第二十二幕


『時の姫はそこで待っていた』






















 懐かしい故郷に帰ってきた。


 もう二度と見ることはないと思ってた緑色が、私の目の前に広がる。


 そして、その景色の中で青色の長髪をなびかせながら微笑む姫様は、優しく「おかえり」話しかけてくる。


 もちろん私は涙腺崩壊、彼女はそれを胸元で受け止めてくれた。





 
 








プリス

おーよしよしよし

よくここまで頑張りました!

竹内 マチ(ベル)

……

帰って来ちゃった……

プリス

うん

ベルちゃんならきっと来ると思ってたよ

竹内 マチ(ベル)

そ、そうなの?

プリス

じゃなかったら、タイミング良くこんなところにいるわけないじゃない!

竹内 マチ(ベル)

確かに言われてみればそうよね

あと、私の記憶もあるみたいだけど

プリス

『時の姫』を舐めないでくださる?

一時的にミライ様の力で記憶はいじられたけど、私は能力で過去の出来事をこの目で見ることができるんだから!

竹内 マチ(ベル)

あ、相変わらず反則的な能力だよね……それって

プリス

ベルちゃん

そんな最強の私にヒロインの座を譲ってもいいんだよ?

竹内 マチ

それは絶対に嫌だよ!

プリス

えっ

お、怒った?

竹内 マチ

絶対に嫌!

プリス

わ、分かったわよ

もう言わないわ! ごめんね!

竹内 マチ

絶対に……

プリス

おい、楽しんでるだろ

 















 プリスは時間を操る能力を有し、私と共にかつて『竜』と戦った戦士の一人だ。


 その時の功績を称えられ人々から『時の姫』と呼ばれるようになった。


 格(ランク)付け……するのもどうかとは思うけれど、神様を一番とするなら、その下に王様が二人いて、そして姫という順だ。

 
 つまり実質ナンバー4ということになる。










 ちなみにその下に私達『四賢人』がいました。

 


プリス

お客様に説明するのも大変ね?

竹内 マチ(ベル)

え?

どういう意味?

プリス

べ、べっつにー

気にしないでいいわよ?

竹内 マチ(ベル)

と、ところでプリスちゃん

私以外に転生してきた男の子を見なかった?

プリス

……















 そうだ、いつまでも再会(再開?)の喜びに浸ってる場合じゃなかった。


 目的を忘れちゃダメだ、沢山の人に思いを託されて私はここにいるのだから。








プリス

ええ、まあ、知ってるわよ?

竹内 マチ(ベル)

ほ、ほんと!?

プリス

え、なに?

あの子と知り合いなの?

竹内 マチ(ベル)

そうなの!

探してるんだ!

プリス

あ、そう……

竹内 マチ(ベル)

……

なんでそんなに険しい顔するの?

プリス

え、だって……

てゆーか彼と知り合いだったら、なんとなく察しない?











「あ……」









竹内 マチ(ベル)

な、なんか

おかしなことでもしてるの?

プリス

とりあえず会ってみたら?

彼、この先の村にいるから!

プリス

ただ、感動の再会って感じには、ならないと思うの……

竹内 マチ(ベル)

……帰ろうかな


























第二十二幕 終














 

【真相編】 第二十二幕『時の姫はそこで待っていた』

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