはぁ!!!!!
ど、どうかしましたか!?
(なぜ血の挿絵が?)
いや、なんでも……
続けてください…………
ああ、自分は卑怯な女だ。
当の本人は目の前に居る、覚えてないことを良いことに、(もしかしたら)なんてこと……。
多分今、ユウキくんは私と同じ四賢人の『リーフ』に振られた時のことを思い出したのだろう。
そう全部、私だけが知っている。
それで、その方に
しっかりお返事をするべきかと
なるほどですね
でー、野暮なことかもしれませんが
お返事の内容は?
え!?
あー、別に言いたくなければいいんです
俺が知る権利もないし
権利は、十分ある。
逆で、私の方に彼とお付き合いさせていただく権利なんて毛頭無いと思った。
こんなことに巻き込んで、そして、あの事件の悲劇のことも……
多分、ユウキくんは怒ってる……
やっぱりお断りしようかなと
まだ私にはそういうのは早いんじゃないかって
マチさん!!!!!
あ、はい!
それはいけないことだ
は、はぁー
きっと返事を聞いた相手は死んでしまう
告白して、そして振られてその場で死んでしまったケースは、人類史上彼くらいだろう。
なぜなら、得体の知れない薬物の入った飲料を事前に飲まされていたのだから、当然のことだ。
そう、あの『転生薬』を……。
でもさ、帰りたいって言っても方法がなくね?
あー、それなら大丈夫です
こちらに来てからずっと帰る方法を模索していた。
自身単体なら地球に転生できるのだが、それじゃあ意味が無いので、ユウキくんを連れて帰る方法。
過去の記憶を掘り起こしながら。
そして思い出したんだ。
この世界には『妖精』がいたことを。
妖精石を手に入れるんです!
よ、ようせーせき?
はい
この世界には妖精という未知の生物が存在しているそうです
彼らはその石を使って頻繁に『この世界』と『現世』を行き来しているのだとか!
へー、まさに『おっさんず』って感じだな
おっさん?
あーいや、こちらの話
つまりその妖精の持つ『妖精石』があれば現世に帰れるんじゃないかと?
はい!
妖精石で、絶対に帰れるという確証は無い。
でも使ってみる価値はある。
考えられる方法が少ない以上、全て試してみるしかないと思う。
念のため、プリスちゃんも誘ってみよう。
彼女も何か知っているかもしれない。
第二十四幕 終