第二十二幕
『時の姫はそこで待っていた』
第二十二幕
『時の姫はそこで待っていた』
懐かしい故郷に帰ってきた。
もう二度と見ることはないと思ってた緑色が、私の目の前に広がる。
そして、その景色の中で青色の長髪をなびかせながら微笑む姫様は、優しく「おかえり」話しかけてくる。
もちろん私は涙腺崩壊、彼女はそれを胸元で受け止めてくれた。
おーよしよしよし
よくここまで頑張りました!
……
帰って来ちゃった……
うん
ベルちゃんならきっと来ると思ってたよ
そ、そうなの?
じゃなかったら、タイミング良くこんなところにいるわけないじゃない!
確かに言われてみればそうよね
あと、私の記憶もあるみたいだけど
『時の姫』を舐めないでくださる?
一時的にミライ様の力で記憶はいじられたけど、私は能力で過去の出来事をこの目で見ることができるんだから!
あ、相変わらず反則的な能力だよね……それって
ベルちゃん
そんな最強の私にヒロインの座を譲ってもいいんだよ?
それは絶対に嫌だよ!
えっ
お、怒った?
絶対に嫌!
わ、分かったわよ
もう言わないわ! ごめんね!
絶対に……
おい、楽しんでるだろ
プリスは時間を操る能力を有し、私と共にかつて『竜』と戦った戦士の一人だ。
その時の功績を称えられ人々から『時の姫』と呼ばれるようになった。
格(ランク)付け……するのもどうかとは思うけれど、神様を一番とするなら、その下に王様が二人いて、そして姫という順だ。
つまり実質ナンバー4ということになる。
ちなみにその下に私達『四賢人』がいました。
お客様に説明するのも大変ね?
え?
どういう意味?
べ、べっつにー
気にしないでいいわよ?
と、ところでプリスちゃん
私以外に転生してきた男の子を見なかった?
……
そうだ、いつまでも再会(再開?)の喜びに浸ってる場合じゃなかった。
目的を忘れちゃダメだ、沢山の人に思いを託されて私はここにいるのだから。
ええ、まあ、知ってるわよ?
ほ、ほんと!?
え、なに?
あの子と知り合いなの?
そうなの!
探してるんだ!
あ、そう……
……
なんでそんなに険しい顔するの?
え、だって……
てゆーか彼と知り合いだったら、なんとなく察しない?
「あ……」
な、なんか
おかしなことでもしてるの?
とりあえず会ってみたら?
彼、この先の村にいるから!
ただ、感動の再会って感じには、ならないと思うの……
……帰ろうかな
第二十二幕 終